小説　隣の女神様　作者：あいぴプロローグ　あなたは神を信じますか　誠によく見かける書き出しで申し訳ない作者としても苦笑い状態である神の存在を証明することは通常では難しいことだと思うが私は神をあなたに紹介することはできるしかも女神だやったねうれしいだろうもしかするとあなたはすでに私が紹介できる女神に会っているかもしれないなんせこの女神は普通の人間と同様に生活しているしかも女子高校生として学校に通っているねっびっくりしただろう私だってびっくりしているただしご利益はあまり期待しないで欲しいこれはそんな女神さまについての内緒のお話である小さな時のこと　御鏡静奈（みかがみしずな）は長野県南部伊那谷にある宮川村に産まれて宮川村育った生粋の田舎人である一般的なサラリーマンである父と母の間に産まれた女の子だ寒くなり始めた時期に産まれたが特別寒がりというわけではないどちらかと言えば暑がりに属する産まれた時に髪の毛や体毛が他の赤ちゃんに比べると濃くて多目だったこと以外は身長体重共にごく標準的な赤ちゃんであった　標準的なサイズで産まれた静奈であるが後はあまり大きくならなかったまあ控えめというか小さいというか高校生になっても１５０ｃｍに満たない小柄というやつである　赤ん坊は成長すると徐々に言葉を覚える静奈は他の子供よりも言葉を発するのが遅かったしかも最初に覚えた言葉はお母さんを意味するかあかでもお父さんを呼ぶためのとうとでもなくぎゅうにゅうという言葉であった喉が渇いてどうしても牛乳が飲みたくなると体全体を震わせながらぎゅうにゅう（がのみたい）と叫んだ冷蔵庫の前に座り込むと家族の誰かが１リットルの牛乳パックから乳児用ストロー付きのカップに移して電子レンジで温めてくれること要求したこの要求は主に4歳離れた兄が叶えてることが多かった　乳児用カップに暖められた牛乳が満たされるとそれを片手で持ち部屋の中をふらふらとしながらストローをくわえて時折おいしそうに牛乳を飲む牛乳をカップ一杯飲むとお腹が膨れてご機嫌になり部屋の中を酔っぱらいのように歩きまわるのだ母のところに行ってばあと愛想を振りまくことも多いそうしているうちに眠くなりばたんと倒れて眠ってしまうのであるこれを静奈の行き倒れと家族の者は称してこの家の名物となっていた　誰しも小さな頃は様々な要求を気が向くままにするものであるが静奈はこの牛乳以外に強い欲求を表現したことはないいわゆる手がかからない子としてすくすくと成長した誰かがやって来るおそとであそんでもいい？引っ越してきたばかりの上にまだ2歳の静奈には近所に一緒に遊ぶ友達はいなかったお庭から出ちゃだめよ　静奈の母はそういうと家事を続けるために玄関から家の中に入った母が家の中にいる間静奈は庭で一人で遊ぶことになる静奈の家は宮川村にある村の真ん中あたりのたんぼを転換した造成地であるこのあたりの一戸建ては田舎なので土地も安い都会からすれば信じられないくらい広い土地のため家を建てても庭はけっこうな広さが残っている都会なら保育園の園庭だってこんなものだろう燐家との境界は簡単なフェンスで仕切られているだけで門扉などのしゃれた設備はないしたがって覗こうと思えば誰でものぞけるし入ろうと思えば誰でも入れるそれでも小さな子供が一人で遊ぶのに危険を感じたことは今までにないだれもいないね～　静奈はぐるりとあたりを見回すまだお昼までにはちょっと時間があるまっいいか～　お砂場にお気に入りのシャベルとバケツを抱えて行くと静奈はおむつでこんもりしたおしりをどすんと地面につけて独り遊びを始めたここはしずちゃんのおうちこっちはおにいちゃんのがっこうこっちが・・　砂で山を作るとシャベルでぱんぱんとてっぺんをならしてちょっと平らにするそこにきれいな色の石を乗せると家の出来上りであるおにいちゃのがっこうはこーんなにおおきいんだぞお～　静奈は大きな山を作ってそこを兄の学校にしたあっあめがふってきましたあ～　じょうろに水をくんでくると砂山に流すすると作ったばかりの学校に大雨が降り大洪水が発生する　母は家の中に入ったとはいえ庭の様子はよく見えている家事の手を休めて時々庭に目をやる静奈は石で囲んで父が作ってくれた小さな砂場に座り込んで砂をシャベルで熱心にすくってはバケツに移していたバケツがいっぱいになるとくるりと背を向けて中の砂をざーっと開ける小さな山ができつつあるところであった母は家の中から静奈に声をかけるかずちゃんなにしてるの？おにいちゃんのがっこうをつくってるんだよ～そうなのすごいねえ静奈の今のお気に入りの遊びである母は洗濯物を畳むために目を手元に戻す独りで勝手にどこかへいってしまったことは一度もないいまあめがふってきてたいへんです～えっ　母は雨と聞いてあわてて外へ飛び出したあれ？　外は相変わらず良いお天気であるなあーんだ雨降りは静ちゃんのお山なの？そうだよういっぱいふってるんだよう～もうちょっと遊んでいてねはーい～　安心した母は裁縫箱を出し春が来ると保育園に通う予定の静奈のために服を縫い始めた静奈の好きな赤い服である服を着て静奈が保育園に通う姿を思い浮かべながら母は一針一針丁寧に仕上げるおじょうちゃんいくつ？おじょうちゃんじゃないよ～しずちゃんだよ～ごめんごめんよ静ちゃんはいくつなの？２つだよ～静ちゃん保育園は？もうじきいけるっておかあさんがいってたよ～ひとりで遊んでるの？うん楽しい？うんとってもたのしいよ～じいちゃんもいっしょにあそぼうよ～これから畑に行くからこの次に一緒に遊ぼうねえねえあそぼうよ～静ちゃんこれおかあさんに渡してね　じいちゃんは野菜のたくさん入った袋を静奈に渡すと軽トラックに乗り込み行ってしまったばいば～いあっいけないもうこんな時間！きーんこーんかーんこーん　遠くにある学校のお昼のチャイムが聞こえてきた静ちゃーんお昼だよお家に入りなさいよあのねこれもらったの～　静奈の小さな声が庭から聞こえる母は不思議に思って外に目を向けるとキュウリやトマトが入った袋を両手で重たそうにぶら下げた静奈がちょこんと立っていた誰に頂戴したのじーじどこのじーじなのくるまのじーじふーん　静奈は誰に頂戴するのか時々野菜やちょっとしたお菓子を通りすがりの人にもらっているようであったこれはねえ～しずちゃんのじいちゃんがくれたんだよ～　夕ご飯の時静奈はいばって兄に言ったうんとってもおいしいね～　野菜が苦手の兄も口一杯野菜をほおばっているじいちゃんってだーれ？じいちゃんじゃないよ”しずちゃんのじいちゃん”！～わかったわかったじゃあ静ちゃんのじいちゃんってどこからくるの？しずちゃんのじいちゃんはねえ～じどうしゃでぶーってくるんだよ～　しずちゃんのじいちゃんはこうして週に二三度まるでお供えするかのように素敵なプレゼントを静奈に持ってきてくれるようになった静ちゃん今度じいちゃんが来てくれたらおかあさんに教えてねじいちゃんじゃないよしずちゃんのじいちゃん！～　でもじいちゃんは静奈と少し話をするとすぐに行ってしまうのでなかなか母と会うことができなかった　なぜ静奈がこのようなものを頂戴しているのか理由がわからない要領を得ない静奈の返事に不安を感じたこともある母が目を離した隙に静奈が誘拐でもされたらどうしようと母親としては当然の心配であった一度くらいは直接お礼を言おうと外を通る車の気配に気を付けた母であったが野菜をくれる人が姿を現わすことは一度もなかった　長い冬が終わってたんぼの土手にかわいらしい薄青の花が顔を出し始めた頃静奈は保育園に通い始めた静ちゃん保育園楽しい？うんとってもおもしろいよ～しずちゃんおひるがいちばんだいすき！～　野菜の好き嫌いが多くて心配していた給食もじいちゃんがくれた野菜のおかげでとってもおいしく食べられているようであったさいきんじいちゃんの野菜ないね　あるとき兄がぽつんとつぶやいたそうだね静奈が保育園に通い始めて昼間いないから静ちゃんのじいちゃんに会えないんだよ　父が残念そうに答えるそれにしても静ちゃんのじいちゃんてどんな方なのかしら？静奈は保育園に嫌がりもせず喜んで通っている後は野菜が届くことはなくなった---いじめのターゲット　静奈は地元宮川村にある県立宮川高校に入学した1学年5クラスの男女共学の普通高校である上はジャケット下は男子はチェック柄のパンツ女子は同じチェックのスカートを制服と定めておりまあまあの評判の学校である　この高校に入学した静奈は部活動に加入しなかった放課後と休み時間は教室の隅っこで読書をするかぼんやりする過ごし方を選んだ思春期を迎えた静奈は疲れを感じる時が多く休日もしっかり休みたいと考えたのである勉強もこれといって得意教科はなく成績はいつも真ん中より下であったこれまで仲良しだった玉川涼子は元気はつらつとしてクラブ活動に忙しく一緒に行動する機会がずいぶんと減ってしまった 静奈に話しかけてもうんううんくらいしか反応がなく一部の男子からは幽霊女と呼ばれてからかいのターゲットになりつつあった　クラスメイトの女子たちは静観の構えであったがからかっても反応しない静奈にいらいらがつのるああいう女がいるから女子全体がばかにされるのよとわけのわからない理由をつけて徐々に静奈を目標に定めたのであるほどなく静奈への嫌がらせが始まったおっとごめんねすれ違いざまに肩をわずかに当ててくる男子と違って目立つように肩をどんと当てるようなことはしない当たったかどうかというくらい目立たないようにやるこれを何人もが続けてやるとけっこう嫌な感じがするものである椅子の座面にスティックのりを薄く塗っておくと座ったときにスカートがくっついてしまい立ち上がった時に脱げそうになって不快であるでも脱げるほど悪質ではない静奈をターゲットにしたグループは目立たない嫌がらせを繰り返し繰り返し行った普通の女子ならこれを一週間も続ければ参ってしまうが静奈は気にしなかった涼しい顔で毎日登校する　頭に来たグループのリーダー格である村山香織はある日の休み時間ついに静奈の前に立ったあんたこれだけ仕掛けられても何にも感じないんだねほんとにどんくさい女だ読書をしていた静奈は顔をあげて話しかける香織に視線を合わせたどんくさい女にはそんな髪型は似合わないよ美容師を目指している私がナイスなヘヤーにしてやるよいつの間にか何人かの女生徒が取り囲んで他の生徒から見えないようにしている香織の手には美容はさみが握られているまず前髪からカットしよっか言うが早いか静奈の前髪を右手でつかむと左手ではさみをすっと入れてじゃくっとカットした静奈の机の上には切り取られた髪の毛がばさりと落ちるあっ静奈より先に取り囲んでいた女生徒たちが声をあげたちょっと脅すために髪を少し切ってやろうという話だったが今切られた髪はちょっとという長さではないあ～あどうしてほっといてくれないのかなあ～　切り取られた髪を机の端に寄せると下敷きをちりとりがわりにしてのせた静奈は静かに立ち上がって髪を載せた下敷きをそっと持ち上げると教室の隅にあるごみ箱まで歩き始めた取り囲んでいた生徒たちはごくりとつばを飲み込むと何かに気押されたように静奈と通り道をすっと空けてしまう割れた人垣の間を難なく通り抜けた静奈は下敷きから髪の毛を落とさないようによたよたとバランスを取りながら歩いたゴミ箱の上で下敷きをひっくりかえすとぱんぱんと軽くたたいて髪の毛をゴミ箱の中に落とすそして何事もなかったかのように自分の机まで戻ると静かに座ったなんだよ無視かよ香織は動じない静奈にむかつきさらに手を出そうとチャンスをうかがっているやめとこうよ　なにやら不穏な空気を察知して腰が引けている取り巻きたちはもう半分以上が解散して自分の机に戻りつつあったとき静奈は香織に顔を向けるとごく自然にすっと視線を合わせたそして今なら何もなかったことにしておいてあげるよ～と子にだけ聞こえる声で囁く静奈と視線を合わせた香織は毒気を抜かれたように緊張の糸が切れ近くの椅子にすとんと座ってしまったそれでいいと思うな～静奈は小さくつぶやくとまた読書にもどった固唾を飲んでことの成り行きを見守っていたグループの少女たちはふーっとそれぞれにため息をつくと静奈を直視することができずに自分の席に戻ったそして全員身体ががたがたと小刻みに震えだしたのである私たちは絶対にやってはいけないことをしてしまったのではないか香織をはじめとする女生徒たちは大きなものへの畏れと後悔の念で強く心を圧迫されたそれはうち神から天罰が下るのではないかと恐れる気持ちと同じであった　翌日から静奈はまた元の静かな根暗に戻った今までと違うのは静奈にたいしてだれも干渉しようとしなかっとこととしばらくして村山香織がお家の都合という理由である日突然転校してしまったことであった---生徒会会長選挙　静奈の通う宮川高校は年度の半ばを過ぎると新しい生徒会長を選ぶための選挙が行われる2学年5クラスから1名ずつ候補を選出し選挙運動の後に立会演説会と投票を行う日程になっている会長選挙の告示を一週間後に控えたある日のHRで静奈のクラスの選挙管理委員が教壇に立っている生徒会長に立候補する人はいませんか立候補者がいないことを前提とした問いかけに応えるかのように教室内は静まり返り誰も返事をしないまま時が流れるほんとにいないですか・・・それでは適任者の推薦をお願いします・・・こんなことをしていても決まらないので投票で決めていいですかいいで～す　生徒会役員は大変な割には調査書の評価が低く人気がないそうなると立候補者を生徒同士で押しつけあうことになる静奈のクラスは静奈をいじめていた村山香織が転校後ボスがいなくなったこともあってまとまりがついていないクラス内投票を何度か行った結果候補者は静奈に決定した投票の結果会長候補は御鏡さんになりましたぱちぱち・・御鏡さんこのクラスの会長候補として選挙戦に臨む決意表明をしてください静奈はクラス会長候補に選出されたことにあわてることもなく立ち上がった私で良ければ会長選挙がんばります皆さん応援をよろしくお願いします簡単に挨拶してぺこっと頭を下げる次に推薦責任者ですが次点の玉川涼子さんでいいですかいいで～す会長候補御鏡さん異論はないですか玉川さんならこちらから推薦責任者をお願いしたいですそれではこのクラスの会長候補は御鏡静奈さん推薦責任者は玉川さんに決定しますご協力ありがとうございましたなんとか責任を果たすことができた選挙管理委員はほっとして教壇から降りて自分の席に座った選挙管理委員会に提出する立候補者届け出用紙に二人の氏名を記入した・・・なので候補者は選挙規約に則って選挙運動や立会演説会に臨んでください放課後さっそく会長候補として選挙管理委員会に出席した静奈と涼子は選挙規約とスケジュール表を渡された涼子あなたが頼りだからね～静奈は推薦責任者になってくれた涼子の顔をしげしげと眺めたほんと～によろしくお願いします～珍しくぺこりと頭を下げると涼子が照れ臭くなるほど顔を見入っている　生徒会長候補となった静奈はクラス廻りや朝登校する生徒に行う顔見世兼挨拶運動を選挙管理委員会のスケジュールにしたがって精力的にこなしているクラブにも所属せず周囲から根暗キャラ認定されている静奈は他のクラスへの知名度は低く挨拶への返事をかえす生徒も少ないように感じる静奈はそんな反応を気にするでもなく他の候補と並んでおはようございます～を繰り返す　投票日前日には立ち会い演説会が設定されている体育館に全校生徒が集まり各クラスから選出された候補者の抱負や公約を聞く会である選挙の中では非常に重要な会であるが生徒会長選挙の立ち会い演説会がそんなに盛り上がるわけもなく言う方も聞く方も例年しらっとしている会であるこんな会を開かなくてもクラブを中心とした組織票がすでに固まっており会長当選者は事実上立候補の段階で決まっていることが多いと囁かれている　この日も例年通り選挙管理委員長のはじめの言葉から始まり推薦責任者の推薦の言葉候補者の演説がクラス毎に続く時折受け狙いの言葉が飛び出し笑いが起こるのは当選確実の候補からだろうか静奈は5組なので最後である4クラス分8人の演説を聴かされた後の5組の候補者の演説は正直言って不利とのみんなが思っている　推薦責任者である涼子の推薦の言葉が終わる美鏡静奈候補お願いします静奈の名前が呼ばれるはい静奈は短く答えると演台の前に立った右から左に体育館内を見回すと深呼吸をしてから演説を始めたそんなわけで私は笑顔あふれ誰もが安心して生活できる高校生活を・・・静奈の演説が続くいじめは生徒会長として絶対に許すわけにはいきません・・・そして授業をきちんときかない生徒も許すわけにはいきません・・・静奈にしては過激な言葉が口から飛び出す　聞いている生徒は最初はざわつきいらつきのため息や咳払いがわざとらしく響いたがしばらくすると潮が引くように収まりやがて静寂が体育館内を支配したこの時生徒達はまるで魅入られたようなあこがれるような目で静奈を見つめていた以上で終わります演説を終える声が発せられるしばらくすると会場を埋め尽くす拍手がわき起こったそして全員が満足げに笑顔を見せた　これで立ち会い演説会を終わります閉会の言葉が告げられると生徒達は下級生から体育館を後にするどの生徒もこの場から立ち去るのが惜しいように振り返り振り返り会場を後にしているそして視線は静奈を探しているようであった涼子はこの光景を見て静奈が小学校の時に児童会長に当選したときのことを思い出したそして静奈が生徒会長に当選することを確信した　翌日の投票日朝8時から投票所となる体育館が開場されたと同時に何十人もの生徒が投票所になだれこんできたクラス選出の選挙管理委員はあたふたと受付業務に取りかかる例年投票時間のピークはSHR開始10分ほど前であり開場してから40分近くはぱらぱらとやってくる生徒達を適度にさばけばすむはずであった受付をすませた生徒は我先にと投票用紙を受け取り記入すると満足げに投票箱に清き一票を投入する朝の投票が終わると投票箱は生徒会室に移されて昼の投票を待つがほとんどの生徒が朝のうちに投票をすませて居たために昼の投票を利用したのは遅刻した生徒の他にはいなかったこの日の投票率は今までになく高く９８％であったこれは具合が悪くて欠席した生徒以外は全て投票した結果である　開票は推薦責任者立ち会いの下選挙管理委員が行う施錠され保管されていた投票箱が開票所にあてられた教室中央に運ばれてくる委員長が開錠し中から投票用紙が取り出される周囲の机におおざっぱに分けられてた投票用紙は委員の手によって同じ名前が書かれた投票用紙ごとに取り分けられ10票毎にまとめられる全部が同じ名前かどうかを推薦責任者が机に呼ばれて確認する確認が終わるとさらに10束にまとめられて候補者の名前が書かれた紙が貼られた机に積み上げれる開票はこの作業が繰り返し行われる涼子は何度も机に呼ばれて確認する　決まったね選挙管理委員長が机に積み上げられた投票用紙の山を見ただけでつぶやいた机には美鏡静奈と書かれていた　静奈は会長に当選した翌日張り出された選挙結果には得票数が書かれていなかったただ会長当選　美鏡静奈　とだけ書かれているああ小学校の時と同じだ涼子は小さくつぶやいた小学校の時総投票数の９５％を得票した静奈の得票数は他の候補者とあまりにも差が付いているために公表されなかったのである民主主義の結果を公表しないのは異例であるがここは学校なので今後の執行部のためにも全てを公表してしまうのは得策とはいいきれないのであろう得票数については選挙管理委員に対して厳しい箝口令がしかれた静奈おめでとう涼子は大きく当選御鏡静奈と書かれた当選結果を前にして静奈と握手をかわした涼子ありがとうあなたのおかげだよと静奈は固く握手を返した会長となった静奈は生徒会顧問の教師と相談しながら他の役員の選出を始めた副会長に涼子を指名したほかは教師のアドバイスにしたがっていくつもある委員会の委員長と副委員長を決定した体験学習会　10月初旬の土曜日会長になったばかりの静奈と涼子は来年度入学を希望する中学生向けオープンキャンパスで挨拶と生徒会の説明をするために休日登校した中学生も生徒会活動は行っているので高校の活動との違いを説明するのが主な目的である会長になってまだ間もない生徒が説明するので中学生には今一つわかりにくい説明になっているのはアンケートで判明しているのであるがたどたどしい新会長の説明がとても誠実に聞こえるのも事実であり今年も静奈がお役目を果たすことになった　校長のあいさつ教頭の学校概要説明と続く中静奈はちょっと緊張するねと横に座っている涼子にささやく静奈がそんなことをいうなんて珍しいと涼子は思ったが座っている様子は凛としてなかなか様になっている同じようになれない場所に座っている中学生も緊張している様子がうかがえる　宮川中学校と書かれた看板の後ろに座っている生徒は生徒会席の静奈を見ると一様にあれっという顔をした宮川村には宮川中学校と宮川小学校しかなく今の中学3年生は静奈が小学校6年生の時に4年生だった生徒なので顔に見覚えがあるのであろう学校からの説明を聞いている間中静奈の顔をじっと見つめている生徒が多くいることをなんとなく感じる当の静奈がそんな中学生の視線を集めることがうれしいのか宮川中学生の列ににこにこと笑顔で返しているように見える中学生のみなさんこんにちは生徒会長になったばかりの御鏡静奈です宮川中学校出身ですもしかするとちらっと覚えている皆さんもいるかもしれませんちょっと笑いを取りながら静奈の挨拶は進んだ今日の体験学習を経験してこの高校はいいな～と少しでも感じることができた方はぜひ入学を考えてみてくださいねこれで終わります　ぱちぱちぱち・・・・中学生の間から大きな拍手が沸き起こった涼子はえっそんなたいした挨拶じゃなかったと思うけどと思いながらもお疲れさまいい挨拶だったよと静奈をねぎらった初の生徒総会　会長になってしばらくすると3年生から業務を引き継ぎ2年生主体の生徒総会を開催する会長である静奈や副会長の涼子他の委員長は春までの活動計画を立て生徒総会に臨むこの生徒総会は来年度のことを決める会なので３年生は出席しない１，２年生だけの生徒総会なのである厳密には総会とは言えない会ではあるが　静奈たちは委員長達を何度か招集し各委員会の事業計画を立案する立案と言っても毎年そんなに変わったことをするわけではないので前年度計画を踏襲したものが多いそれを委員会を開いて承認を受ける毎年この委員会はいいですかいいで～すで計画案が承認され生徒総会に回されることになるところが今年は委員会で提案が否決されることが起きていた理由は毎年同じでちっとも変わらないのはおかしいとの意見が一年生から出されているというのだ否決された意見を修正するのは時間的に難しくしかたがないので静奈たちは否決されて事実をまま生徒総会で再度審議することにした中でも一番もめそうな議題がスマートフォンの使い方についての議題である朝登校時からスマホの画面を眺めっぱなしでSHRを迎え授業中だけは手放すものの終わった瞬間にスマホを取り出し男子はゲーム女子はRINと呼ばれるチャットアプリに心を奪われてしまう症状が重くなると授業中も教師の目を盗んで机の下でこっそり操作している生徒もいるこうした現象はこの学校だけのものではなく全国で発生し深刻化している学校もあるこうした状況を学校側が見逃すはずはなくスマートフォンの持ち込み禁止を検討し始めていると脅しとも受け取れる話が生徒会につい最近持ち込まれた　スマートフォンについてを取り扱うのは風紀委員会である各クラスでスマホの扱いを話し合った結果は自主管理という結論が大半であるつまり何もしない現状維持ということであったこれに対して教師側は生徒総会に緊急議題としてスマホの学校持ち込み禁止を提案するという暴挙に出るという噂である生徒会規約では教師側も生徒総会に提案することが可能であり全校生徒のうち8割の賛成で議決することが可能となっているただこれまでにこの条項が使われたことはなく死文化しているとのことであった　そんなレアな提案が生徒総会でなされるかもしれないなんて今年の執行部は運が悪いとささやかれている事実上のスマホ禁止令に生徒の8割が賛成するとは思えないが提案されるだけでも静奈たちにとっては無為無策を指摘されるようでありあまりうれしい事態ではないただ各クラスでスマホについては現状維持となってきているのでこれを無視すれば執行部としての信頼をそこねかねない静奈と涼子駿平の3人は連日話し合いを持ったがうまい解決策をひねり出すことができないまま生徒会総会を迎えたのであるということでスマートフォンについては現状維持を提案します風紀委員長の声が体育館に響くそれでは決をとります提案に賛成するみなさんは挙手を・・・議長！教員席から挙手があったなんでしょうか生徒会規約に則り教員特別提案を行いますよろしいですね規約では教員特別提案は動議と同じですぐに審議しなくてはならないことになっているどうぞスマートフォンの扱いだけれど最近の諸君らの使い方には目に余るものがあるそこで職員一同はスマートフォンは学校では一切使ってはならないことを提案しますええー横暴だ声なき声が体育館中に響き渡る質問意見がありますか風紀委員会の提案は無視するのですか君たちの自主規制だけではもう授業に支障がでているもう待ったなしの状況なので提案にいたったのですいきなり持ち込み禁止なんてあまりにも横暴ではないですかだいたいこんな提案に生徒の8割が賛成するとでも思っているのですか授業にしっかり取り組みたいと考えている生徒がこの学校には多数いると授業アンケートでわかっている8割の賛成は得られると思っています決議はもちろん挙手ではなくて投票で行いますそんなのあんまりだ大きな声で反対意見を述べているのはごく少数の生徒であることは執行部はわかっている投票すればおそらく可決されるだろうと想像がつくこの動議を通してしまえば始まったばかりの新生徒会に対する信頼は大きく揺らぐことになり今後の生徒会活動がうまくいかないことが目に見えているどうしよっかな～困ったな～静奈はまっすぐ前を向いたまま涼子につぶやいた絶対絶命かな～物騒なことを言いながらも静奈の顔に余裕があるように見えるのは気のせいか　そういえば前にもこんなことがあったけ涼子は小学校の頃のことを思い出した静奈と涼子の母校宮川小学校にも児童会があった児童会長は選挙で選ぶクラスから会長候補を1名ずつ選出して5クラス5人に対して4年生以上が投票して会長を選出するというものであるだいたいどこの小学校もそんな方法ではないだろうかさてクラスから候補を選出する際に目立ちたがりの男子が選出されることが多い小学校なのでクラス内立候補でまま承認のケースもけっこうあるたまたま同級生だった静奈と涼子のクラスには自薦立候補の男子が誰もいなかったでは推薦で決めようと担任が挙手させようとしたのであるが誰も推薦しようとしない決めないわけにはいかないので担任の独自判断で無記名の投票をさせたのである結果選出されたのが静奈である第2位が涼子だったのでまま推薦責任者になったこの時まで静奈と涼子はそれほど仲良しだったわけではないが腐れ縁というか中学でもクラスが一緒高校でも一緒というわけで今の関係に落ち着いている　児童会長選挙当日欠席者を除いてほぼ全員投票という状況の中見事に静奈が会長に当選したのである票数は非公開であったが相当の得票数だったことは担任からの耳打ちで聞いたので知っている　そして初めての児童総会が開催された小学校の児童会なので進行や議題は全て担当教師が用意してあり会長をはじめとする役員は原稿を上手に読めば最後まで会が進行する手はずになっていたところがである緊急議題がありますと6年生が挙手をした昼休みが短すぎますもう5分でいいから長くできないでしょうか担当教師に促されて静奈がマイクの前に進むご意見はわかりましたすぐに返事はできないので先生と相談して決めたいと思います静奈はそう答えると自分の席に戻ったふつうはこれで終わるはずであるところがそんなこと言ってれば今年中に決まらないのではないでしょうかそれじゃあ僕たち6年生は納得できませんなんとかしてくださいこの一言で会場の体育館は騒然となってしまったそうだそうだなんとかしろこの際にと思ったのか6年生を中心に立ち上がって騒ぎ立てる児童いる静かにしてください議長の児童が連呼するがなかなか静粛にならないそろそろ教師の助け舟が入ると思うが児童会としてはちょっとかっこ悪いどうしよっかな～困ったな～静奈はぼそりとつぶやくと再びマイクに進んだあ～あ～みなさん座ってください最初はぼそりという座ってくださいね～今度は少し大きめの声で体育館内を見回すようにマイクに向かって声を出したすると徐々に体育館内は落ち着きはじめやがて静かな館内が戻ってきたそれでは児童会として給食早く準備するコンテストを開催したいと思いますこれはクラスごとに1か月給食の準備かかった時間を調べて平均した時間が一番短かったクラスを表彰するコンクールです詳しいことはまた連絡します決まるまでは練習しておいてください一気に発言するとくるりと静奈は自分の席に戻ったそっか給食の準備が早くなれば休み時間が増えるもんね会長なかなかやるね～涼子はこれまで5年生で特に目立つこともなくどっちかというと出来の悪い方に分類されていたらしい静奈を見直した提案もなかなかアイディアにあふれているが静奈が全校児童を前にして立つとどの児童もちゃんと静奈の話聴く体制に自然となったのが不思議だったのである　さて4年前のことを涼子が思い出しているとなんとかなるかな～静奈はすっと立ち上がり演台の発言用マイクに向かったマイクの前ですっと深呼吸すると発言を始めたみなさん会長として提案がありま～す体育館内を一渡り見回したまるで全員とアイコンタクトを確保しているかのようである気のせいか静奈の眠そう目が少しきりっとしたように見える体育館内はそれまでの喧騒がうように静かになっていくあの時と同じだ涼子はごくんと固唾を飲んで静奈を見つめる学校にスマホを持ってこないというのが理想ではあると思いますがそれではあまりにも不便ですそこで生徒会としては朝自分のロッカーにしまって施錠昼休みは使用OK後また帰りまではロッカーに保管することを提案しますがいかがでしょうか～しばらくは体育館内はし～んとしていたがやがてあちこちで相談する小さな声が聞こえるくらいなら妥協できるんじゃないの？あたりで手を打たないとほんとに持ち込み禁止にされちゃうよやがて賛成の意を示す小さな拍手があちこちで沸き起こりそれは体育館全体に包み込んだ今の会長の提案に賛成多数とみなしてよろしいでしょうか議長の確認に再び大きな拍手が起こったありがとうございました静奈は一礼すると自分の席に戻った会長すごいじゃないの涼子が耳元でささやくなんとかなって良かったよ静奈がぼそりとつぶやくといつものふわんふわんした表情の静奈に戻ったのである大根坂補完計画　宮川高校は長野県の南部伊那谷の真ん中あたりにある伊那谷と言えば中央アルプス駒ケ岳そこから流れ出る清流は天竜川に注ぎ込む時に段丘を激しく削り込むことになるおかげで静奈たちが通学に使うJR線は段丘に沿ってぐねぐねと回り道をしている宮川高校はそんな段丘の上に立っているしたがってここの生徒諸君は宮川駅を降りると急な坂を上らないと学校にたどり着くことができないこれまで静奈たちは駅から学校まで最短距離であることができる通称大根坂をダッシュすることで8時35分着の電車で朝のSHRに遅刻することなく登校することが出来ていたところがである年の6月の大雨で大根坂の一部が土砂崩れを起こしてしまい通行ができなくなってしまった生徒たちは大根坂よりずいぶん遠回りになる通称車道を通るしかなくなっていたこの車道は坂道ではあるもののきちんと舗装もされており歩道付きの立派な道路である学校側は当面大根坂は絶対通らないように車道を使って登下校するようにきつく生徒たちを指導している生徒の中にはそんな指導を振り切って通行禁止の大根坂を使っての登下校にチャレンジする猛者もいたががけ下に滑り落ちてけがをする生徒が出るにつれ絶対禁止のお達しが出る始末であった　学校側は登校時には駅側に下校時には学校側の大根坂に当番の教師をつけるようになったやがて当番が足りなくなったのか静奈たち生徒会にも立ち番をするように提案があった朝は電車から降りるとまま立ち番に入り大根坂を上らないように指導する帰りは大根坂の降り口で同じようにとうせんぼを行った生徒指導と書かれた腕章をつけて指導を行う静奈たち執行部は学校側の手先とみなされて生徒たちからの反発は日増しに強くなるようであったこのままでは生徒会は生徒たちから総スカンを受けてしまいそうです生徒会として対策を打ち出さないとまずい状況です副会長の涼子が発言するただ大根坂の修復工事は再三村に学校からお願いしているけれど予算がないとかで今年は無理なようなことを言われているみだいです涼子が続ける何かいい案があるかなあ会長の静奈がとろんとした眠そうな目で投げかける選挙の立会演説会ではあんなに切れ者っぽい演説を行った女子と同一人物とはとても思えないいまのところはないです涼子が続ける後は役場に直接交渉に行くくらいしか残ってないですどうする～役場に行っても相手にしてくれるかな～重要かつ深刻な話し合いをしているはずなのに静奈が口にするとどうにもふわんふわんしてしまうう～んここで話をしていても先に進まないからとにかく私がまず偵察に役場に行ってくるってのはどうかな？副会長の涼子の提案にうなずいた翌日の放課後涼子は駅の近くにある役場に出向いた村役場なのでそんなに大きな建物ではない今風の外観ではあるもののこじんまりとした建物である玄関をくぐると総合受付に座っている初老の職員に声をかけたあの宮川高校生徒会のものですが大根坂の補修のことでお願いに来ました担当の方にお会いしたいのですが取り次いでいただけますか涼子は使い慣れない敬語を精一杯使って用件を告げるあっ高校の方ねとりあえず総務課へ行ってください総務はそこの角を曲がった部屋ですありがとうございます教わった通り角を曲がり最初のドアを開けて中に入る室内では数名の職員が忙しそうに書類仕事をしているあのお宮川高校生徒会の者ですが大根坂の補修についてお願いにきたのですが一番入り口に近い職員が顔をあげて涼子の姿を認めると立ち上がり近寄ってきたああ高校の生徒さんね道路の補修なら2階の土木課が担当だからそっちがいいかなありがとうございます涼子は教わった通り2階への階段を上る2階の廊下には各課を示すプレートがぶらさがっている土木課と書かれたプレートが示すドアをノックするとどうぞと野太い声が聞こえたあのお宮川高校生徒会のものですが大根坂の補修についてああそれなら聞いてるよよかったと涼子はようやく独りでうなずいた土木課は現地の状況がわからないと動けないから下の総務で話をまずきいてもらってくれないかなあのお総務でここに行くように言われたんですがそうかあでもここじゃあ最初に動き出す権限がないからねえやっぱりまずは下かな暗にここから出ていくように言われていることを察して下に降りた総務へ行っても話が進むような気がしなくて役場の外へ一旦出るこれがたらい回しってやつかあ～涼子は大きくため息をついたどうしたらいいかなあアポなしの高校生じゃあこんな扱いになっちゃうんだね涼子はがっかりして肩を落として宮川駅に向かうと会長の静奈が駅にたたずんでいるのが見えたお疲れ～役場どうだった？静奈は涼子に向かってひらひらと胸のあたりで手を小さく振ると駆け寄ってきた静奈聞いてよどうもこうもないよあれはリアルたらいまわしってやつだよほんとにあるんだねえそうなんだ～そりゃあびっくりだね～静奈の間延びしたおしゃべりを聞いていると涼子に芽生えていたがっかり感がうように収まっていく学校から話を通してもらった方が早いかなあ静奈は現実的な方向に話を振り出すでもねえここまで放置されてきたんだから学校から行ったところではいわかりました～すぐ対処しますなんて話には絶対にならないと思うよ涼子が口をとがらせて反論する会長どうする？涼子から真剣なまなざしを向けられて静奈は決断を下したそうだね～いい考えがあるよ～まずはそこの自販機でジュース飲もっか今日は私がおごるからね？静奈の的外れな提案に涼子は今日ばかりはがっかりしたような安心したような複雑な顔をした隙に静奈が自販機に硬貨を投入し購入ボタンを押している涼子はアセロラソーダ私はオレンジソーダね静奈は一人で銘柄を決めるとがちゃがちゃ言わせて商品を取り出す２本購入すると自動販売機からあた～り～の声がしたうっそ～当たったよ自販機って当たるんだねじゃあこれね無料の３本目は牛乳コーラなる怪しいボタンを連打するお待たせ～これでも飲んで元気出そ言いながら静奈は涼子にペットボトルを渡し自分はアルミ缶の蓋をかちっと回すそれじゃあお疲れ～静奈は缶を小さく差し出して乾杯のまねをする涼子も同じようにボトルを合わせるとそれぞれ一口ずつ飲んだふ～おいしいね～こんな時静奈ののんびりした声が救いの声に聞こえてしまうのが不思議であるどうしよもう一度行ってみよっか静奈はボトルを飲みながら歩きだしたちょっ静奈待ってよ涼子は慌てて後を追うために立ち上がった駅から役場までの5分の間に涼子は役場でのたらいまわしっぷりをかいつまんで静奈に話したふ～んそうなんだ私が行ってもおんなじかもしれないね～まっ私も一応村人だから知ってる人がいるかも役場に知り合いがいるの涼子は期待を込めて静奈に聞くいるかなどうかなあ役場なんていつ行ったかも忘れるくらい用がないからね～誰かのお父さんやお母さんがいるかもねそそうなんだそれでよくすぐに行こうって気になるねまね～雰囲気っちゅうもんは行かなきゃわからんからね～　そんな話をしているうちに再び役場の玄関前であるじゃあ入ろっか足が涼子をうながすと２人は玄関をくぐった今度は静奈が受付の人に声をかけるあのお宮川高校生徒会会長　御鏡といいます大根坂の補修のことでお話を聞いて欲しいのですが取り次いでもらえますか～そんなほわんほわんしたしゃべりかたすれば余計に相手にされないよおと涼子は内心気が気ではないしばらくお待ちください受付の男性は総務課の方へ行くとなにやらごしょごしょと相談しているしばらくすると別の人がやってきた今度は総務課の人らしいお待たせしました村長がお会いしたいそうですえっさっきは全然相手にしてくれなかったのにどういうことだろねえねえ静奈って村長と知り合い？そんなわけないでしょ～顔も知らないよ～小声で静奈が応えるじゃあどうして会ってくれるのよそんなのわかんないよ～２人は男の係の人の後をついて総務課のさらに奥にある部屋に向かう村長室と書かれたドアのまえで職員は3回ノックしたどうぞ中から返事があった連れてきてくれた職員がドアを開けて２人を村長室に招き入れる失礼します中にお入りください２人が村長室に入ると同時に職員は外に出て行ってしまうやあやあどうぞどうぞそこに座ってください若い人はいいねえいるだけで元気になる気がするよあっはっは村長は豪快に笑うとソファに座るように促す２人は並んで長椅子に腰を下ろした宮川高校生徒会会長御鏡静奈といいます同じく副会長の玉川涼子ですいやあやあ村長の今井ですよろしく村長は右手を差し出すと3人と順番に握手をしたまあどうぞ座るようにうながす村長の合図にしたがって２人そろって浮かせた腰を再びソファに落としたお話と言うのは大根坂のことでしょうかな総務課から話が伝わっているのか村長から話題に切り込んできたそうですさっきは副会長の玉川がお話に伺ったのですがどうもうまく伝わらなかったみたいで静奈が応答するそれは申し訳ないことをしたこのとおり謝罪します深々と頭を下げる村長に涼子は目を丸くしているで大根坂を補修すればいいのですかなそれともこの際に手すりも完備した歩行者専用道路に生まれ変わらせればいいのですかなそりゃあ歩行者専用道路になれば歩きやすくなり今よりもいい大根坂になって後輩だって喜びます深くうなずく静奈じゃあ線で話を勧めようじゃあありませんかってことはまた通れるようになるってことですよねそうだねしばらくは工事で不自由なことになるかもしれないけど急がせれば年内には歩きやすい安全な歩行者専用通路に生まれ変わると思うよそれでどうかなもちろんそれでいいです先が見えていれば不自由があっても全校生徒が納得して待っていられると思います涼子は思わぬ展開に興奮気味で声のトーンが高くなっているじゃあ話はこれでまとまったね工事の詳しい進め方については明日にでも学校に業者を向かわせるから先生方と一緒に歩きやすい通路になるように打ち合わせをしてくださいねありがとうございますよろしくお願いします深々と頭を下げてソファから２人は立ち上がったそれでは失礼します涼子は退席しようと歩き始めたあっ会長さん御鏡さんだっけあっはい御鏡静奈ですちょっと御鏡さんは残ってくれませんか村長の意外な言葉に静奈はうなずき踵を返して村長室のソファに再び収まったいつの間にかドアを外からばたんと閉められた御鏡さん大きくなったねえ？？どこかでお会いしましたでしょうか御鏡さんは南沢に住んでるんだよね通りです南沢の農業道路の近くにある住宅団地です私が小さい時に土地を買って引っ越してきたと両親から聞いていますご両親は健在かねええおかげさまで元気に働いています静奈と村長の間で探りあうかのように当たりのさわりのない話が続く御鏡さんがまだ小さい頃あなたの家の前を通った時に庭で遊んでいる御鏡さんの姿を見ることができるといいことがあると噂になったことがあってねえ今井村長がとうとう核心に迫る話を切り出したええ～？？そんなの初耳ですそりゃあこのことを知っているのは日本でもほんの一部の人間だけだからね日本でですか私にそんなご利益があるなんて両親からも聞いたことないですそうだろうそうだろうと村長はうなずきながら話を進める私も知ったのは東京からここに来て村長になったばかりの頃でね噂については半信半疑だったのだけれど静奈さんの家の前を１日１回だけ通りあなたの姿を見ることができた日には新しいプランを職員に提案すれば耳を傾けてもらえることがわかったんですよふう～んしばらく静奈さんに頼っていたのだけれどどうすればいい提案ができるのかがだんだんわかり自力でできるようになりましたそれからはあまり頼らなくてもすむようになったんですよそうだったんですかこれは静奈さんがまだ２，３歳の頃の話なので今から１４，５年ほど前のことですうまくプランが通った翌日には野菜や果物をちょっとだけお礼にお渡ししていましたそうか毎日野菜や果物を渡されたのはそういうことなのかきっと他にも持ってきていた人がいたんだろうなあそこまで村長に貢献したのに報酬が野菜だけっていうのはみみっちい感じもするまっそんなわけであなたには恩義を感じているんです今でも不安な時はこっそりあなたの家の前を通って成就をお願いすることもあるんですよおっとこれこそ私の最大の秘密ですあなたが生徒会長になったことは聞いていたので副会長さんが話に来た時にこれは大根坂の話だなってぴんときましたお礼に新しい通路を作ってびっくりさせてやろうって子供みたいなことを考えてお二人を追い返してしまったので静奈会長のお気を悪くさせたかとびくびくしていましたそしたらすぐに２人でお見えになって頂いたので慌てて対応させていただいた次第です悪気は全くなかったのです申し訳ありませんでした村長はそういうと静奈に土下座をせんばかりに頭を下げているええ～全然大丈夫です気にしてないですじゃあ大根坂をよろしくお願いしますははお任せください最優先で取り掛かります　話をしているうちに村長はどんどん低姿勢になっていったじゃあまた来ます～静奈は丁寧ではあるものの相変わらずのふわんふわんした調子で挨拶をしながら村長室を出た村長のおいお送りしろという申し出には自分で帰るからいいです～と丁寧に断りつつ役場を退出したねえねえいったいどうなってんの役場の駐車場で涼子は静奈の顔を覗き込んで尋ねた私だってよくわかんないよ～まっ大根坂が補修されるっていうんだからいいじゃんかぶらぶらと駅までの道を歩きながら静奈って実はすごくいいとこのお嬢様だったんだねえ～そんなことないよ父も母も普通だようちだって３０年ローンだと思うよじゃあなんなんだろうねもしかして静奈にお参りすれば願いが叶うとか？ええ～っ恋愛成就するってか？それはないと思うよそんな力があれば私もっと勉強できるようになってるし今頃彼氏がたくさんいてうはうは状態だとと思うもんそだよね～はっきりうなずかれるとなんだか頭にくるなあぷんぷんあっでも今日の村長室でのことはみんなには内緒ねどうせ信じてもらえないし変に詮索されるのは私絶対に嫌だからね～うんわかったよ涼子はうなずいたいやきっと誰にも話すことはできないだろうなという予感がした　翌日の昼時に明日から大根坂の補修工事が始まるから不便だと思うけれどしばらく我慢するようにとの放送が流れた日の放課後静奈たちは職員室に呼び出されたお前たちなんだ役場に直訴に行ったのか？ちょうどのタイミングで役場も大根坂の補修工事を計画していたらしいぞさっき連絡があったところだ教師たちは静奈たちの訪問の成果だとは露程も思っていないようだまあ当然であろうで相談なんだけど工事期間中朝のSHRの時間を遅くして昼休みを削るか終わりを伸ばすか・・・朝のSHRを無くしてくださいうちの生徒なら授業には遅れないと思います静奈はきっぱりと迷いなく宣言した・・・そうかじゃあそうするかもし遅刻者が増えるようなら・・・大丈夫ですそうはなりません生徒会も対策します静奈のダメ押しの返事に教師はひるんだのかそれ以上追及してはこなかった　こののち朝のSHRの時間がカットされ大根坂を通らなくても歩いて授業に間に合うようになったそして大根坂の補修工事が村長の約束通り開始された静奈たちは従来のSHRの始まる時間になると大根坂の終点付近に出向いて後１５分で遅刻になるよ～遅刻が多いと大根坂の工事が止まっちゃうよ～と叫び続けたおかげか工事が始まっても遅刻者が大幅に増えることはなく順調に工事は進んだのである大根坂の工事の一部始終は生徒たちには内緒にされていたが静奈たち役員が役場を訪問したこと自体はけっこう知られており今年の生徒会の初仕事はすごいと高く評価されたのであるいよいよ3年生　様々な出来事があったものの静奈たち新執行部は3年生を送る会も無事に開催することができた3年生と豪華賞品のビンゴで楽しんだ後で入学時から撮りためた写真をスライドにして高校生活を振り返るというお決まりの送別会ではあったが静奈たち執行部は精一杯準備をして3年生を楽しませることに全力を傾けることができた　翌日挙行された卒業式において静奈は生徒会長として送辞を披露し3年生を送り出すことができた後で聞いた話では3年生のほとんどがなぜか静奈に投票してくれたらしい例年の選挙であればクラスやクラブでひそかに決めた候補に投票する組織票が存在し競り合う要因となるのであるがこの年の選挙だけは静奈が圧倒的に優勢だったのはこのためである　3年生が最後のHRを終えて生徒玄関に現れるころ在校生は外に出てアーチを作って卒業生を見送る風習がこの学校にある静奈たち執行部はアーチの最後に全員が集合してお疲れさまでしたと心を込めて3年生を見送ったのである静奈は多くの3年生から男女を問わず記念撮影と握手を求められ照れながらも応じていたちょっとしたアイドル並みに人気であった静奈を会長にしてくれた3年生がいよいよ卒業してしまうこれからは全て自分たちで切り抜けていかなくてはならないのかとスマホのシャッター音が響く中で静奈は決意を新たにしたのであった　卒業式が終わると続けて入学試験が行われるこの年の入学試験はなぜか志願者が前年度の1.5倍にもなったこの年倍率が上がった理由は学校関係者一同にはわからなかった涼子だけは中学生体験学習の際静奈会長挨拶時に中学生が見せた表情が気になっていた圧倒的人気で当選した生徒会長と児童会長もしかすると静奈には何か特別な力が備わっているのではないかとこの時初めて思い当たったのであるただそれがどんな力なのかは今一つぴんとこないただ人気があるだけならそこいらのアイドルだってたいした人気を集めている　そして迎えた入学式式次第が進み生徒会長歓迎の言葉になった新入生のみなさん保護者のみなさんご入学おめでとうございますそして生徒会へようこそ私が生徒会長の御鏡静奈ですこの学校では学校生活のかなりの部分を生徒が自主的に運営しています運営をになっているのが生徒会なのですもしみなさんが困った事があれば生徒会役員まで申し出てくださいそれでは早く学校生活に慣れるようにしてくださいぱちぱちぱち・・　静奈のお祝いの言葉が終わると式場は割れんばかりの拍手に包まれた静奈は一礼すると壇上から降りた式は粛々と進行しこれで入学式を終わりますの教頭の宣言と共に入学式は無事に終了した文化祭大問題発生　夏も近づく7月初旬宮川高校では例年文化祭が開催される金曜日に前夜祭土日と一般公開を行うという割と普通の開催日程である生徒会執行部である静奈と涼子の駿平は5月の連休明けから準備に忙殺されてきたそして残り一週間に文化祭が迫りいよいよ学校の授業も半日となり準備もラストスパートを迎えるええっ～校長室に静奈たちのつぶやきが響く生徒会がどうしてもというからせっかく半日にして文化祭準備の時間としているのに学校を抜け出して煙草を吸っていたなんて生徒の意識統一ができてない証拠じゃないのかねほんとうにすみません静奈は生徒を代表して学校長に平謝りするこんなだったら特別日課にする必要はないよなあ分授業をやった方が効いいんじゃないかな同席していた生徒指導主任もここぞとばかり追い込みをかけてくるそんなことないです普通の授業時間では準備が間に合いませんどうかこのまま続けさせてください喫煙した生徒はしばらく家庭反省ってことでいいかなそれはお任せしますどうか文化祭への協力をお願いしますここは静奈たちはひたすら守勢に入るしかないまあ今回は生徒会執行部の日頃の活動を信じてこのまま継続でどうでしょうか教頭が助け舟を出したなんだか変な感じだね～静奈は涼子にだけ聞こえる声でぼそっとつぶやいた生徒の喫煙を生徒会に言ったって解決しないと思うけどな～校長室を出るとそれまで黙っていた涼子が言う校長って大根坂の一件以来静奈のことをよく思ってないんじゃないかなあなんでかな～生徒相手に大人げないぞ～静奈がほわんほわんしたいつもの調子に戻った私たちが学校を通さずに役場に乗り込んで解決しちゃったことをいまだに根に持っているんだよ学校が真剣に対応しないからだよ解決しちゃったものはしょうがないじゃんね～そんなことを根に持つなんて校長としてどうかと思うよ静奈はそれほど気にしていないように見えるしかし静奈を怒らせるとほんとうに怖いことは涼子たちはよく知っている神の御力喫煙抜け出し事件のすぐ後のことであるびーっびーっ準備のために全校集会が開かれている最中準備期間中は所持が許されているスマートフォンが一斉に不気味な音を立てて鳴り響いたなんだ地震かいやこれはKアラートだ今度は生徒の間からざわざわと騒ぎが広がった某国よりミサイルが発射されました国民のみなさんにお伝えします○県県△県のみなさんは安全な場所に避難してくださいできれば屋内にだめならば物陰に隠れるようにしてくださいこれは訓練ではありません実際に起きていることですびーっびーっ各人のスマホから鳴り響くと共に全校一斉放送が国からの緊急放送に切り替わり教室のスピーカーから大きな警報音が鳴り響く生徒のみなさんは静かにしてください頭を足の間にはさんで保護してください加えて校庭に設置されている地元向け広報のスピーカーからも大音量で鳴り響いているびーっびーっ複数の場所でどんどん大きくなる不気味な警報音で頭が痛くなりそうであるミサイルは海上に墜落しました警戒態勢を解いてくださいこのような状況が3日連続している文化祭も近いというのに土日は外出を控えるよう政府方針が出されているこのままでは文化祭を開催することができなくなってしまうこのままでは文化祭の開催は難しいと思うミサイルの発射状況が好転するまで文化祭の開催は無期限延期にせざるを得ないと思うが生徒会はどう考えるかね校長室に呼び出された静奈と涼子は学校長より相談を受けた状況としては相談というよりも申し渡しに近い言い方なのが気になるもともと校長は静奈たち生徒会の面々を良く思っていない節があるやっぱり大根坂かな校長のメンツをつぶしたことでどうにも静奈たちはやりにくい状況を作ってしまったよりによってこの場面でメンツ回復にしなくてもいいのになと涼子は思った国の方針とあれば文化祭を高校生がやっているどころではないので無期限延期か中止もやむを得ないと考えますが学校で開催を決めることができるのであれば校長先生の英断でなんとか実施してください生徒も地域の方もうちの文化祭を楽しみにしていますまあもうじき国の方針がでるだろうから時にはっきり決めればいいだろう？君たちの意見ではどうしようもないこともあるんだよそれがわかればよろしい静奈と涼子はうなだれて校長室を後にしたちぇー校長のやつこんなところで仕返しするなんて大人げないなでもこればっかりはやつの言うとおり私たちじゃあどうしようもないことだねそうだね～どうしようもないかもね～この緊急事態でも静奈はほわんほわんしたままらしいああーむかつくー涼子がいらいらして叫んだ　日の午後全校集会で校長から重要発表があるとして全校生徒が集められることになった内容がわかっている静奈と涼子は体育館への足取りも重い体育館の玄関をくぐったころ放送が入った生徒会長御鏡さん副会長玉川さんは校長室に大至急来てください失礼します御鏡と玉川です呼ばれてまいりました　校長室には今井村長と静奈たちが初めて会ったスーツ姿で眼光鋭い男2二人がソファに座っている校長が3人と対応している御鏡さんこの方々があなたに話があるそうだ村長だけでも嫌な相手なのに政府筋の高級官僚も一緒とあって校長は今までに見たことがない低姿勢である御鏡様お久しぶりですそして玉川さんもお元気そうですね今井村長が深々と頭を下げたああー村長さんだお久しぶりですあれえ静奈は様付けになってるし・・涼子は静奈と顔を見合わせたスーツ姿の男2人が立ち上がって静奈に頭を下げる初めまして御鏡様我々は内閣総理大臣直属の特務機関通称M機関の者ですこちらこそこんにちは～Mさんがなんの御用ですか～涼子は内心びびってしまい生きた心地がしないははっ静奈様にお会いできて光栄ですえ～私はそんな光栄になるほどのもんじゃないです静奈はとんちんかんな応答をしている鍛錬は日々重ねておりますが不調法があったらすぐにご指摘くださいM機関と名乗った男たちは見かけによらず低姿勢奈挨拶を重ねた御鏡様昨年は役場までおいでいただきありがとうございました今日お連れしたのはM機関のお二人です私は村長になる前はこのM機関に勤務しておりましたこの二人は当時の部下だが今は私よりも出世しているはずですM機関ってなんですか～静奈が村長の顔を見ながら訪ねたM機関は村長は言葉を切ったそして秘密を打ち明けるように声を潜めて続ける神様を現代の力でサポートする政府機関です総理大臣であってもM機関の力なしには政権を運営することはできませんそうなんだ～それは知らなかったです総理大臣に就任すると最初の仕事がM機関に出向いて神についてのレクチャを受ける事です日本の最高機密をつかさどるM機関の一員であることは非常に名誉ある事なのですただこのことを他所にもらすことは一切できません私がM機関に籍を残したまま宮川村の村長になったのは御鏡様の近くにいて護衛を兼ねつつすぐにお力になることができるようにするためだったのですそれでM機関が私になんの用でしょうか～御鏡様は現在確認されているただ一人の神様なのです今回外交分野で御鏡さんの神のお力にすがらなくては解決しないことが生じました村長が答える私の力とはあなた様の神の御力におすがりしたいのですまたまたそんな力はありません私はただの女子高校生ですいや御鏡様のお力が本物であることはこれまでの活躍で証明されているあなたは正真正銘現代に降臨した女神なのですそれで何をしろというのですか私ここの生徒会長なので文化祭準備に忙しいんですできれば今はここを離れたくないんだけどね～静奈は半ば本気で答える今の静奈に文化祭を成功させる以上に重要な課題はないあなた様にお願いしたいのは3日連続している某国のミサイル発射を阻止して頂きたいのですミサイルは今のところ海上に落下していますが次は内陸部に落とすと通告が出ています国として人に被害ができるのはなんとしてでも避けたいしかしこのまま外交ルートを使っての交渉では時間がかかりすぎて某国の大統領は本当に内陸部に落とすでしょうそれを防ぐために静奈様の力にすがりたいのですそんな難しいこと私には無理ですよ～静奈は即答で断ったうまくすれば文化祭を予定通り開催できるかもしれません村長からすかさず説得の言葉が入った文化祭が開催できるのかあ～静奈の心が少し動いた御鏡様ぜひお願いします　村長とM機関の２人が深々と頭を下げるのを見て校長は目を白黒させている自分のところの生徒が神様だといきなり言われてもぴんと来ないらしいでも校長先生がうんといってくれそうもないんだよね～文化祭より授業の方が大事ってついこの間念を押されたばかりだしね～学校長文部科学大臣はこのM機関の管理下にあるんだがね御鏡様のお力を借りることに何か異論がありますかねいや滅相もありません御鏡君存分に協力してやってください校長は顔を真っ青にして震えながら答えたほんとにいいんですね～わかりました私で何か力になれることがあるのならやってみましょうありがとうございますこれで日本は救われますではすぐに出発の準備をさせてください　M機関の男たちは持っていたアタッシュケースを広げると中にセットされているシステムに二人が所持しているキーを差し込んだするとびーんという音と共にシステムが起動するパスワードを入力しいくつかのコマンドを入力するそれでは２人とも校庭に出てください　静奈たち２人と村長M機関の５人は校庭に出たほどなくして近くの山間から大型ヘリコプタが飛来するヘリコプタは宮川高校校庭の上空で旋回を始めた校庭にいる生徒は直ちに校舎内に入りなさい最初は点のように見えていたヘリコプタはあっという間に降下し宮川高校のグランドに着陸した生徒たちは教室から何事が起きたのかと校庭をじっと見ているヘリコプタから数名の係員が降りると外の扉を気泡して静奈たちを招き入れた静奈が指定されたシートに着座するとすかさずシートベルトが装着される静奈と涼子は並んで座り両端をM機関の二人が挟んで着席する準備が整うとヘリコプタは地面からふわりと浮き上がった上空で一度旋回すると北へ向かって全速前進し北方約６０ｋｍの位置にある地方空港に向かった狭い機内ですが短時間ですのでご容赦ください前方の席に座った村長から静奈に声がかかった私ヘリコプタに乗るのなんて初めてだようるさいけどけっこう快適だね30分ほど搭乗するとヘリコプタは小さな空港に着陸したそこには手際の良いことに既に政府専用機が離陸準備を終えて待機していた静奈たちは政府専用機に乗り込むと機体はただちに離陸を開始したぴーん本機は水平飛行に移りましたしばらくは安定した飛行をお楽しみください機長よりアナウンスがある初めて乗った飛行機が政府専用機なって私くらいのもんだろうな～シートベルト外しながら静奈は涼子に話しかけたこれからどこに連れていかれんだろうね2人がようやく話をする余裕が出たころ村長が静奈の前にびしっとスーツを着こなした60歳を過ぎたくらいの男性を案内したあっこの人知っているもしかして総理大臣さんかな～静奈が顔を見るなり声をかけたお見知りいただき大変光栄です現総理大臣阿川です静奈様よろしくお願いします　旅客機の中に既に搭乗していたのは時の内閣総理大臣人であるM機関の二人が起動したシステムはM有事発生時対応システムであるこれが起動すると直ちに政府専用機は首相を乗せて離陸する仕組みらしい大変なことになった涼子は豪華なソファにシートベルト閉めたまま離陸上昇する旅客機内で緊張の極致に達していた御鏡静奈様今回は無理をお願いして大変申し訳ございません日本をお預かりする内閣総理大臣として御礼を申し上げますあなた様のことは代々内閣総理大臣に引き継がれる国家の最高機密なのですそして補佐である玉川涼子様にもお手をわずらわせてしまい申し訳ありませんテレビでしか見たことがない本物の総理大臣が今静奈と涼子の前に直立不動の姿勢を取って敬意を表しているのである静奈様に今回お願いするのは某国大統領との秘密会談への同席ですかの国はミサイルを我が国へ3日連続打ち込み脅しをかけておりますこちらからの説得に耳を貸しません今までも同じ状況はあったのですが今までとはちょっと違う報告が入っています某国では大統領を止める側近はおらず暴走状態かもしれませんこのままだと戦争に発展しかねない状況なのですそんな相手を説得なんてできるのかしらつい涼子が口をはさんでしまった大統領との秘密会談をする約束までは取り付けておりますお恥ずかしい限りここから先の展開が描けておりません静奈様に同席して頂きかの国の大統領に我が国との平和条約締結についてうんと言わせて欲しいのです日本国首相として力不足を恥じたうえでのお願いですどうかご協力お願いします静奈はふ～んと事情を聞いていたで私は具体的にはどうすればいいのかな～静奈はあまり乗り気でない興味なさそうにしている神は日本の守り神ではない普段は何もしてくれないが興味を持ってもらえれば気まぐれに協力してくれる可能性があるというのがM機関の分析結果である静奈様は某国との首脳会談の折に首相側近として誠に失礼ながら私の部下として近くにいていただきたいのですいるだけでかまいませんほんとに傍にいるだけでいいのかな～つまらなそうに出来の悪い弟の隠し事を探るように質問するすみません説明が足りませんでした傍にいて神としての力を使って頂きたいのですあなたはどこまで私のことを知っているのかな~静奈様は古来日本の八百万の神々の一人だと伝えられておりますお力が今回必要なのですほんとうにそれだけかな～言葉はゆるいが刺すようなまなざしで総理大臣に問う総理は意を決して静奈にこたえるすみませんもし交渉が決裂した場合には大統領を失脚させて欲しいのです失脚ってどうすればいいのかしらね～まさか殺せってことじゃないよね～静奈は一人でぶつぶつ何か言っているしばらくすると顔を上げて答えを告げたわかりました協力しましょうありがとうございます　飛行機内で静奈と涼子は高校の制服から準備されていた黒色のビジネススーツに着替えた白のブラウスに黒のタイトスカート同じく黒のジャケット着こむ地味ではあるが洗練された服装に加えて専属のスタイリストさんがやぼったい田舎の高校生を出来る大人の女に仕上げてくれた化粧を施された静奈と涼子はほほ～だのなかなかいいねなどとお互いにはしゃいでいる総理大臣のいる居室に戻ると打ち合わせをしていた面々が日本を代表する素敵なレディーが二人も現れたよ素敵だねなどと口々に言うものだから緊張感をちょっとの間だけでもほぐすことができたのである　某国の領空に入るとさっそく迎撃用戦闘機が出迎える過去に撃墜事件を起こしており機内は緊張感に包まれた今日は迎えと護衛のためにスクランブル発進したらしく政府専用機は高度を徐々に落として着陸態勢に入った軽いショックと共に某国飛行場に無事着陸する飛行場の見える範囲にはこれといったものは何もないなんか寂しいとこだねえ～政府専用機からタラップを使って地上に降りるすぐ下に黒塗りの乗用車が横付けされており静奈達は乗り込んだ車内では誰もしゃべることがなく重苦しい空気が支配しているねえこの車はどこに向かっているの～静奈は沈黙を破って助手席の軍服を着た護衛らしきいかつい男性にしゃべりかけたjdgflakaldjfa;返事をしてくれたようであるが日本語ではないでの静奈にはわからなかった日本語しゃべれますかホトンドワカラナイなんだしゃべれるじゃないですか～ヨケイナコトヲシャベルトアトデオコラレルマスダカラダマッテイマスこれを聞いていた運転手が口をはさんだこっちが現地語らしいrutiehdjsfnshdこれからどこへいきますか静奈は改めて二人に質問したダイトウリョウカンテイニムカッテイマスそうなんだ～ありがとっこっちの兵士が車に乗せている乗客に話をするなんて私は初めて見ましたよM機関の一人が驚いて静奈に耳打ちした車は首脳会談会場らしき大きな建物のこれまた大きな車寄せに滑り込んだ車から降りると迎賓館らしき建物内に全員が入った玄関から会談の間らしい豪華な部屋に入いると総理大臣は指定の椅子に着席する横にM機関の二人さらに後ろに静奈と涼子が控える形となった今井村長はさらに後ろに控えている　ほどなく某国大統領がこちらと同じ5人の取り巻きを従えて現れた机をはさんで同じように着座するハジメマシテダイトウリョウノSIです日本国首相です双方挨拶から会談は始まった今年この国は干ばつが激しくて・・・日本は酷暑に参っています結果主食の米の収穫量が激減しているしかし日本の輸出制裁のおかげで輸入することもできず国民は食べるものがないでは制裁が解除されるようにこちらの要求を呑んではどうかそれは簡単にはできない大統領権限で行えば問題ないのではないか様々なテーマで揺さぶりをかけるがどれについても最後は結論を出すことが出来ずにあいまいに終わりになってしまう会談が始まって2時間が経過した外交についてはど素人の静奈にも某国が何かを待っているのがわかる退屈だね～お腹も空いたし一人一人の机には蓋つきの湯のみが用意されているセットで急須らしきものもあるのでのどが渇けばこれを飲めばいいらしいもし何か入っているといけませんお飲みにならないほうが賢明です静奈は湯飲みからお茶らしきものを飲もうとしたがM機関の二人に小声で制止されたでもね～のど渇いたんだよね～大丈夫だよ余計なことを言うなとばかりに静奈は湯飲みの蓋を外すと手に持って一口飲んだどうやらジャスミンティーらしいうんなかなかおいしいよダイジョブだよお茶を一口飲むことも不自由な会談に座っているだけの静奈のいらいらが高まるぐうぅ～静奈のお腹から可愛い音が鳴ったこれはまずい非常にまずい隣に座っている涼子は誰よりも緊急事態を危惧し始めたく～　静奈が腹を空かせて今までにいいことがあったためしがないそういえば久しぶりに静奈のお腹の音を聞いた気がする前に聞いたときどうやってなだめたんだっけ涼子は緊張と空腹でぼーっとした頭で必死に考えてみるしかし静奈に何かおいしいものを食わす以外解決方法を思いつかないそれは承知できない大統領の何回目かの要求を否定する言葉が日本語に通訳されて首相に伝えられたこんなのが外交なのこんな白々しいやり取りで国同士が仲良くなれるわけないじゃんこんなんだったら最初からやるかやらないかイエスかノーかだめかいいのかソッコーで決めりゃあいいじゃんばかばかしいったらありゃしない駆け引きとかけてばかばかしいと説く 心は頭に来る来る来たもうガマンできない・・・静奈の顔から表情が失われたことに気が付いたのは涼子であるこの表情は非常にまずいああっ静奈だめ～涼子の小さな叫び声にM機関の二人が呼応するように静奈の前面に立って守りの体制に入るこんなくだらない会は不要とみなすどいつもこいつも我の言うことに従え~静奈の髪が逆立った全身が虹色に発光を始めている静奈の本気の力を初めて目にする周囲の人たち本物の神の力のオーラに圧倒されるいつの間にか首相も大統領も静奈に完璧に魅了されてしまい敬虔な使徒のように二人並んで神の言葉を待つ2人は仲良くしないとだめだぞ～ははっわかりました仰せに従い両国は平和条約を直ちに締結某国と交流を再開します2人の言葉を聞き届けると静奈は神の言葉を発したよかろう直ちに食事を用意しなさいもちろんデザート付きだよ～次の瞬間静奈はまた元の静奈に戻っていたてへまたやっちゃったかなでも平和条約を結ぶことができたんだから全てよしだよねよかったよかった　こうして静奈は日本国総理大臣と某国大統領とが平和条約を結ぶことに成功したのであるあれが本物の神なのかM機関に伝わる話はただの伝説ではなかった　静奈の力をまじかに見た首相は放心状態となってつぶやいた目の前にいるの女の子と言ってもおかしくない年頃の少女はいわゆる神が憑いた状態ではなく本人が神ものであることを自分の目で確かめてしまった　500年ぶりに神の降臨を目にした現首相は運がいいのかはたまた最悪なのかすぐには判断は付きそうにもなかったそれは某国大統領にとっても同じである某国にとって今後神の存在知ってしまった事がどのように影響するのか全くかわからない某国には八百万の神などという概念はなくこの大統領が初めて経験した今までにない状況を抱えた首相は当面さらに頭を悩ますことになるであろう　M機関によれば前に神と会ったのは徳川家康らしい結果何が起こるのか江戸幕府は内情を外に示すことはほとんどなかったあの時何かを国全体で隠すように鎖国まで突き進んだのである　何はともあれ某国と秘密裏に平和条約を結ぶことに成功した首相は詳細な事務手続きは事務官に任せて政府専用機に乗り込み帰国の途についたねえうちの学校の文化祭予定通り開催して大丈夫だよね？静奈は機内で首相に詰め寄るももちろん大丈夫です行事中止を取り消す通告を直ちに出すように文科省に連絡しますよかった～じゃあすぐ学校に帰るね～このまま送ってくれるよね～この飛行機では無理なので途中でヘリコプタに乗り換えますがそれでいいですかどうでもいいけどなるべく早くお願いしますそれとお腹が空いたな～そういうが早いか静奈のお腹からまたくぅ～とかわいらしい音が聞こえたえへへ失礼しましたぺろんと静奈は舌を出して笑った某国で起こった状況を見ている首相とM機関の面々は背筋がぞくっと震えた　30時間ぶりに静奈は宮川高校に戻ることができた校庭にヘリが着陸すると静奈と涼子は振り返りもせずに体育館に猛ダッシュするそんなに急ぐと転びますよ日本を代表する実力者それも首相がいう言葉ではないが本気で心配している様子がわかるそんな場合じゃないの～なんとか文化祭の開会式に間に合いそうなんだからね～そう言って全力で走る静奈はどこにでもいる女子高校生にしか見えなかった終わり[あらすじ]　宮川高校の近くで交通事故が多数発生高校生が何人も犠牲になってしまう御鏡静奈率いる生徒会は交通事故撲滅のために大掛かりなキャンペーンを実施するがあざ笑うかのように事故は発生し続ける事故の謎に迫る静奈と玉川涼子がたどり着いた事故原因は・・・隣の女神様２　重力の謎を解け　１　宮川高校は普段は新聞記者がやってくるような大きな事件は発生することなどまあない落ち着いた学校である先日この辺りでは見かけることがない大型ヘリコプタが短期間に立て続けに離着陸を繰り返したことは宮川村の人々には記憶に新しい珍しく高校で事件発生かと不謹慎にもわくわくした村民もいたらしいが急病人とけが人を県の大きな病院に運ぶために宮川高校校庭を貸したと役場が発表したことで皆の記憶から忘れられようとしていた本日緊急生徒集会を開くので生徒会執行部の皆さんは体育館の準備をしてください　生徒会顧問から呼び出された生徒会長　御鏡静奈（みかがみ　しずな）と玉川涼子（たまがわ　りょうこ）は何事が起きたのかと気を張り詰めた何が起こったのですか骨折を伴う自転車事故だ上の農道で起きたんだ大けがですか幸い2日ほどの入院で済みそうだと連絡がさっき入ったばかりだよそれでもみんなの大切な命を保護者から預かっているのだから注意をしておきたいんだ準備よろしくね　静奈と涼子は放送委員長の生徒に連絡し体育館内の放送が使えるように手配をする集会時間が近づくと集まってきた生徒を各クラスの級長が整列させることになっている生徒会長は集会時の総責任者という立場であるこれから全校集会を始めます礼　副会長である涼子が号令をかける生徒指導主任よりお話があります生徒のみなさんは場に静かに座ってください　生徒指導かよ何があったんだ生徒の間からざわめきが聞こえる今朝の登校時自転車で1年生が農道を走っていて転倒しましたまま道路上を滑っていきガードレールにぶつかり止まりました左手を骨折し救急車で病院に運ばれました 幸いなことに車の通行が途切れた直後だったためにこの程度ですみましたが直後に車が来ていたり対向車線にはみ出していれば命が失われる危険性もあった重大事故です生徒の皆さんは今一度自転車の乗り方に充分に注意して安全運転をこころがけてくださいそれと自転車に乗る際には必ず保険に入ってください生徒会長　御鏡さんより挨拶があります　指名されて静奈が演台に進み出る生徒の皆さん今説明があったとおり自転車事故は非常に怖いものですもしかするとみなさんの尊い命が失われることになりかねません充分注意してください　昨年までは生徒集会といえば全校生徒を静粛にさせるのに多大なるエネルギーが必要であったが今年は静奈が前に立つだけで静かになってしまう生徒の質が変わってきたのだろうかそれではこれで集会を終わりますみなさん起立してください姿勢を正して礼3年生より解散してください　涼子の号令で生徒たちは立ち上がり教室に向かって歩き出すこれから体育の授業のクラスは体育館に残って整列しようと動き出した生徒会長ってこんな役目もあったんだね～知らんかったよ　会長の静奈はぼやいた今朝は挨拶運動や立ち番も珍しくない日でクラスでぼんやりと朝を楽しんでいたところに生徒会顧問の呼び出しがあったなんだろうと職員室に向かったところ全校集会のセッテイングを申し付かったというわけだまっ緊急集会はそうしょっちゅうあるわけでないからしょうがないか　静奈は自分で自分を慰めて1時間目の授業の準備をするために個人ロッカーから教科書やノートを取り出すと教室に戻りしぶしぶ授業を受ける体制を整えたのであるき～んこ～んか～んこ～んやった～ようやくお昼だ～　静奈と涼子は授業が終わったばかりの教室から弁当を持って飛び出し生徒会室に向かったほんとうはクラスメイトとくだらないことをだべりながら教室で食べたほうが楽しいのであるが生徒会役員は仕事をすぐに片付けることができるように生徒会室で昼食を摂ることを義務付けられている2人は生徒会室を開錠すると中に入り窓を開けて空気を入れ替える2人には広すぎる会議用長机に陣取ると弁当箱を取り出したいっただっきま～す　静奈は胸元で小さくを手を合わせると食事の挨拶を済ませる今日のメインディッシュは静奈の大好物の唐揚げである唐揚げを豪快に箸ですくい上げ今まさに口に入れようとした瞬間生徒会室の内線電話がりり～んと音を立てたちっはい生徒会室です　学校で生徒が内線電話に触ることなど放送室とこの生徒会室だけである最初のちっは受話器を上げる前に発している御鏡かはいそうですごはん中に悪いんだけど大至急職員室に来てくれないかなわかりました涼子とすぐに向かいます静奈は受話器を置くと涼子に向かって嫌そうに話しかけたはい行くよ嫌だ　涼子は口では拒否しているが身体はもう動いて歩き出していた失礼します御鏡と玉川が参りましたおっ悪いな何があったんですかうん悪い知らせだまた自転車の事故が起きたえっ今朝緊急集会を開いたばかりじゃないですかそうなんだけど遅刻した1年生が自転車をかなりのスピードでぶっ飛ばしていて自動車にぶつかったんだ場所はまた農道だ　静奈と涼子は顔を見合わせたけがの具合はどうなんでしょうか今病院に担任と保護者が行っているけど骨折程度で命に別状はないらしいそれは良かったです～　静奈は思わず声をもらした朝集会を開いたばかりでまた事故なんてちょっと嫌ですね涼子が真剣な表情で答えたでも生徒の命は何よりも大事だから昼休みの後にもう一度全校集会を開くことになったそんなわけでまた準備を頼むわかりました　2人は事情がわかると職員室を後にしたうちらのお昼はどうなるの～　静奈と涼子はぶつぶつつぶやきながらも午後の集会の準備にかかったこれで全校集会を終わります　本日2回目の集会後生徒は三々五々教室に戻った連続事故の発生にさすがの生徒たちも注意を強めたのがよかったのか翌日は何も起きなかったしかし週末また事故が発生してしまった今度は生徒が入院しなくてはならない自転車事故であるいくら何でも事故が多すぎるんじゃないかと学校も役場もなんかおかしいと感じ始めていたそして生徒たちの間ではこの学校は何かに呪われているのではないかとのうわさが徐々に浸透したのである　２うーんさすがに信州は涼しいなあ　中央ハイウエイを制限速度を守って走ったとしても東京から２時間弱で信州入りすることが出来る信州は残暑厳しい東京からすると別世界のようであるこれが諏訪湖かでっかいな　途中で寄った中央ハイウエイのサービスエリアから一望できる大きな湖に東谷健一（ひがしたに　けんいち）は目を見張ったあと１時間かなあもうじきだな　諏訪から谷あいをすり抜けるように走りぬけると中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷に入る伊那部ＩＣを降りたら右折して西へ向かう左手には大学の農学部だろうか広い農場がある大きな交差点を左折して南へと車を走らせる田舎だけど結構良い道だなあ農道なんだあははは農耕車優先だってさ　牧草地を通ったかと思うと大きくカーブして谷底へ降りる伊那部ＩＣから２０分谷底からきつい坂を一気に駆け登ると一面田んぼののどかな田園風景が目に飛び込んで来たここから先が宮川村であるさて宮川村の役場はと・・・・　送られて来た地図とナビゲーションシステムを見ながら目的地を確認する信号を左折して直進・・・かわかったあれか　見通しの良い農道に一つだけ信号があった健一はそこを左折して坂を下る牧草地の真ん中に立派な３階建の建物がそびえていた　健一は役場の駐車場に車を止めて車を降りると庁舎内に入るあのう東谷といいますが・・・やあやあ村長さんがお待ちだよささどうぞどうぞ　受け付けの女性は名字を名乗っただけで健一の用件がわかったらしい先頭に立って村長室に案内していくこちらですやあお待ちしていました宮川村村長の今井ですさあどうぞ　村長の今井は見事な銀髪の持ち主であったなかなかのロマンスグレーで想像していた田舎おじさんとは大分違っているまあおかけください遠かったでしょう　勧められるままに座ると先程の女性が冷たい麦茶を運んで来た東谷健一と申します　健一と今井村長は簡単に挨拶を交わす秘書の女性が部屋を出るのをまって今井村長が口を開いた東谷君はM機関所属だね　健一はずばり言われて返答をためらった隠す必要はない私もM機関OBなんだこの部屋はレベル３の防諜対策が施されているから外に話がもれることはないよそうなんですか今回のことはどこまで知らされているんだねどこまでと言われてもここに行けという指令しか受け取っていませんではM機関で何をするのかも君はまだあまりわかっていないんだねそういうことになります簡単な研修ばかりでをこなしていましたからそっかそっかまあそれでいいここに派遣されたってことはいよいよM機関員としての活躍を期待されたってことだからね　今井村長は一人で納得しているが健一にはちっともわからない健一はM機関員として国家公務員あるが公の身分は国の外郭団体の一つであるM企画職員ということになっているしかしM機関とはなんなのか未だによくわかっていないそうそう東谷君君宮川高校の数学科講師も兼任してもらうからよろしく頼む　M機関長から早口にそんな話を聞いた気もするけどほんとにやるんだそりゃ教員免許は持ってるけどと内心で問答をするまっよろしく頼む　今井村長がソファから立ち上がったタイミングに合わせるように村長室の扉をノックする音が聞こえた失礼します御鏡と玉川です入って来たのは高校生らしい少女二人であるこの二人は宮川高校生徒会会長と副会長だよ学校への紹介は明日になっているが先に紹介しておく生徒会長の御鏡静奈です東谷先生宮川高校へようこそ同じく副会長の玉川涼子ですよろしくお願いいたします2人の少女はぺこりと頭を下げた学校ではなくて村役場の村長室で女子生徒を紹介されたことに健一は違和感を感じたがこちらこそよろしくお願いします数学を担当する予定ですそういって挨拶を済ませると数学教師に早くなりきれるように気持ちを切り替え始めた　３さあさあ村内を案内しましょうこの阿部君が君達のお手伝いをしてくれるからなんでも相談して下さい　今井村長は東谷とさほど年が変わらないであろう一人の青年を紹介した阿部ですよろしくお願いします東谷健一ですこちらこそよろしくお願いしますさあ行きましょう　阿部は村長室を出ると駐車場に向かった御鏡と玉川二人の少女もなぜか一緒についてくる私の後を付いてきて下さい　阿部は公用車らしい軽トラックに乗り込むとさっき健一が下って来た道を勢いよく上って行く農道から曲がってきた信号の手前を左手に折れて田んぼの中の道をすいすいと飛ばす田んぼの真ん中に・・・どうしてこんな二車線の立派な道があるのかなあ　東谷が首を傾げるほどに広くて立派な道が一直線に走っているそこを田んぼの真ん中にある集落に向かっている二車線から右折してちょっと細い道路に入ると阿部の軽トラは一軒の白い家の前で止まったさあここですお入りになって下さいへえここ教員住宅？けっこういい家じゃん　ずっと黙っていた涼子が声を上げた芝生を敷き詰めた庭に面して二階建の白い家は建っていたしばらく使ってなかったからよく風を入れて下さいね　阿部はそういうと駿平が荷物を車から降ろすのを手伝っている静奈と涼子も住宅の中を見たさに車から荷物を下ろして中に運び入れ始めたあっ先生って独身なんだ私たちのクラスの授業もあるかなあ先生いくつどこから来たの　2人は矢継ぎ早に質問攻撃をするいっぺんに質問されても答えきれないよ　2人の女子高校生から先生と連呼されてどぎまぎしていた健一は悲鳴をあげた後はよろしくお願いします　阿部は声をかけると役場に戻っていった　４東谷先生到着したばかりで申し訳ないんですが私たち先生にお願いがあるんです　生徒会長御鏡静奈がちょっと姿勢を改めて東谷の方を向いたはっなんでしょうか　いきなり改めて質問されて健一は裏返しの声で返事をしてしまった実はここんところ学校周辺の道路で交通事故が多発しているんです生徒が何人もけがをしています中には入院している生徒もいますそれは大変だね事故がちっとも減らないんですうちの生徒も自転車の乗り方はあんまりよくはないことはわかっているけど注意していても事故が起きるってなんかおかしいなあって　高校生の自転車事故が多いことはテレビや新聞報道でたびたび問題になっていることはもちろん知っている特にスマートフォンが普及してからは自転車に乗りながらスマホを操作して転倒したイヤホンで音楽を聞いていて自動車の接近に気が付かなかったなど事故のニュースはけっこう多い印象を受けているただある学校に集中してるという話は聞いたことがないそれで今井村長さんに相談したら丁度新しく赴任してくる先生が方面に詳しいらしいから相談したらどうかってアドバイスしてくれてそれで先生の到着を役場で待っていたんです　えっ俺って自転車事故に詳しいってことになっているんだ聞いてねえよ東谷はここに来てから何度目かの聞いてねえよを心の中で叫んだでも否定することはどうも許されていないっぽいわかりましたじゃあ事情を聞きたいんだけどいつなら都合がいいのかな　静奈と涼子は明日はどう休みだけどいいええっ俺の休みはどうなるのここってブラックなど水面下で話が行われた結果明日の土曜日先生の都合がつくなら私たち二人はOKです　静奈が提案した明日なら先生も大丈夫です　ああー明日のお休みがこれでおじゃんだ健一の心の中には残念感が広がったが生徒の手前そんなことはおくびにも出さず笑顔で承諾の返事をした　５おっはようございま～すああっおはよう　翌日の朝9時静奈と涼子は役場の駐車場に集合するとすでに健一は到着していた宮川村最初の夜はどうでしたか寂しくなかったですか　静奈の問いにああっとても快適だったよ空気はうまいし水道から嫌なにおいがしないからお茶もコーヒーもうまかったトイレも水洗だしねそれは良かったです今日はよろしくお願いしますじゃあ乗ってください　2人を乗せると健一は車を発進させた　健一は車を乗り出すと静奈と涼子のナビゲーションで農道を中心に村の中を走り回った村内には伊那谷を貫く国道とそれに平行する農道農道と国道を垂直に結ぶ村道が２本ある  この宮川村の農道と村道は立派な二車線道路で両側にはこれまた立派な歩道が設置されている国道はそれに引き換え補修の後でアスファルトがぼこぼこしておりお世辞も走り易い道路は言えない  昨日走って来た農道を村境まで伊那部方面へ戻って健一はトリップメータをゼロに戻すと農道を隣村目指して走り出した  右手に山左手に天竜の河並みを眺めながらのなかなか快適なドライブである  さて再び宮川村に入ったぞここまで五ｋｍだな信号は２つと  先生ちょっと飛ばし過ぎじゃないですか  涼子が口をとんがらせて抗議する  時速六ｋｍだから制限速度をちゃんと守っているよ　健一は一応言い訳をした  さて次は山へ向かってみよう　次に西へ車を走らせる五分ほど走らせると伊井奈市との境にたどり着いた  この川が境です　健一は清流をたたえる幅２０ｍほどの川に掛かった橋の上に車を止めるでじっと流れを見つめたいいところだねえ都会の暮らしが嘘のよう　健一は深呼吸しながら答えたさあ下ってみよう　結構な坂を下ると信号につきあたった農道であるこのまま東へ向かってみよう　農道を横切ると立派な二車線道路をまま下り始めた１キロほど車を進ませると立派な二車線道路は急に狭い田舎道になるおいこれで終わりなのか？ほらあそこで谷になっている　健一が指差した方向はこんもりとした森になっていた車を路肩に止めると車から降りて３人は森に向かって歩き出すいいねえ　森に向かって続いている田んぼの中の小道を歩きながら健一はしきりに感激している小道を十分も歩くと森の中へ入り込んだあっ公園になっているんだ　小道の最後は小さな公園であったこりゃあすごいなあ　小さな公園を取り囲んでいる胸の高さほどの柵から下を覗きこんだ涼子が叫んだきゃっ恐い　静奈と涼子が声を上げるほどの断崖絶壁である高さは五十ｍはあるであろうか下にはエメラルドブルーの水をたたえた大きな川がしずしずと流れている天空川であるそうかここで終わりなんださあ戻ろう　健一は２人を促すと来た道を車へ戻って行った　６　車のエンジンをかけると何度も切り替えして方向転換し国道まで戻った先生～なんかお腹空いちゃいました～　静奈と涼子は揃って声を上げたそこのお店はおいしいのか元祖　クリームカツ丼と書かれた看板のお店のが見えているうんとってもおいしいですこのあたりじゃけっこう人気のお店ですじゃあそこにするか　健一はそういうと駐車場に車を滑り込ませたいらっしゃいそちらへどうぞ　昼時だったので混雑していたが席に座ることが出来た３人におかみさんらしい女性がお水を運んで来たうーんおいしいこら行儀が悪いぞ　運んで来てくれたばかりのお水を一気に飲み干した静奈を健一がたしなめるだってここのお水ってほんとうにおいしいよね～　涼子が助け舟を出す３人のやりとりをにこにこして聞いていたおかみさんが声をかけたあれ御鏡さんとこと玉川さんとこのお嬢さんたちじゃないの相変わらずうれしいことを言ってくれますねえこのクリームカツ丼てどんなんですか？　健一が興味津々で尋ねる信州白味噌を甘辛く煮た特製のクリームをかけてあるカツ丼ですよみんな大好きなお勧めの品ですよこれにしよねっね　静奈と涼子の勧めに従って健一は頼むものを決めたじゃあそれを３つくださいクリカツ３つ！　元気の良い声が店内に響くあれお客さん昨日役場にいた人じゃないの？　おかみさんは健一の顔をしげしげと見ると思い出したように尋ねたそうですそうですお会いしましたっけ？ちょっと用事があって役場に行ったら村長室に入ってくところだったよ若いのにお偉いさんかね？とんでもない宮川高校に最近赴任したんばっかりですへえ高校の先生さんかねそうですよろしくお願いしますじゃあ静ちゃんと涼子ちゃんは教え子さんてわけだねまだ何にも教わってないけどね～　そういうと静奈と涼子はけらけらと笑う今日は事故の調査かねえっよくわかりましたねえ　ずばり言い当てられて健一はびっくりしただってねえよそへいきゃあ宮川は危ない村だ近寄らん方がいいぞってからかわれるんだよせつないからしっかり調べておくれな　おかみさんはそういうと厨房へ戻ったそんなに多いのか　宮川高校生徒の事故がここんところ頻発しているのは事実であるが近隣からまゆをしかめられるほどの数とは思えなかった確かにこの村の道路はスピードが出したくなる程立派な道路であるが実際にハンドルを握るとぶっとばそうという気分よりも景色を眺めながらゆったり走ろうという気持ちになってしまう今日走った道にはそんな危険な場所なんてなかったよねえ　静奈と涼子も不思議そうに考えているはいクリカツお待ち事故が多いのはどの辺ですか？そうだねえ伊那部の方から農道を走ってきて村に入ってしばらくの辺りがおおいかなあそれっと宮高の近くだよね　静奈が答えたおいしーいこれいつ食べてもすんごくおいしいよ　涼子はクリカツをもうぱくついているうわあうれしいなあ　おかみさんも涼子がおいしそうにぱくついている姿をみると戻って行ったうんこれはいける　考え事をしていた健一もクリカツをうまそうに食べ始めた　７またどうぞ　元気のいいおかみさんの声に送られて３人は店を出たどっちへ行こうか？　健一が静奈に尋ねたじゃあ国道を伊那部に戻って農道を宮川へ走ってみてくださいうんわかった　健一はアクセルをぐいっと踏むと駐車場から走り出したでどっちへいけばいい？だから伊那部へ・・・もう左です　国道沿いに点在している村の商店街を抜けると車は田んぼの中を軽快に走って行くそれにしても十キロの距離を十分っていうのは驚くよ都内だったら一時間掛かっても不思議はないからねかわり十キロの間にお店が一軒もなかったりしてねそこ左です　左折すると結構な上り坂であったオートマチックミッショは一段キックダウンしてエンジン音がやかましくなる坂を登りきると遠くに見える天竜川の流れに目をやっていたこんちくしょうあんにゃろめどうしたんですか？　健一の怒鳴り声が車内に響いた追い越し禁しなのに抜いていきやあがったうわあーーーなななななんだどうしたんですか　キーッと東谷が運転する車は激しいフルブレーキング状態に入る約５０ｍ前方にはさっき追い抜いて行ったばかりの赤いスポーツタイプのクーペが横転してお腹をこちらに見せていたタイヤは完全にロックしながらもスリップして車は左にハンドルを切っただめかあ　あきらめることなく健一はハンドルにしがみつく頭を椅子につけろ　健一の怒鳴り声が車内に響き渡る横転している車と平行になるほどに左へ回転して止まった危機一髪であったおい後ろの二人大丈夫か？　車が完全に停止すると３人は場を離れた横転している車の火災を心配したのであるこっちはどうやら大丈夫そうだな　健一は二台の車の様子を眺めていたが火災の心配はなさそうであり静奈と涼子を路肩に下がらせてから横転している車に近づいた運転手の二十代前半と思える青年は幸いけがが軽かったらしく割れたフロントガラスをくぐって車から五ｍほど離れた場所にへたりこんでいた大丈夫ですか？　健一が声をかけると幾分正気に戻って答えたええなんとかどうしたんですか？飛び出して来たたぬきを避けようと思ってちょっとブレーキをきつめにかけたら・・・このざまですでもまあたしたことなくて良かったですね先程はすみません追い越したのはあなたの車ですよねそうですよきっと思い上がった運転のバチが当たったんだ　そこまでいうと青年は深く息を吸い込んでがっくりと首をうなだれてしまったぴーぽーぴーぽー救急車が来たらしい　遠くで救急車とパトカーのサイレンが不協和音を奏でている　８　現場検証と警察での事情聴取に時間がかかり３人が役場に戻ったのは夜の時間帯になってからであった散々な１日だったようですな　役場では心配した村長が休日にもかかわらず３人を出迎えて村長室に招き入れてくれた村長自らお茶を入れて３人にふるまってくれているもうだめかと思った～　静奈と涼子はようやく一息つけたようで楽な声でしゃべることができたいやあほんとに良かったよけががなくて赴任した早々生徒を自動車事故に巻き込んだなんて何かを教える前に首になって強制送還されるところだったよ警察でいろいろ聞かれたけど事故の瞬間は見てないんだからねえ私も気が付いたらお腹向けてひっくり返っている車が見えてびっくりした～静奈も同じように応える警察での話じゃあタヌキを避けたらああなったって聞いたけど～たぬきってとこがここらしいねそんな位で車って横転するんだね～　静奈と涼子は事故についてようやく冷静に分析することができるようになったようださーてね高速道路の事故の写真じゃよくひっくり返った写真が掲載されてるから珍しいことじゃないんじゃないのか？　お茶を口の中で転がすようにして健一が答えたでも先生の車は横転しなかったよ～それはスピードがちょっと遅かったからかな今日は天気も良くて道路も乾いてたはずだからね　健一が自分の考えを言う２０ｍ前方にタヌキ発見時速９０キロからフルブレーキングまあどうせ間に合わない距離だろうね　警察でもらったメモを見ながら健一は説明した一番気になったのはあの青年は床にペダルが着くほどブレーキを強く踏み込んだと言ってるのにブレーキの跡が５メートル分しか残ってなかったことだよこの車は横転した車を発見してすぐブレーキをかけてブレーキ跡は５０Ｍ近く残っていたんだけどね青年は２０Ｍ手前からブレーキをかけていたはずなのに実際に横転したのはたぬきが飛び出したと思える場所よりも１００Ｍ近く過ぎてからだよなそうよね今思うと前を走っている車がいきなりひっくり返ったって思った方が自然なくらいよ　静奈がぼそりとつぶやいたいきなり・・ひっくり返った？　健一は静奈に聞き直しただってブレーキの跡だって２０メートルもなかったんでしょう時間にすれば一瞬ようーん　警察でもらってきた地図と現場の略図を見ながら健一はうなっているまさかブレーキが効かない場所があるってことか？　今井村長は健一の顔を見たこの村には滑り易い場所があるということです　健一は今自分が発見したばかりの事実を確かめるように発言する今井村長はきつねにつままれた顔をしているそりゃあここいらの道路は冬は凍りますからねそれに舗装だって多少はむらがあるでしょうし・・いやそうじゃなくてなんといったらいいか・・　健一は正直に言っていいものかどうか考えあぐねているようだ村長さんあのですねどうも物が軽くなる場所があるんじゃないかと思うんです　今井村長は健一を見つめると言葉を選んで答えたそれは・・・重力の変化・・ということですか？そうです　健一は自分の考えを確認するかのようにゆっくりと答えた　９これが重力加速度測定装置です　阿部はワゴン車から大きめのケースを取り出しながら説明する３人が危うく大事故に巻き込まれそうになった現場は今はもうすっかり片付けられていたが道路にはスリップ痕が生々しく残っていた大きな振り子があれば誰でも重力加速度は測定出来るんですがねこいつを使った方が簡単ですから　阿部は道路の一部に工事の時に使う馬を並べて片側の交通を遮断する重力加速度装置を使った測定は簡単だ装置を地面に設置して水平レベルを合わせ開始ボタンを押す約１分で結果が出てＧＰＳより得た位置情報と共に記録されるなんだか測量と似てますねそうそう最近はこいつを使ってビルを建設し終わった後の重量を測定するそうですね　阿部は健一と話をしながら３回測定を行ったどうだい？特に変わったデータではないですねこの程度の誤差ならどこでもあるかなあ阿部は健一にかいつまんで説明した他も測定して見ましょう～　静奈の一言で４人は素早く道具を車に乗せると他の事故現場へと移動した５箇所の現場を回ってたびに測定を繰り返す阿部はもともと土木が専門のようで素早く作業を進めて行く測定をすべて終了した４人は国道に面した食堂に落ち着いたクリカツ４つ　涼子が慣れたような口調で注文を出すおかしいなあ　健一はため息をついた重力が変化してると思ったんだけど阿部さんはどう思います～　静奈はふふっと笑って阿部に質問する私にはよくわかりませんが・・重力の分布は地球上でもけっこうばらつきがあるそうですねそりゃあもともと経度の違いで差がありますからそれに地表はけっこうでこぼこしてるからねえ都会と田舎でもばらつきは認められてるしあれ阿部さんけっこう詳しいのね一応土木が専門でしたからああそれであんな測定装置も知ってるんだ一平がようやく口をはさんだええ私もこの村はもしかしたら低重力なのかなって思ってたもんですから今年の始めにお願いして買ってもらったんですよ　健一と静奈それに涼子は顔を見合わせたえっ阿部さんは気が付いていたの？いえ気が付いたってほどじゃないんですがなんかおかしいなあって・・それはまたどんなところからですか？　健一は真剣な顔になって尋ねたこの村で発生する事故と・・・長寿者が多い点ですよ長生きの村ってわけ？　運ばれて来たクリカツをほおばりながら涼子が尋ねたそうですよ同じような規模の村の中では断然トップですでもそれは食生活であるとか空気のよさじゃないの？ええ世間的にはそうなってますがね東京から連れて来たうちのばあちゃんがここへ来たら体が軽くなった気がするって言うんで・・じゃあ阿部さんは事故の原因も心当たりがあったんだそうなんですが・・私みたいな若い人間のいうことは相手にしてくれないですからふーんそうだったんだクリカツをほおばっていた涼子が突然口を開いたでもねえ重力には変化がなかったんだよねえ重力レベルはいつも変化してるわけじゃないってことだえっじゃあ私の考えをわかってもらえるんですか？　阿部は喜色満面といった顔つきで健一に目を向けたああ阿部さんの着眼点はすごいと思うよ長寿と重力を結び付けるなんて普通じゃなかなか考え付かないですよでも役場ではこの考えを披露してもみんな笑って相手にしてくれなかったんですそれでもがんばって測定装置だけは購入することができました認めてくれたのはあなたがたが初めてですあはは俺はＳＦちっくなことが大好きなんだよね　健一は変な自信を持って答えた重力の変化を数値ではっきり証明出来れば御偉方も納得してくれるんだけどなあ　クリカツを食べ終えた阿部はつぶやいたもしほんとに証明出来たらこの宮川村は一躍世界中から脚光を浴びることになるぜえっどうしてですか？　阿部は健一に尋ねたよく考えてみなさいよ長寿の根拠ががはっきりと重力低下によるものだと証明出来れば世界中の金持ちがこぞってこの村に別荘を建てたがるし病院や保養施設にはもってこいのはずだ俺はよくわからないけど低重力だからこそ実現可能な製品もあるはずだよそういえばスペースシャトルで新種の合金ができたってニュースで言ってたわね～　ようやく食べ終えた静奈は食後のお茶を口に運びながらうなづくははは今の内に土地を買い占めておいたらどうだ？１０００倍くらいに値上がりするかもしれんぞここいらは坪７万くらいだから・・いくらでも買えますよもし確認出来れば大金持だ　阿部が胸算用をする７万・・東京から考えればただ同然だぜそれが天井知らずの金よりも価値が出る可能性があるのか・・　健一も真剣に考えている　１０さてとじゃあ一旦私は役場に戻ります　阿部は伝票を掴むとさっさとレジで支払いを済ませて店を出て行ったよし俺達も戻るか　健一は静奈と涼子をうながすと店を出た田舎とはいってもさすがに国道は混んでるね　排気ガスにむせながら健一が言うでも国道はこの１本だけ・・これが止まればえらいことだしかも事故が多いときちゃあ死活問題だでも長寿が証明されれば道路を地下に埋め立て排気ガスを浄化したりすることも可能になるさてどうしたもんかな？　３人は考えながら国道をそれて通称縦道と呼ばれる村を東西に横断する道路に入った片側６ｍの２車線道路で両側歩道緑地帯付きのりっぱなものであるふうっ暑いね～　信州といえども８月下旬の日中は暑い二人はだらだらと汗をかきながら歩くあっ魚！　静奈が叫んだあれは・・鮎かな？　東京の川では想像もできないきれいな水の流れる中を鮎が群れを作って泳いでいるいいところだなと顔をあげて大空を見上げたぎゃあーっがしゃーん静奈と涼子の叫びと同時に発生した交通事故は西からの下り方向の車がセンターラインを越えて対向して来た車にぶつかったのである健一は素速く道路に上がると２台の車に近寄った大丈夫ですか？　衝突直前に双方が回転したらしく左側を大きくえぐった格好であった恐怖で真っ青になった二人の運転手は車を降りると歩道にへたりと座り込んだ健一は一人の運転手が持っていた携帯電話を借りると警察へ連絡するいったいどうしたんですか　比較的落ち着いた顔色の運転手に健一はなるべくゆっくりと尋ねたいや・・それが・・突然滑って・・　車が横を向いたというのであるそれも登りと下りの両方が同時にである雪道では坂を下っている車のタイヤがブレーキを踏むなどしてロックするとつーっと滑る時があるこんな経験は誰でもあるであろう　それが真夏のからからのアスファルトの上で起きたらしいのである　短期間に２度も事故を見せ付けられた静奈と涼子も歩道に座り込んでいたが意外としっかりとした足取りで立ち上がったもしかして低重力現象じゃあないかな～うん俺もそう思うだけど・・証明出来ない　健一はさっきの携帯電話を借りると役場の電話番号を回すあっ阿部さんすぐ来てくれるかな？例の装置を持って・・場所はほら・・急いで・・　２０分ほどのんびりと歩いた道を阿部はワゴン車で５分ほどでやってきたやあさっきはすみませんお二人の足をうっかりしてましていやいいんですよおかげで珍しい現象に出くわしましたよさっそく測定して下さい　阿部の少し前に到着した警察が道路を封鎖して二人の運転手から事情を聞き始めている幸いけがはたいしたことがないようでしっかりとした受け答えしているようにみえる阿部と健一は警察の邪魔にならないように気を付けながら重力波測定装置をなるべく事故現場近くに運びセットした阿部はやってきた警察官とは面識があるらしくちょっと耳打ちしただけで特に文句を言われている様子もない事故現場を取り囲むようにして何箇所か測定した後で実際に滑ったと思われる場所も測定を終えたどうだい？ちょっと待ってて下さい今まとめますから　阿部は東谷に答えながらノートパソコンに測定データを転送してグラフを表示した東谷さんほら・・　阿部が見せてくれた画面には事故現場よりも２０ｍ手前を中心に２０％の低重力現象が起こったことを示していたやったな　健一は思わず阿部に声をかけたようやくですね　阿部はノートから目を離さずに答えた１０分毎にこれから測定してみたらどうだい？なんでですか？　阿部は怪訝な顔で東谷に尋ねるここだっていつも低重力ってわけではないだろうそうですねだとすれば徐々に復元する可能性もあるんじゃないのかいそうか・・やってみましょう　阿部はタイマーを１０分間隔にセットするとアラームの電子音に従って測定を再開した何度か見て要領を覚えた静奈と涼子も阿部を手伝うＧＰＳと連動しているので前回の測定位置は正確に記憶されており最新装置の優秀さがわかった警察が帰った後も４人は２時間ほど測定を続けた　１１さあどうだ　役場に戻った４人は阿部を中心にしてデータを手際よく処理するさあこれで結果がでるぞ　測定シートを見ながら阿部が答えたやりました東谷さんの指摘どおりでした測定開始後３０分で急速に復元し１時間半で完全に戻っています　阿部はグラフのカーブを指し示しながら興奮して答えたじゃあピークではどのくらいだったの？　測定開始の時点では２０％減ですが実際に事故が起こった時点での数値は予測出来ませんただ事故を起こす程の低重力状態だったとすればグラフから予測して・・５０％を越えるかもしれません　静奈と涼子は阿部の説明にびっくりしたっていうことは私達の体重も半分になっちゃうわけ？そういうことになります世界中の女性がここに押し寄せてくるわよ～　静奈はなにやら妙な想像を膨らませているようだただ・・　阿部が言葉を濁らすこの現象はもう再現出来ないかもしれないってことだろう？そうなんです・・だからこのデータを発表しても信任は受けないでしょうね惜しいなあ世界的発見かもしれないのに　健一はため息まじりで答えたこんな現象がこの村のあちこちで起きてるのかなあ　涼子が阿部に尋ねた今まで起こった事故のうちのいくつかは低重力が原因と思いますが証明出来ないので・・でもこの村が長寿っていうのは事実です　阿部も手元のお茶をぐびっとのどを鳴らして飲み干したいつ起こるのかがわかればなあっていうよりも低重力発生装置のスイッチの入れ方がわかればいいわけね　静奈がなにげなくつぶやいたそれだそうだよ　阿部と健一が同時に叫んだえっ？えっ？　静奈はいきなり叫ばれて困惑した低重力現象が自然現象じゃなくて誰かが作った人工的な装置だとしたら　健一が叫んだ反重力装置ってわけですねうんもしこれが実在するとすれば地球がひっくりかえるようなことになりかねないよどうして？　静奈は要領を得ないだってもし反重力装置が実在すればロケットなんてなくても地球から脱出出来るし飛行機も不要になる動力がどうなってるのかはわからないがエネルギー問題も解決するかもしれない　健一が早口にまくしたてたそうですよみなさんこれは産業革命以上の人類の利益です　阿部も急にいきりたったでもねえ本当に反重力装置がここの地面の下に埋まっているのかしら？はあっー　静奈の一言で阿部と健一は深いため息をもらした隣の女神様２－２　重力の謎を解け　１２おじいちゃん話しはもう聞いたよそうだったけなあ　何度も同じ話を聞かされている東谷健一はまたかという顔をして答えたでもなあほんにすごかったんだよ　健一に話をした後でいつも駿平は遠くを見る目つきになるあらあらなんのおはなし？　ビールを運んで来た健一の母が話しに加わったいつものあれさ　権藤駿平（ごんどう　しゅんぺい）はビールの栓を勢いよく抜くと健一のコップに涼しげな音をたてながらなみなみと注いだ駿平は健一の父方の祖父である　国家公務員試験に不合格となり引きこもりになってしまったかと心配されたいた東谷健一であるがM機関に就職することができた家族には民間の統計会社M企画に就職したと説明してある健一は年度末のお彼岸に久しぶりに実家を訪れ家族に顔を見せていた健一はよく就職することができたなあ　駿平は健一の顔をしげしげと見ながら感心したようにいった実に失礼な物言いではあるはは俺がんばったんだよじいちゃん　健一は家族に大きく心配をかけたことは今でも心苦しく思っているので努めて明るく答えた今はなんの仕事をしているんだ国から委託された調査統計を担当してるけどものすごいデータ量なんだよ最近流行りのビッグデータっていうやつだよそりゃすごいじゃないかしっかりやれよ　駿平は満足そうにうなずくと再び健一のコップにビールを注ぐ注がれたビールの泡が駿平のうれしさを象徴するようにコップからあふれ出た　健一はつがれたビールを飲み干すと駿平に返したおまえ信州に行くんだってな向こうの役場と高校に長期に出向って形になるよどのくらい行ってるんだ？１年くらいかなよくわからないけど・・・どんな仕事だ？それがねえまだはっきりしないんだけどとにかく信州宮川村に出向して学校がらみの調査統計をするらしいよ長野県の宮川村？伊那部の隣のか？　駿平は怪訝な顔をしたお前学校がらみの調査なんて出来るのか？そうなんだけど仕事だからねえなんでもやるよ　駿平から改めて尋ねられるとやはり不思議な感じがしたまあ静養だと思って行って来るよじいちゃん信州に住んでいたことがあるんでしょう？ああ戦争中の話だがねほらいつもの話あれは信州だよねお父さん　また駿平のいつもの話が繰り返されるかと思ったが駿平はじっと何かを考え込んでいるじいちゃん？　健一が声をかけると駿平はようやく顔を戻した気をつけて行って来いよ　そう答える駿平はいつもの穏やかな顔に戻っていた東谷駿平回想・・・　昭和２０年５月５日早朝４時権藤駿平は布団の中で飛び起きると素早く身仕度を整えた民家を改造した狭い宿泊所には蚕棚のように三段のベッドを取り付け１２才から１５才までの子供達が親から離れて疎開生活を送っている点呼１２３・・・　部屋毎に整列した子供達の声がまだ薄暗い廊下に響きこだまする点呼が終わると形ばかりの朝食だ吹かした芋と薄味のついたお湯と変わらない味噌汁それでも今日はあるだけましなのだろう子供達はがつがつと胃の中へ流し込む集合　宿舎の前の道では早くも教官が叫び声を上げる駿平も慌てて芋をのどの奥に流し込むと帽子を手に背嚢を背負い外へと急いだ整列番号１２３・・・頭右礼１班より出発　１班の列に並んでいた俊介は隊列を乱さないように注意して元気に見えるように気を遣いながら歩き始める友達としゃべりながら歩きたいのはやまやまであったがそんなことをしようものならどんな罰が待っているかわかったものではない第一これ以上腹が減らないように無駄な力を使いたくないのも実感している今日もきっと重労働をさせられるに違いないのだ　宿舎から続く急な坂を登り１時間ほど歩くと台地の上に登りつく初めてここへ連れてこられた時には台地の上から眺めた雄大な中央アルプス連峰に感動したものであったがすぐに見飽きてしまったどんなに素晴らしい景色であっても駿平の腹を満たしてはくれなかった集合整列番号１２３・・直ちに作業に掛かれ　俊介達が連れてこられたのは現在の伊那市みすずが丘と呼ばれる河岸段丘の上である 駿平は同じ年の友達の実（みのる）ともっこを肩に乗せた重い足をひきづるようにしてもっこに土を入れる肩にずっしりと重みが加わわり足取りはいっそう重くなるくっそう・・　ため息をもらしながら駿平と実は土を運び広大な空き地の窪地へ土を投げ入れたもっこが空になるとまた土を入れ投げ入れる　ここ一週間というもの丘の出っ張った部分の土を削りもっこに入れて運ぶえっちらおっちら運んだ土をくぼみに入れて平らにならすという作業を朝から晩まで繰り返していたおかげであちこちの出っ張りはほぼならされて子供の目から見ても広々とした運動場が整備されてきているのがわかるようになってきたここは練兵場になるらしいぜ　実がそっと駿平に教えてくれたなんでこんな田舎に練兵場を作ってるんだろう？　土を穴に入れて帰る途中軽くなった肩に合わせるように幾分楽になった気持ちのまま駿平はつぶやくそりゃあ米英に知られちゃあならない秘密の訓練なんじゃないかな？そうそう飛行場になるっちゅううわさも聞いたぞ　実がまた教えてくれるじゃあここが完成したら募集するらしい少年兵は飛行兵かもしれんね　駿平はこんな苦しい力仕事ばかりしているくらいならちゃんとした兵隊さんになって白いおまんままを腹一杯食べたかった来年になれば高等科を卒業できるそうなれば志願することも自由にできるはずだ志願先は歩兵かと思っていたがあこがれの飛行兵になれる可能性が見えてきただったら今うんとがんばって怖い教官に推薦してもらう必要があるよしがんばるぞ！　駿平は実に聞こえるように気合いを入れてもっこを肩にかつぎなおした　１３明日から特別任務が発令されるこれより志願について説明する　鬼の教官がそう告げたのはおかゆみたいな汁を腹に流し込みたくあんをゆっくり噛んで満腹感がわき上がるのを待っているときであった特別任務はいつ終わるか分からないよってここの仲間とは別行動になる志願する者は手をあげよ　教官の問いかけにまっさきに手を挙げたのは駿平であったおまえ大丈夫かよ　実が心配そうに俊介の顔を見たこれは今の状態から抜け出すいい機会だと思う　自信ありげな駿平の様子に実もおずおずと手を挙げたこのとき駿平につられるように１０名ほどの仲間が挙手した手を挙げたものは直ちに荷物をまとめて教官室の隣の部屋に集合するように　教官は短くそう告げた　駿平たちは荷物をまとめると意気揚々と部屋を移動した指定された部屋には机と蓋付きの棚が人数分用意されている貴様等にはこれから特別訓練が施されるここでの訓練内容は決して他へ漏らすことはできない　鬼教官はもったいつけたしゃべり方をする駿平や実達は神妙に直立不動のまま話を拝聴するわかったか？はいそれでは各自の棚から服を取り出せ　駿平達は自分の名前が書き込まれたプレートの棚から白い服を取り出したついさっき募集したはずなのにもうすでに名前がつけられているのに少し驚く白い服はごわごわしたつなぎ状の服である足からはき肩にかつぐように体を入れるサイズはぴったりであらかじめあつらえたようである手首足首の固定をしっかりやれ　次に配られたのはブーツ状の靴である膝下まで差し込みひもできっちり縛りあげる続けて手袋が配布されるこれはひじの少し下まである長い手袋である次に兜が配られる頭全体を覆う形になっておりかぶると頭がとても重い口の部分には綿が張り込まれており息苦しく感じるよしそれが貴様等の軍服だすぐに脱げ　もたもたしながら駿平は一式を脱いだ収納は棚へ手順通りに片づけろとき少しでも傷がついた服はこの部屋の隅にある箱へ捨てること新しいものを支給する　初日は何度か服・兜・長靴を装着脱いでしまうという訓練が行われ夜も更けてから駿平達は解放された翌朝集合するとさっそく新しい軍服を装着することを命令されただいぶなじんできた白い服を着て椅子に座る教官は隣の部屋に通じるドアを開けて移動するようにうながす隣の部屋はがらんどうの空き家のような部屋になっていた窓もなく一つだけの電球に照らされた部屋の内部はどことなく寒々しい教官が壁の一部を軽く叩くと蓋だったらしく内部にスイッチが入っているのが見える教官はためらうことなくスイッチを押すすると部屋が床ごと地下に潜り始めた１０ｍほど地下に移動し床は動きを止めた俊介達は目の前に銀色の大きな装置らしきものがあることを認識した中へ入れ　扉が開かれ一同中に入る銀色の装置はういんういんとかすかにうなりを発生している各自自分の番号が書かれた位置の横に移動せよ　駿平達の右腕には番号が書かれている駿平は４番実は３番である駿平は装置の真ん中あたりに張り付けれられた紙の横に立つ自分の場所は覚えたか？　教官の声が響く一人ずつ扉から外へ出ろ　そろそろと装置から離れると駿平達は外へ出る全員が外にでると床ごと上昇を始めた朝入ったとおりに床が元通りになると隣の教室に戻り装備を全て外すことが許された服を着て下へ行って戻ってきただけのはずなのに外はもう夕暮れの様相を呈している俊介達は教室でまま用意された夕食を食べた次に呼ぶ者は手を挙げろ６番と８番・・　呼ばれた生徒はおそるおそる手を挙げるおまえ等の任務は今日で終わりとする原隊に復帰してよし！　呼ばれた生徒は復唱するほっとした気分と特別扱いされなくなる残念さが半分ずつであろうか　残った駿平達は翌日も特殊軍服を装着し地下に入る入るだけで特になにもしない地上に戻ると夕方になっているそんなことを５回ほど繰り返すうちに訓練兵は駿平と実の二人だけになったそこにある兜と交換せよ　翌日教官にいわれて手にしたのは今までの兜とは違って電気配線らしいものがたくさんでている兜であった中に入ったら装置から延びている配線に接続せよ　駿平と実は地下の装置に到着すると重いほどの配線を装置に接続する装置はいつものようにういんういんとかすかにうなっているそこにある椅子に座れ　今まではなかった椅子らしきものに静かに腰を下ろすういんういん装置のうなり音が静かに部屋の中に響いている二人は最初は緊張していたがだんだん退屈になり眠気を催すとき駿平の頭の中に誰かの手が伸びてくるのを感じたそうそれも内側からだ初めての感覚に戸惑った実は装置の反対側なので様子はわからない　続いて何かが頭の中に接続される感じがしたと同時におびただしい信号が水のように流れ込む信号の意味はわからないただ駿平の頭の中を通過すると別の意味を持つようになる感じがする駿平はなにもしていないただ頭を貸しているだけだ　どの位時間が経過したかはわからなかった気がつくと教室に戻っていた暗かったので夜になったらしい実も隣にいたが顔色があまり良くない　１４頭の中を覗かれた感じだねのぞかれたというか誰かに貸し出した感じだけど二人は初めての体験に疲れててしまいそれ以上の会話をすることはなかった　翌日から装置の横に座っていることが二人の任務になった頭の中を何かが大量に通り過ぎていく終了すると駿平は軽いめまいを感じる程度ですんだが実は日に日に痩せていく食事ものどを通らない様子の実が心配だったがここは軍隊なのでどうすることもできないある日の任務終了後実はどこかへ連れて行かれてそれっきり戻ってこなかった　駿平は毎日装置と接続される最初は川の流れのように感じていた信号がだんだん意味を持つイメージ映像として頭の中に浮かび上がるようになったほとんどは暗い中にぽつんぽつんと光点がある程度だったが時々きれいな星のような映像が流れてくるこの星はどこだろう　来る日も来る日も駿平は装置とつながれるいったい自分はなにをしているのか？だんだん意味がわかるようになってきた駿平は装置の失ってしまった機能の一部を肩代わりしているらしい機能とはどうやら装置の脳味噌らしいのだ装置につながれている間俊介の脳味噌は装置の脳味噌の一部になる間装置が記憶していることも少しはわかるようになった　装置はずいぶん遠くから宇宙船に乗ってきたらしい宇宙船が故障してこの場所に不時着ししばらくは静かにしていたようだ最近になって駿平が連れてこられ装置につながれてようやく宇宙船は以前のように考えることができるようになったのだ出力を最大にせよ　あるとき教官が駿平に命令したいや駿平を通して装置に命令した俊介は意味がわからなかったが装置に力一杯働くようにお願いした装置はめいっぱいの力を出した結果どうなったのかは装置と俊介にはわからないただ実験は成功し教官からよくやったとほめられたこの日から駿平は伍長に昇進した　駿平と装置は次の日から毎日力を放出するよう命令された装置から延びている太い配線はさらに地下にある別の装置に接続されているようだ力は常に放出することはできないので部屋に延びてきている伝声管から教官が命じる出力始め　のかけ声で出し止め　の声で停止することになっている止めまでが長いと装置は苦しそうな音を出すが声をかけるまでは止めることはできない待機していても教官が姿を現さない日があった日は珍しく日が昇っても教官が姿を見せないじっと待機していると外が騒がしくなっているどうも戦争に負けたらしいのである　駿平は隣の部屋に移り地下へ降りた自分の意志で装置に接続するのは初めてのことである戦争に負けたらしい君が力を出すことはなくなるよ駿平は頭の中で装置に語りかけたシュンペイシュンペイここからすぐに逃げなさい遅れるとシュンペイはアメリカに連れて行かれてしまう装置が初めて自分から語りかけてきたシュンペイがここを出たら入り口をふさぐからすぐに出なさい　駿平は一瞬にして装置の考えを理解し外へ出た次の瞬間小さな地震を感じ装置が俊介の手の届かないどこかへ転移したのを感じた装置から離れると駿平は装置についての記憶を急速に失った外に出ると日本はアメリカに負けたことを教えられた昭和２０年８月１５日のことであった　１４　やがて駿平は高校大学と学び人並みに結婚することができた一年ほどして産まれたのは娘である娘も元気に成長しやがて恋をして結婚する今度は待望の男の子が産まれた駿平からすると孫である名前を健一という娘は東谷に嫁いだので東谷健一の誕生である　健一は駿平の期待通りすくすくと成長し抜群の成績で大学を卒業することができたただ気になったのは小さいころ時折誰かが僕の頭の中を見に来るような気がするというのである　心配した父と母は様々な病院を受診したがこれといって異常を発見することはできなかった健一は国家公務員を職業として希望していた大学在学時の公務員模試では常にA判定をもらっており学内国家公務員キャリア志望の中でも有望株であった　４年生になり満を持して公務員キャリア試験を受験した自己採点ではほぼ満点どこの省庁でもよりどりみどりのはずであった意気揚々と第一志望の省庁に希望を出したが予想外の不合格であった万が一公務員になれなかった場合に備えて民間企業にもエントリーしたが次々に不合格通知が届いてしまった周囲はこんなに不合格になるのはおかしい何かあいつにはあるんじゃないのかと思ったが誰もが口に出すことはできなかったどこにも合格することができないまま健一はいらいらを募らせていた進路未定のままでは卒業式に出る気になれず健一は家に閉じこもりがちになってしまったこのまま卒業しないでもう一年在学するかどうしようかと考える日々はとてもつらかった年度末が迫ったある日健一に電話がかかってきたこちらは総務省外郭団体のM企画です東谷健一さんですかはいそうです　度重なる不合格通知に健一は意気消沈していた今度もそうであろうと身構えて話を続けたあなたは当方の試験に合格しました採用決定までに時間がかかってしまい申し訳ありませんでしたまだ就職先が決まっていないのであれば当方で雇用したいと考えています当方へ就職する意思はあるでしょうか　久しぶりに聞いた合格という言葉に健一は場に正座しもちろんお受けしますとてもうれしいです　と即答してしまったそれでは３月３１日指定の住所までおいでくださいありがとうございます　はてM企画にいつエントリーしたかあまり覚えていないが公務員試験の受験時に不採用の場合関係団体から採用の打診があることが多いと説明があった気がしたので一つだろうと健一は思った今はとにかくどこかに就職して両親を安心させることも大事だと考えた　3月31日健一は指定された東京駅近くのビルにあるオフイスの一室に出向いた60歳近い初老の男性が対応してくれた東谷健一さんですねはいそうです当方への就職を決めて頂きありがとうございますいえこちらこそ助かりましたこれより隣室で健康診断を受けて頂きます続けて雇用に必要な書類を準備してくださいわかりました　健一は簡単な健康診断を受けた後オフイスの片隅の机で数枚の書類に必要事項を記入したり署名捺印などを行ったこうしているといっぱしのサラリーマンになったようである　昼食は外に出ても良いとのことであったので息抜きを兼ねて東京駅周辺の喫茶店でお昼にしたよっ東谷元気だったか　店を出てぶらぶらと散歩していると声をかけられて東谷ははっと振り向いた声を掛けてきたのは大学時代の友人の一人であった俺結局文科省に決めたんだよ日本の教育をがんばることにしたよ　一緒に公務員を目指した友人の一人だったお前結局どこに決めたんだ？去年から音信不通だったじゃん俺はねえ総務省の外郭団体になんとか滑り込むことができたんだよそうかそれは良かったなでもキャリアじゃないのかまっがんばれよ声をかけたかつての友人は健一が自分のライバルではないことを確認するとすっと場を離れて連れの友人を追い掛けて行ってしまった健一は孤独を感じ将来に不安を持った　１５これで東谷さんはM企画の正式なメンバーとなりましたこれからよろしくお願いします　オフイスへ戻ると先ほどの男性のデスクに呼ばれてこう告げられたはっありがとうございます今日の午後は何をすれば良いでしょうか　このオフイスには男性以外は誰もいない出勤初日の午後なので関係各所を回って名刺交換でもするのだろうか健一は自分なりに答えを用意してから尋ねた東谷さんはM企画と雇用契約をたった今行いましたがあなたが署名した書類にもあります通りこれから直ちに出向命令をだすので従ってもらいますそれはどういうことでしょうか　健一は出向命令を拒否することはできないことが記載された書類にたった今署名したがまさかすぐに出向することになるとは思わなかった男は健一の質問に答えないまま説明を続けるこの契約書にもあるとおりこちらの指示通りに出向してもらいますこれよりこの住所に出向し指示を受けてください　健一は提示された書類を見た住所は〒100-8968 東京都千代田区永田町2丁目3-1　となっており建物名は総理大臣官邸　となっているこれ何かの間違いではないのですか　健一はびっくりして聞き直した間違いではありません明日午前９時総理大臣官邸の通用門を訪ねてくださいそこでこのセキュリティカードを見せてください端末への入力を求められたらIDとパスワードを入力してくださいあなたのIDは○○ですパスワードは△△ですそこから先は都度レクチャを受けてくださいはあそれとこの件は絶対に他言できません他言しようとしてもできないので試そうとしないでくださいそれはどういう意味でしょうか言った通りの意味ですそれ以上はわかりませんご家族の方にはM企画に就職したとこのオフイスの住所を教えてください雇用証明年金などの公的書類はM企画より正規の物を発行できますはあわかりました　健一は要領を得ないままにオフイスを退去した実家には補欠でM企画に合格できたと伝えるとおめでとうお前ならきっとそうなると思っていたとようやくお祝いの言葉をもらうことができた仕事はなんなの主として国家規模の統計を担当する部署と聞いているけど詳細はわからないよまあこれで一安心だがんばれよ　両親のほっとした声を聞くと明日からの仕事に不安を感じながらも健一は肩の荷が降りた気分になった夜健一は久しぶりにぐっすりと眠ることができた　翌日4月1日霞が関周辺の通勤車両は各省庁に初出勤する新人エリートで賑わっていたの群れから外れて健一は一人総理大臣邸に向かう通用門に設置されているセキュリティブースに入るとスピーカに付属の通話ボタンを押す何か御用ですか　機械のように冷たい問いかけが壁のスピーカらからなされた健一は教わった通りにカードを見せたIDとパスワードを渡された端末に入力するしばらくの沈黙の後確認しました大変失礼しましたあなたにはここを通る権利が付与されています官邸内通行はレベル３ですどうぞお入りくださいまずはこのレシーバを装着して指示通りに歩いてください　音もなく自動ドアが開く健一は渡されたレシーバを耳に装着しガイダンスを待つまままっすぐ進み正面階段を上に上がってください指示されたとおり官邸内に入り階段を登るそこは首相執務室です横にある部屋にお入りください　健一は指示に従って分厚いドアをノックしたどうぞお入りください　中に招き入れる女性の声が応答した東谷健一です入ります　健一は震える手で扉を開けると中におずおずと入室した　中にはさっそうとスーツを着こなしたいかにもできる官僚風の男がこれまた重厚な机の向こうに座っている東谷健一君だねよく来てくれましたさあおかけくださいはい　自分の名前を呼ばれたところをみるとここにいることは間違っているわけではないのだろうこれより辞令交付式を行ういいですかこれを交付されると君はもう生きて退職することはできなくなるそれは理解したねいえ理解できません何を言っているのかよくわかりませんではこのまま帰りますか今ならまだ間に合う民間の適当な会社を紹介するよ給与は死ぬまで保証されるから心配はいらない詳しいことがわからないので返事のしようがありません　男はにやにやしながら健一の頭からつま先まで眺めると諭すようにしゃべった詳しいことは契約をしないと教えることはできない規則なんだよ初期契約書にあったとおりなんだが読まなかったのかね　はいと言わないと詳細はわからないらしいただしわかったときはもう抜けることはできない仕組みになっているようだどうせ自分にはここでがんばるしか道は残されていない健一は自分の気持ちを最後に固めるつもりで返事をした　１６わかりましたこちらでがんばりたいと思います　部屋の中は一瞬静まり返ったそして最初に扉を開けてくれた女性が静かに宣言した本人の意思確認を完了しました全て永久記録済みですよしいいぞそれでは辞令交付を行います東谷健一君を内閣総理大臣室特務M機関員に命ずる謹んで受領いたしますおめでとうこれからの活躍を期待するよろしくお願いします　東谷はM機関員が何なのかわからないまま辞令を受け取った受け取った瞬間隣の扉ががちゃりと開くとテレビでよく見る人物がぱちぱちぱちと拍手をしながら現れた内閣総理大臣人である東谷君M機関員としてこれからの活躍に期待するよはっありがとうございます　総理自らぺいぺいの若者に声をかけるなんてM機関っていったいなんなのだろうこの時健一は誇らしい気持ちと未知の仕事に対する恐れを同時に感じていた　次に健一は総理官邸地下１階にあるM機関のオフイスに案内された上司らしい大型の机が一つとそれを取り巻くように配置された一回り小ぶりの机が４つある大型の机と部下の机２つに既に男が座っているこのたび辞令を拝領しこちらに配属されました東谷健一ですよろしくお願いしますこちらこそよろしく頼む田中ですここは昨年設置されたばかりなのでここにいる全員がまだ素人みたいなもんだから先輩後輩はなしでいこうや　部下の席に座っていた独りが自己紹介した同じく小林ですよろしく　残りの一人も挨拶してくれたもう一席あるがしばらくは空き席の予定なのでこの４人がM機関員というわけだM機関長の佐藤ですよろしくあの私は何をすればいいのですか　東谷は上司の佐藤におずおずと尋ねるそうだなそれではこれから研修を受けてもらおうか　研修と聞いて東谷は背筋を伸ばした先輩同僚の田中小林らが手元のスイッチを操作すると壁面の大型ディスプレイに電源が入り画面が映し出されたM機関について　タイトルにはそうあったM機関は女神様にお仕えすることを目的とする　M機関の目的が書かれたスライドを見て東谷はつい変な声を出してしまったはあ？女神様って？今の日本には５００年ぶりに女神様が降臨していらっしゃるM機関は女神様が降臨すると女神さまをお守りしサポートするために設置される国の最重要機関である　佐藤がスライドを見ながら補足するそうだなM機関は必要が生じれば他省庁の協力を無制限に受けることができるし超法規的措置を行う権限も持っている場面毎に必要な知識は方面のエキスパートの協力を即座に得ることもできる警察はM機関のために予算をもらっているようなものだ続けてくれ前回の降臨の際には織田信長が国外に女神様の秘密を持ち出すことを防ぐためにM機関が設置された当時は忍者と呼ばれたようだ忍者は豊臣秀吉に阻止させるつもりだったらしいが秀吉が女神様の存在を信じなかったためにやむなく徳川家康に天下を取らせることにしたええっこれって本当の話ですかSFじゃないですよね健一は目を丸くして質問するああもちろん本当の話だ徳川家康は女神様にお仕えするという口実で鎖国までしたために国の発展が止まってまった三代目家光の頃には愛想をつかした女神様はどこかに隠れてしまったのであるがまま国を運営したのであのように発展が止まった状態で存続したんだよスライドは続く非公式の情報では太平洋戦争中に女神様が降臨された形跡がかすかにあったらしいが戦局を好転できるほどではなかったようだ後最近まで女神様の降臨は確認されなかったどうやって女神様の降臨を確認しているのですか 健一が質問したいい質問だ迅速に女神様を探し出すために日本は戸籍を他のどの国よりもきちんと整備しているこれにより女神様が降臨しやすい家系を押さえることができるそうだったんですか最近はマイナンバーカードや年金背番号によって産まれてから死ぬまで国民一人一人の動向追跡の精度をあげているそして国中に設置した防犯カメラや道路カメラは女神様の降臨を確認するために設置されているもちろん人工衛星も降臨確認が第一の目的であるのはいうまでもないおかげで最近になって女神様の降臨を確認することができたというわけだあの女神様というのは人間なのですか東谷は聞いてはいけない事なのかもしれないと思いながらも聞かずにはいられなかった当然の疑問だ答えよう女神様は我々と同じ姿をしている見た目は人間と同じなのだしかしお体に途方もない能力を宿しておられるでは見ただけではわからないのですねそういうことになる今降臨されておられる女神様は女子高校生のお姿である女子高校生と聞いた途端健一は急に現実的になってしまいなぜかごくりとつばを飲み込んだ邪な考えはやめた方がいいぞ東谷君とんでもないことが起こるかもしれないから気を付けてくれたまえわかりました反省しますでも何が起こるのでしょうか　東谷はちょっと意地悪な質問をしてみたくなった例えば地球が半分になるとか　佐藤が答えるもしかするとビッグバンが発動するかもえっレベルの危険なのですか　東谷は顔を青くしたそうこれは驚かすわけでも冗談でもない常につもりでいて欲しいわわかりました　健一は自分の顔が青ざめていることがばれないように願ったさてつい先日我々は女神様に大きく協力をしていただき日本と某国の条約締結をすることができたのだ　条約締結のことは健一も知っているあの某国が日本と話し合いに応じたとは信じられない何か密約があったのではないかなどと今でも騒がれている女神様のお力の極一部を条約交渉の場で発揮して頂いたのだ　それほどの力がある女神さまとはどんな女性なのだろうか自分はなぜM機関に所属できたのであろうかまだまだ不明な点は多いだが普通のキャリア官僚？としての道を歩むよりもはるかにやりがいがありそうな職場であることは確かだ　１７　お休みされている数学科の先生の代わりの講師として赴任された東谷健一先生です先生は大学を卒業してまだ1年ちょっとのお若い先生です2年生を中心に授業と生徒会を受け持って頂きます東谷先生よろしくお願いします　月曜日に開かれる全校集会直後の新任式で600名ほどの全校生徒の前に立った健一は緊張しつつ挨拶した東谷ですとても環境がいい学校でこれからが楽しみですよろしくお願いします簡単に挨拶すると健一はぺこりと頭を下げた日の午前中は校長と今後の授業と公務分掌についての打ち合わせで終わってしまった昼休みの時間となった東谷先生~学校で見るとちゃんと先生って感じだね～　静奈と涼子が連れ立って数学科の研究室に顔を見せに来たようやく君たちの先生になった気分だよこれからもよろしく頼むねわっかりました～ところで役場から何か連絡がありましたか今のところないな何かわかればすぐに連絡するよ　健一が赴任して一週間は何も起こらなかったこのまま低重力現象はもう起きないかと思った　若い健一は生徒と年が近いお兄さん先生としてすぐに学校になじむことができた宮川高校の生徒は真面目で素直な生徒が多く数学が苦手そうな生徒もとりあえず授業を聞こうとする態度を見せてくれるそんな生徒たちになんとかして数学の力をつけてやろうと健一は予習や復習プリントの制作に放課後や家に帰ってからも没頭することとなった東谷先生～先生ってけっこう女子生徒に人気あるんだね～　生徒会役員会のあとで静奈がにやにやしながら健一に話しかけたえっそんなことないだろまたまた～生徒会の調査によると東谷株は今一番のおススメらしいですぞ　静奈が変にちゃかしながら説明する先生いいな私も授業受けたいな　涼子が横から口をはさんだへえ～じゃあ涼子は理転するのかな～数学？？の癖に~？　静奈と涼子は2年生までで数学に白旗をあげた文系選択である3年生となった今はセンター試験向けの文系数学しか履修していない健一の担当はばりばり理系向け講座なので静奈たちは受講できないほんとに理転しちゃおっかな　涼子のつぶやきに静奈はあらまあと思ったが口に出して言うのはやめておいたねえ東谷先生～時間がある時でいいから生徒会室に来て私たちに数学の楽しさを教えてくれませんか~　静奈の申し出に健一はおっいいよいいよ役員会が終わった後は毎回教えてもいいよやった～先生静奈ありがとう　健一の二つ返事に涼子はよっしゃ～と両手を挙げた翌日の放課後定期役員会を済ませた東谷と静奈涼子の3人は打ち合わせと称して生徒会室に残ったじゃあはじめよっか　健一は文系向け数学のテキストを開くと二人に次々と質問をして簡単な問題を解かせるよしお二人さんの実力はだいたいわかったぞじゃあこのあたりからやろっか健一は用意していたらしい自作プリントの束からナンバー１０と書かれたものを取り出して二人に配ったさあこれなら解けると思うからまずやってみよう　健一は二人に問題を解くように促したは～い　静奈と涼子は元気に返事をすると問題プリントに向き合うしばらくすると健一は声を掛けたどうだできるかなすごいですこれとってもわかりやすいです　涼子は感激してちょっとうわずった声を出したそっかそういってもらえるとうれしいな　健一はまんざらでもなさそうに返事をしたしばらく紙の上をシャープペンシルが走る音だけが聞こえていたがちょっとタンマお手洗いに行ってもいいかな～　静奈はそういうと健一の返事を待たずに生徒会室を飛び出てしまったできたよ～　涼子はそういうとプリントから顔を上げたよし答え合わせをしてみよう独りだから俺が合わせるね　健一は涼子のプリントを手元に引き寄せると机の上に立たせておいた筆箱から赤ボールペンを手に取って○×を付け始める先生すご～い解答見なくても答え合わせできるんだそんなに褒めるなよ自分で作ったプリントだからできるんだからねよし終わった８５点～立派なもんじゃないか　褒められた涼子は照れたのか顔がちょっと赤くなっているたっだいま～あれ涼子もうできちゃったの～　手洗いから戻った静奈がすっとんきょうな声をあげたうんこのプリントすっごいわかりやすくてすらすらできちゃったんだよそれは良かったね～ねえねえ東谷先生ってどこの大学卒業したのか聞いてもいいですか静奈はさらりと健一に聞いたえーと帝都大学の文理学部だよええっまじで　帝都大学と言えばこの国の最高峰の大学であるそんな人がこの時期にどうして講師でこの学校に赴任できるわけ～　静奈が突っ込んで聞いてくるちょっといろいろあって道草食ってたからかな　M機関員であることはさすがに今は明かすことは健一にはできないふ～ん大人にはいろいろあるんだね～まっうちわかるのかな～　静奈の意味深な発言に健一はたじたじとなってしまったそろそろ暗くなってきたから今日はこれでおしまいにしよっかうん東谷先生ありがとうございました東谷は一礼するとプリント類をかき集めて生徒会室を先に出た静奈と涼子は周囲を片付けつつ戸締りをする静奈今日はありがとうへ～何のことかな～だって今日東谷先生とちょっとの間だけでも二人きりにしてくれたでしょうそんなことあったっけ静奈は知らん顔をしてとぼけているまたまた～私うれしかったよふ～んそれでっ話は何かできたのそれはできなかかったけどねでもね二人だけっていうのがよかったんだよじゃあまあそれでいっか～静奈は一人納得すると涼子を先に部屋から出して入り口を施錠したこのまま何事もなく時が過ぎてくれればいいな～今何か言った涼子は静奈に聞いたううん～なんでもないよ～帰ろ~静奈は涼子の腕を引っ張ると生徒昇降口に向かったのである　１８　ばばば・・・ひゅい～んき～ん・・・　宮川高校のある伊那谷近辺はアジアのどこかに地形が酷似しているそうで自衛隊と同盟国であるA国航空機の練習空域になっているらしい毎日午前中と午後に多数の航空機が定期的に通過していく演習らしく輸送機からヘリコプタまで各種航空機が仮想状況を設定しシナリオに沿って上昇したり急降下したりいきなり全速力を出して飛び去ることもある平日昼間はだいたいやってくるがずっとではないので生徒は既に慣れっこになっているうわさではまだ開発中の機体が飛行することもあるとかで軍事マニアの生徒は密かに楽しみにしているらしい　ぐお～んきゅ～んひゅるるる・・・　この日大型ヘリコプタがいつものように宮川高校上空を通過したA国のマークを誇らしげに機体に着けているしばらく飛行するといかにも変な音を発生しているあっヘリが墜落するぞ～授業中にも関わらず男子生徒の一人が大声で叫んだ授業中だぞ静かにせんか担当教員が注意する間もなく教室内の大多数の生徒たちは窓際に駆け寄ったエンジン部と思われる部位から真っ黒な煙を吐き出しながら大きな機体は宮川村北部の山間に向かって高度を下げている墜ちるぞ～機体は煙に包まれながら山の向こうに消えていった直後ずーん・・・と嫌な音が教室まで伝わってきたこのままで自習して待っていてください　担当教師は研究室にあたふたと戻ってしまった山向こうからはまだ黒煙がもくもくと上がり周囲のやまやまをどす黒く染めつつあるこりゃ墜落爆発炎上のパターンかなあ　静奈のクラスメイトで自称軍事オタクの生徒が周りに聞こえるとように大きな独り言をつぶやいているあのヘリは輸送用大型ヘリコプタでCH-４６AタイプD20名の兵員とトラック1台を乗っけて日本国内だったら無給油でどこまでも行けるんだよけっこう古いタイプだけどそれだけに大きなトラブルは起きたことがないしこんな事故は初めてじゃないかな静奈と涼子は聞くともなしに説明を頭の中に入れていたばばば・・・４機のヘリコプタが編隊を組みつつこちらに向かっているあっ自衛隊が来たぞいやあれもA国空軍だ　４機編隊のヘリコプタは墜落現場に近いと思われる農道に次々に着陸している今度は自衛隊だこちらも４機編隊であるがうち一機は宮川高校グランドに向かって降下を開始している全校生徒の皆さんこれより校庭に自衛隊のヘリコプタが着陸します危険なので窓を閉めて絶対に外に出ないでください　授業中にも関わらず大音量で流れた校内放送によって学校内はさっきよりも騒然としている轟音を響かせつつ着陸したヘリコプタからはすぐにトラックが降ろされた整列していた隊員は即座にトラックに乗り込むと北山方面に走っていくすぐに離陸するかと思ったヘリコプタはエンジンを停止してしまった胴体内から資材が運び出されるとテントがすぐに設営さて本部と書かれた旗がテントに揚げられたここを臨時本部にするつもりなのかな～　静奈はぽつりとつぶやいたよくM機関からクレームが入らなかったものだもしかすると女神である静奈がここにいることは自衛隊には通達されていない可能性もあるが自衛隊本部が設置されたことでにわかにきな臭くなった感じがする本部テントから司令官らしき人が校舎内に入るのが見えた校長に挨拶するつもりなのであろう　静奈はスマートフォンを取り出すと今井村長に電話を掛けた今井村長さんこんにちは静奈ですおおっ御鏡さんか久しぶりです今回のことはこちらにも詳しい情報は伝達されていませんということはA国軍が勝手にやったことなのでしょうふ～んそうなんだじゃあ自衛隊はどうなの～自衛隊はA国軍に合わせて行動を起こしただけだと今のところは思っていますじゃああの墜落も見せかけだけかな～おそらくようかと思われますそっか～また何かあったら電話するね～村長さんありがとっ静奈はそういうと電話を切ったもちろんA国のことだから低重力現象を知っていて秘密をつかむために思い切った作戦にでたのではないかと静奈は思った　宮川高校を出発した自衛隊小隊は北山山麓に到着するとヘリコプタ墜落現場に行けそうな山道と沢をすべて閉鎖したすると先に到着して命令を待っていたA国軍はそれに対峙する形で部隊を展開したここは日本国内であり日本の法律が優先されるただ事故が起こった場合はA国軍の活動が優先されることになっているもし今回が墜落であればA国軍の活動が最優先されることになる自衛隊もA国軍もテントを準備し長期戦の構えを見せているのだった宮川高校のすぐ近くで同盟国同士が笑顔でにらみ合う珍しい構図が出現した　墜落現場上空をマスコミや自衛隊A国のヘリコプタが飛び交っているが黒煙と林にはばまれてヘリコプタの状況ははっきりしないまま一晩が過ぎてしまった宮川村周辺の道路は取材と野次馬の車が集中しあちこちで大渋滞が発生しているテレビはこの状況は真剣に報道しながらもどこか皮肉っているように感じる宮川村はただ迷惑なだけである最初は事故の一部始終を目撃したことでマスコミの取材攻撃に会った生徒たちも宮川高校に通うことが不自由になるとだんだん不満がたまってくる学校の年間予定はしっかり決まっており事件が長引くと様々な支障が現れるのは分かりきった事だった　１９大統領あなたは狂ってしまった　某国大統領執務室で補佐官が大統領に銃を向けた狂ってなぞおらんあのままではこの国は国際社会から孤立し生きていけなくなってしまっただろうなんとかせねばと考えていたところに女神様の救いの手が差し伸べられたのだ貴重な手を握らずにどうするのだこんなことは二度と起きはせぬのだぞふん代わりにこの国は女神の思うように動かされることになるそれはあのにっくき日本の言いなりになることと同じではないのか　補佐官は拳銃を突き付けながら叫ぶように話したこの国は本来日本の女神様の恩恵を受けて栄えた国なのだそれを反故にしたばっかりに周囲からいいようにされて今はこの様ではないか女神様におすがりする最後のチャンスなのだぞそれがわからないのか　大統領はあの時確かに女神様に魅了されて条約に調印しただがこの国は本来女神様の庇護なしにはやっていけない国であることはわかっていたはずなのだそれが大国の甘いえさにまんまとつられて庇護を抜け出して５００年翻弄されるばかりでちっとも発展することができなかった今が本当に良いチャンスなのだあああんたの考えはわからないねあんたのやろうとしていることは国を売ろうとするのと同じじゃないのかね　補佐官がそう言い終わると大統領執務室の扉がばんと大きな音を立てて開けられた外から大勢の兵士が整然と入室し大統領に銃口を突き付けた補佐官が指示する別動隊が執務室の机を探し回っているよし見つけたぞ　補佐官が手にしているのは某国全軍に命令を下せる暗号器のキーであったこのキーがあればミサイルを発射することができるのだ我々の勝利だおおーっやったぞ願いはかなったぞ　兵士たちの歓声に押されて補佐官はさっそくキーに暗号を入力するよし予定通り日本国宮川村に向けてミサイル攻撃を開始するここには低重力装置があるとの情報を入手したそんなものが日本やA国の手に入ってしまえば国際情勢が一気に決まってしまうそこでこのミサイルで一気に吹き飛ばしてしまうのだ補佐官ばんざ～いばんざ～い　歓喜の声が大統領執務室に響きわたる中補佐官はミサイル発射管制システムへのアクセスキーを暗号器によって生成するこのキーを用いてミサイル発射ボタンを有効にしたやめろそんなことをすればこの国ものがなくなってしまうぞ　大統領は必死に説得を続けるが補佐官の耳には入らない発射　補佐官は短くつぶやくとボタンを押した遠くの日本海にはミサイル発射装置を搭載した潜水艦が浮上する様子が執務室のモニターに映し出される浮上した潜水艦は上部にあるミサイル発射ハッチを１本だけ開いたしばらくすると内部より煙と炎が上がり１本のミサイルが上空へと飛翔するやったぞもう誰も止めることはできない補佐官ばんざーい　執務室は歓喜の声であふれておりもうこの国は終わってしまったミサイルを国土に向かって打ち込めば他国が侵入する絶好の口実をあたえてしまうことすらこの連中にはわからないのか　大統領はモニターに映し出されるミサイルの飛翔映像を見つめて力なくつぶやいたびーっびーっびーっ生徒が所有しているスマートフォンが授業中にも関わらず一斉に警報音を発し始めたアラートJである大型の台風や地震などの自然災害により被害が出そうになっている時某国などがミサイルを発射して日本近海に着水しそうな時などに警報を発するシステムである緊急警戒速報某国が日本に向けてミサイルを発射したと思われます落下警戒地域は関東中部東海日本海太平洋です対象地域のみなさんは直ちに屋内に避難し机などの下に入って身を守ってください　自衛隊及びA国の早期ミサイル警戒迎撃システムが直ちに起動迎撃ミサイルを発射する後１０秒５，４，３，２，１接触します　ミサイルの存在を示すレーダ上の赤い点は残念ながら消滅せずに移動を続けている・・・・破壊に失敗しました　発射から到達までが短すぎて迎撃ミサイルによる破壊は失敗したミサイル目標予測地点はC305/X201長野県宮川村付近です到達まで後１５分です　迎撃司令官は絶句した今まで何回か飛来したミサイルは全て洋上に落下したまた爆発した気配はなかったしかし今度は違う確実に弾頭を搭載しているしかも弾頭が通常弾頭である保証はどこにもない宮川村には静奈様が女神様がいるそんなところにミサイルを落となんて絶対に許されないのだ　ミサイル発射の詳細をモニターしている総理大臣は官邸内に響き渡る大声で叫んだ女神様をミサイルごときがどうこうするなんてことができるわけはない　総理大臣は直ちにM機関に通じるドアを開けたそしてM機関長の佐藤に命じる女神様を安全な場所に避難して頂くことを最優先せよはっ女神様のお傍には今井村長と東谷がついております女神様は宮川高校校庭地下の核シェルターに避難したと今井村長より連絡が入りました後10分でミサイルは宮川村に到達します　２０一方宮川村の宮川高校ではなんか大変なことになっちゃってるね～　宮川村に弾頭搭載ミサイルが落下しようとしていることは宮川高校の生徒たちは知らない生徒たちは指示に従って校庭下に設置されているシェルターに避難をしていたアラートJが発令されたので訓練を兼ねてシェルターに避難すると説明されていた生徒達はもちろん学校の職員の一部しかシェルターの存在は知らなかった静奈と涼子がこの学校へ入学が決まったときに校庭に陥没の危険があるということで校庭をすべて掘り起こす改良工事を行っていた際に密かにシェルターが構築されていたのであるM機関が関わっていたことはいうまでもない　静奈と涼子健一は他の生徒と一緒にシェルターに避難していたシェルター内部は教室程度の部屋が多数設置されているカーペット敷きなので毛布があれば眠ることもできるエアコンが完備しており息苦しさは全くない食料も1000人が1ヶ月は生活できる分量が備蓄されている今のところあくまでも訓練と説明されており生徒たちは落ち着いて行動している　だが通常弾頭を装備したミサイルが到達後に爆発したらどのくらい被害がでるのかもしそれが核弾頭であった場合宮川村はそして日本はどうなってしまうのかこのシェルターはどの程度耐えることができるのかM機関員であっても経験が浅い健一は気が気ではなかった　時健一の頭の中に声が聞こえた僕を動けるようにして欲しいですずっと前いたずらに力を使ったことは反省していますもう絶対にしないと誓いますお願い信じてください　あっこの声は・・・どことなく懐かしい声に感じた健一は声の主が祖父である駿平から嫌というほど聞かされた声であると直感的に分かった健一は声を受け取り本能的に信じてもいいことを悟った祖父の駿平が話してくれたことは本当のことだったのだ　５００年ほど前ふらりと地球に現れた異星人はほんの遊びのつもりで織田信長に加勢し天下をとらせた当時日本に降臨していた女神様は急速に外国文化を日本に取り入れる信長に危機感を抱きこのままでは日本は外国に蹂躙されてしまうと徳川家康を押したのであるために女神様対異星人の争いが勃発しようやくのことで家康に江戸幕府を開かせた経緯がある　幕府が開かれ世間が落ち着いた3代将軍の頃女神様は鎖国と同時に異星人を宇宙船ごと伊那谷付近の地下深くに閉じ込めることに成功した当時は一括りに忍者とか忍びと呼ばれる一団や明智光秀がM機関と同様の役目を果たしていたおそらく東谷健一の祖先にあたるのであろう　　健一は静奈と涼子をシェルター内部にある特別室に呼んだ女神様たった今異星人が私を呼ぶ声が聞こえました　健一は直ちにことを静奈に告げた静奈が女神様であるとはっきりわかったのだ東谷先生初めまして女神の静奈です　静奈はぴょこんとお辞儀をすると健一の右手を両手で包むように握ったそして上に涼子の手を重ねる涼子ごめんね　静奈はそう叫ぶと両目を閉じて健一の精神に干渉を始める両手から健一の脳内に入り込み健一が受け取った異星人の言葉を探す静奈はやがて健一の頭の中をふわふわと漂う薄青色のまるでクリスタルのような言葉を見つけた静奈は健一が受け取った異星人の希望を自分の体に取り込むと思いを増幅蓄積するこんな面倒なことが起きるから～今日はお昼もろくに食べれなかったんだ～　静奈は相当頭に来ているらしい昼抜きの恨みは恐ろしいよ～思い知れ～・・・・う～んそれにしても～お腹空いた～　静奈はそういうと積もりに積もった女神パワーを異星人に向かって一気に放出したのである信じてくれてありがとう僕はもう絶対に悪いことはしないからね　異星人は宇宙船のコントロールシステムにかけられていたロックが解除されたことを知ったそして宇宙船のサブエンジンを500年ぶりに起動することに成功したのである　ひゅるる・・・軽快な音が周囲に軽やかに響き渡ると宇宙船はすぐに短距離転移を行い宮川高校上空２００ｍ付近に突如雄姿を出現した宇宙船は全長約２００ｍ全幅５０ｍであり宇宙人の感覚からすれば近距離航海用の小型船である　地上に出ることができた宇宙船はメインエンジンを起動し高度１００００ｍまで一気に上昇するミサイル迎撃高度に達すると反重力システムをバリアモードにセットし迫りくるミサイルに向けてエネルギーを一気に放出したミサイルは宇宙空間にものすごい勢いで跳ね飛ばされ反転加速衝撃と摩擦熱により爆発し蒸散した宮川村の日本の危機は女神様の活躍で回避されたのである私は日本の女神　静奈ですどこにでも好きなところに行きなさい女神様ありがとう　異星人は宇宙船の人工知能を健一の脳を経由してM機関コンピュータに接続すると大量のデータを一気に送信した僕の名前はゼフィアお礼にみなさんに役立つ情報を少し提供しました後で見てくださいそれではさようならまた逢う日まで　長い囚われの身から解放された異星人は静奈に言われて宇宙空間に飛び去ったそして宮川村に低重力現象が起きることはなくなったのである涼子ごめんね～東谷先生の頭の中をちょ～っとだけいじっちゃったの～許して～　静奈は親友の涼子に平謝りしていた別に静奈に謝ってもらうことなんてなんにもないからね気にしなくていいよええっそうなの～じゃあ～東谷先生の頭の随所にあった涼子らしききれいな記憶の断片は消してくればよかったかな～　静奈は涼子の耳に口を寄せてとんでもないことを教えてくれたちょっと待ったそれ以上は言わないで～　涼子は顔を真っ赤にして静奈の後を追っかけた　2人のやりとりを聞かされた健一は今後は女神様の僕（しもべ）としてそしてM機関員として生きるしか道はないことを思い知らされたのである隣の女神様２　終わり隣の女神様３　御鏡静奈と御柱伝説　全５２話[あらすじ]　宮川村ミサイル事件や重力事件から9年が経過した東谷健一はM機関員として長野県を担当現在は諏訪地区に在住諏訪支所長である健一は地元の短大を卒業したばかりの玉川涼子と女神様から大いに祝福されて結婚した現在はすぐに授かった5才になる息子の純一と3人暮らしであるそして肝心の我らが女神様　御鏡静奈は・・・　１春からはいよいよ短大生だね　卒業式を終えた日の夕方玉川涼子（たまがわりょうこ）は友人の御鏡静奈（みかがみしずな）に歩きながら話しかけたこれでようやく生徒会長から解放されるよ～涼子も副会長お疲れ様でした～　静奈と涼子はさんざん進路に迷ったあげく地元の女子短期大学に進学することにした二人とも介護士や保育士を養成する社会教育学科である静奈は東谷先生の後輩になるんじゃなかったの　涼子が静奈の気持ちをうかがうような口調で静奈に尋ねた都会は賑やかすぎて私には合わないよ～それに～もうしばらく涼子と一緒にいたいじゃんね～このこのおお世辞にしてもうれしいことを言ってくれるねえ心配せんくても東谷先生をとったりしないよ～　涼子は静奈の思わぬ返答に顔がにやけてしまう　御鏡静奈は実に500年ぶりに現世に降臨した女神様である信仰宗教の教祖様などではない長野県宮川村にある宮川高校在学中には国家間の大きなトラブルを２つも見事に解決し日本に莫大な利益をもたらした本物の女神様である　静奈は宮川高校では生徒会長を務めていた時の顧問が東谷健一（ひがしたにけんいち）である健一は宮川村役場に所属しながら宮川高校講師も兼任していたが実は内閣総理大臣特務M機関に所属し静奈をサポートすることが本務である　健一は帝都大学を主席で卒業した秀才である異星人と脳波交流できる遺伝子を持っており女神様のサポートにはうってつけの人材である帝都大学を始めとする主立った大学は女神様をサポートできる人材を探し出して育成することを隠れた目的として設置されているのである　女子大生女神様　御鏡静奈の活躍はまた後日に報告する予定であるお楽しみに～　さて短大を無事卒業した静奈と涼子の二人は取得した保育士の資格を活かして保育園に就職する予定であったが有事の際にサポートする自信がないと総理大臣より懇願されてM機関におとなしく所属したよって二人とも見かけの就職先は政府外郭団体M企画の一員である　２　M企画は政府の統計業務を請け負う組織ということに表向きはなっている静奈と涼子は二人のために急遽設置されたM企画信州諏訪支所に配属されたこの支所の支所長はもちろん東谷健一である静奈さん私たち二人は結婚します　涼子と健一は働き始めてまだ半年しか経っていないというのに大胆に宣言したええ～それはびっくり～でもなんかそんな気はしてたんだ～おめでとう　結婚宣言を聞いた御鏡静奈は二人の幸せを心からのお祝いした涼子が高校生の時からお互いに好意を感じていたことは周囲には丸わかりであったしかし健一は教師という立場上涼子が高校を卒業し短大生になるまで待ってから正式にお付き合いを申し込みしばらく後にプロポーズ婚約ととんとん拍子に話が決まったのであった　涼子はもし健一が静奈が好きだったらどうしよう女神様がライバルではとても勝ち目がないと悩んだのであるがそんなわけないでしょう～静奈の一言で悩みは吹き飛んでしまったのである　婚約中のカップル二人にとっては静奈が小姑のごとく邪魔をしているかのように世間には映ったかもしれないしかし健一と涼子二人の本務はこの静奈にふりかかる様々な困難を取り除き本来静奈が持っている力をいざというときにいかんなく発揮できるように環境を整えることであるとはいえ目を離すとすぐにふらふらとどこかに行ってしまう静奈をサポートするのはなかなか大変な仕事であった　翌年東谷健一と玉川涼子は盛大に結婚式を挙行し無事夫婦になることができた内閣総理大臣や某国大統領からの祝電が読み上げられたことは面白い余興だったと今でも語りぐさになっている　静奈からこれでもかという位祝福してもらったのはいうまでもないこれぞ本物の神の祝福である幸せにならないほうがおかしいであろうやがて涼子は妊娠無事に男の子を出産し純一と命名された　３　子供が産まれた涼子は産休育児休暇初めて父親になった健一も子育てにばたばたしているうちに静奈が姿を隠す頻度が増えていることに気がついた最初は二人に遠慮しているかと思ったがどうもそうではないらしい健一と涼子はもしかすると現世での女神様の降臨終了が近づいているのかもしれないと覚悟を決めたのである　女神様が時代にどの程度の間降臨し人々を助けてくれるのかは誰にもわからない現世では既に某国からのミサイル攻撃を防御し異星人から得たオーバーテクノロジーである重力システムのヒントを日本にもたらしてくれているこれ以上の御利益を望むのはそれこそばちがあたるというものであろうしばらく有給を取ります～みなさんお幸せに～　ある日健一がM企画諏訪支所に出所すると静奈からのメモが机に貼ってあった本物の女神様からのお告げとしてはずいぶん雑な気がしたが静奈らしくもあった静奈の机はそこそこ片付けられており本当にしばらく姿を見せないつもりなのだろう　こうして健一は内閣総理大臣特務M機関諏訪支所長として女神様しばらくお隠れの第一報を送ったのであったいい加減に寝なさい　五才になる東谷純一（ひがしたにじゅんいち）は十時になっても寝つけなくて母の涼子に今夜も怒られていた早く寝ないと今夜もどんつくが来て純を連れていっちゃうぞ　父の東谷健一も同じ様に脅かしている純一は目をつむって一生懸命眠ろうとしていただが昼寝をしすぎたせいかなかなか眠りにつくことができないどんつくどんつくどんどんどんつくどんつくどんどんやさえーえやさえー　地をはうような低音でぶきみな音が響いて来る同時にぎしぎしぎしぎしと得体の知れない音も絶間なく聞こえてくるほら純がちっとも寝ないからどんつくが来ちゃったじゃないか　父の健一が脅かす音はだんだんと大きくなり純一の家の前でせい　という掛け声と共に停止した　４僕はもう寝たよ　布団を頭までかぶって純一はがたがたと震えているしばらくすると再びせい　という掛け声と共にぶきみなどんつくはしだいに遠ざかっていった純一もようやく眠りにつき静かな寝息をたてているもうじき御柱だね　涼子が健一に話しかけた御柱とは日本三大奇祭のひとつに数えられる諏訪地方の大祭である祭りは山から大木を切り出す山出しと町の中を引き回す里引きの二つに分けて盛大に開催される　山出しでは切り出した御柱にたくさんの人が乗り途中の斜面を勢いよく下ってゆく木落としと呼ばれる見せ場があり怪我人がでることもある祭が近づくとこのシーンが印刷されたポスターがあちこちに見られるようになる　一方の里引きは街中で開催される綱をつけた御柱を引き回し柱の周りで出し物が華やかさを競うそして諏訪大社の下社と上社の境内に四本の御柱を建て祭りは終わる　この勇壮な御柱は七年に一度執り行なわれ諏訪地方のちょっとした社にも小さな御柱が建てられる御柱の年は出費が多いために結婚するのは縁起が悪いとされるのが伝統となっているほどの地域総出のお祭りである　五月の里引きにはたくさんの地区毎の出し物が華やかさを競いあう純一がおびえたどんつくは里引きの出し物の一つで正式には長持ち行列というぎしぎしという音は長持ちを担ぎ練り歩く時に発生する擦れ合う音で大きさや音色に個性がありこの音をはっきりだすことが目標の一つでもあるらしい　御柱が近づくと出し物の練習が始まる昔と違って今は担ぎ手にも仕事があるために練習は夜行われる健一の地区では８時から１０時まで毎日練習しており家の前がちょうど休憩場所となっていたこれでしばらくは純一も早く寝るね　まだ結婚したばかりの頃涼子が初めてこの音を聞いたのは健一が出張で留守の時であっただんだんと近づくどんつくが家の前で止まった時失神しそうなほどの恐怖を覚えたがたがたと震えながらも意を決して窓から外を覗くと１０人ほどのグループが長持ちを囲んで缶コーヒーを片手に休んでいる所であった　５　練習は毎日続き純一はどんつくの音を聞くのが恐しく聞こえるまでに寝てしまおうと布団にもぐるのを早くしたおかげで地をはうような音が聞こえる頃にはぐっすりと眠っている　祭りまであと半月と迫った夜純一はいつものように眠りについた９時が迫る頃いつものようにどんつくの低音がうなるように響いてくる今日はなんだか音が違わないかそうかなあ　テレビドラマに夢中の涼子は生返事をしているそんな涼子を健一は背中から抱きしめたやめてよいまいいところなんだからいいじゃないか～もうしょうがないわね永年連れ添った夫婦の営みはぴたりと息があっている二人が絶頂に入った時テレビがパチッと音を発てて消えたあれ壊れちゃったのかしら　相変わらず聞こえて来る音に健一が耳を澄ますといつものどんつくよりも音が金属質のようである音が変だねカセットでも使い始めたのかな　涼子はテレビの電源を入れようとリモコンに手を伸ばしたガタッ　涼子は慌てて健一から体を放し寝室にのぞきにいく寝室では純一が起き上がり布団の上でぼーっとしているはやく寝ないとどんつくにさらわれちゃうぞ　純一を脅かした涼子は様子がただごとではないことに気がついた夢遊病者のように目の焦点が定まっていないのであるどんつくどんつく　ぎしぎしという音と共に近づいてくるどんつくどんつくどんどんやさえーえやさえー　音が頂点に達した時純一はすっと立ち上がったそして音に誘われるように玄関に向かって歩いて行く健一と涼子がぼうぜんと立ち尽くす中純一が裸足のまま玄関に降りると鍵が掛かっていたはずの玄関の扉がすっと開き純一は外へするりと出ていった　６ガチャン　扉が閉まると同時にどんつくもぎしぎしも聞こえなくなった涼子と健一ははっとして我に返り純一！純ちゃん！　名前を呼びながら外へ二人が飛び出ると純一も長持行列も煙のように消えていた純一！　健一は叫びながら家の周辺を必死になって探し回った涼子も声を枯らしながら探しているしかし純一は見つからなかった神隠しにあったように純一は消えてしまったのである　朝になっても純一の姿は見つからなかった健一は警察に捜索願いを出しに行った担当の警察官は小沢という若い警官である健一は純一の消えた時の様子を小沢に話しながらとても信じてはもらえないだろう　と思っていた一気に話し終えると健一の口からふーっと深いためいきがもれた実はですね六年前の御柱の時も純一君くらいの子供さんが行方不明になっているのです残念ですが子はまだ見つかっておらんのです　純一のことを考えると目の前が真っ暗になる思いの健一であったこれは何か秘密がある　健一は直感した　家に帰ると健一と涼子はまず近所の聞き取りを始めた健一は地区の公民館に出かけ当日の長持ちの練習スケジュールを調べた驚いた事に長持保存会の練習スケジュールによれば事件のあった当日は市で主催の合同発表会に参加するためにいつものグループは健一の家の前を通っていないのであるなぜ私の家の前でいつも休憩を取っていたのですか　健一の言葉にあなたの家の前まで行くと長持ちの音が一段と大きくなるんですよ家の壁で反射しているんだと思いますがそれでなんとなく休みたくなるんです　保存会の責任者は言われて初めて長持ちの音が大きくなったのに気がついたようであった健一のあせる気持ちとは裏腹に七年振りの御柱は刻々と近づいてくる　７　早朝つつじケ崎の館を騎馬で出発した武田晴信（たけだはるのぶ）は馬を操る事に黙々と専念していたたとえ自分を殺そうとした父とはいえ謀略をもって駿河の今川に追放したことには変わりがない自分の父母を心から信頼できない時代になぜ自分は生まれてしまったのか晴信は自嘲してつぶやいてみたが皮肉にも追放が成功した時点で不穏分子は一掃され家中は晴信を中心に結束が固まった晴信は二十一才であった　しかし感傷に浸っている暇はない今川と同盟を結んでいるとはいえいつ戦が勃発するかわからないのがこの時代の常である北に目をやれば戦上手の上杉勢が虎視耽々と信濃を狙っているし北条も油断ならない相手である　まずは諏訪を手に入れなくてはなるまい　家中がようやく結束し甲州が平定した今国を豊かにすることを最優先にしたい晴信であるがもたもたしていると他国から侵略されてしまうのがこの時代の常であったためには領土を増やし戦に動員できる人数を確保するしかないのである　諏訪は神の国だな　信州諏訪はここつつじが崎より西へ二十里諏訪湖と呼ばれる巨大な湖を中心とした豊穣な地域である晴信が魅力を感じたのはここには諏訪大社があるからであった　人々の信仰がまだ厚きこの時代神仏の力は偉大であった武将は占いにより出陣の日や決戦の日を決めていた他国での戦いにも占師ははるばる同行し軍の行動に大きな影響を与えていたのである　武田の行動を正義とするためにも諏訪大社を勢力圏内に置く必要がある　神社からののお告げは国の権力者に不都合な事は言わないのであった　つつじケ崎の館へ戻ると晴信は軍議を行うと各大将を広間に集めた我が武田軍は晴信は皆をじろりと見回して続けるまず諏訪を取る　晴信の一言でむかでと呼ばれる斥候部隊が諏訪へ向けてすぐさま先発した武田軍が来るといううわさを流し住民を動揺させるためである　８　諏訪では代々諏訪大社を納める諏訪頼重と高遠頼継の争いの真っ最中であり晴信が流したうわさはすぐに双方の耳に届くところとなった高遠はもともと諏訪の分家であったが頼継は自分が諏訪大社の大祝（おおはふり）になりたいという一心で武田に内通してきた頼継の内通を知った頼重は上原城を捨て桑原城へ移った桑原城は出城に近い小さな城である当家を諏訪大社の大祝と安堵していただかなければ死んでもここは動かない　頼重は天下ということなどただの一度も考えた事がない頭の中にあるのは諏訪大社の大祝（おおはふり）のことのみであった頼重の返答を聞き晴信は笑った戦なぞしなくても諏訪は手にはいったわ　晴信は頼重の条件を全て承諾し頼重を古府中へと召し出した諏訪頼重亡き後頼継は大祝の職を晴信に望んだがような話しは聞いておらぬと拒否した怒った頼継は武田の持ち物となっていた上原城に兵を向けたこれこそが晴信の思う壷であった虎王丸こそ諏訪の正統である　頼重と晴信の妹ねねの間に生まれた甥を前面に押立て諏訪の豪族達を自分の手元に集めてわずか四時間の闘いで高遠頼継を追い払ったのである　諏訪を手中にした晴信は頼重と頼継が命をかけてこだわった諏訪大社を訪れた大したことはないな　家臣の前では信仰心が厚いように見せている晴信であるが頭の中は神仏をいかに味方につけるかで渦をまいている奥の神殿まで来た時晴信は言った中を見せてくれそれはできませぬここを守るのが私の先祖伝来の役目でありまする例え天朝様の申しつけであってもできませぬ　天朝様と言った時諏訪大社の神官長　守屋頼真の顔には勝ち誇った顔色がわずかに見えた実際神殿の中などどうでもよかった晴信であるがそう言われると意地でも中が見たくなったならば力ずくでも見せてもらうぞ　家臣に命じて守屋を取り押さえたどのような天罰災いが起ころうとも決して後悔なさるな　晴信は守屋の脅しに顔色ひとつ変えなかった　９　守屋自身は祈祷や掃除のためにこの神殿に毎日出入りしているしかし奥の院と呼ぶ神殿の中心にある小部屋には入った事がなかったもし入れば子々孫々にまで災いが及ぶと伝えられている晴信を神殿に入れればこの扉を空けろと言い出すのはわかりきったことである絶対に後悔なさいますな　守屋が叫ぶ中晴信は神殿の扉を開けて中に入った中には神社でよく見かける祭壇が祭ってあるなんだ特別変わった事はないではないか　晴信はがっかりして中を見回したあの扉はなんだ開けるなと申されても晴信様は承知されないでしょう中をご覧になっても結構ですが私は外でお待ちしたいと思いますそう言うと神殿の外へ出た　もったいつけおって　晴信は奥の院の扉に手をかけた千年以上誰も触れていない閂（かんぬき）を静かに外すと扉を開け放った奥の院の中には箱のような物があるようであったが暗くてよく見えない晴信は祭壇のろうそくを手に取ると奥の院に足を踏み入れた院の真ん中に箱は鎮座していた長い間誰の手にも触れていないはずなのにまるで昨日安置したように新品の輝きを放っているおかしいなたぶらかされているのであろうか　晴信は箱の蓋を取るがためらわれたが既に開けなくてはならない脅迫観念にとらわれてしまっている晴信は蓋に手をかけると静かに開け放ったなんだ何も起きないではないかやはりあの神主のはったりであったか　蓋の内側はお椀の内側の様に湾曲しており中ではなにやらちかちかと点滅するものがあるだけである　晴信は内心ほっとしたが表面は取り繕ってすばらしい獲物を見つけた顔つきになったそして蓋を閉めようと手に取った時である　箱の中から青白い光があふれ始めてきている光は生き物のように晴信に向かって静かに輝き始めた晴信はとっさに逃げようと思ったが体が動かない光の中から一際強い一条の輝きが晴信の体を調べるように頭から足の先までを照らし箱の中から晴信に向かって極細の鋭い針を発射した　１０お館様ようやく晴信は目をさました私はどうなったのだはい奥の院からなかなか出てこられずに心配しておりましたところしばらく後に御自分で出て来られました御気分がすぐれないらしくて場にしゃがみこまれましたので私がここまでお連れ致した所存にございますうむ大儀であった少し眠りたいので部屋を貸して欲しい　晴信はようやく言葉を発すると静かに目を閉じた自分で歩いた事は全く覚えていなかったが箱の中からなにやら飛び出し記号のようなものが頭の中を駆け巡ったた事だけはぼんやりと覚えているあれはどのような意味なのだ　薄れゆく意識の中で晴信は懸命に考え続けていた　諏訪を平定した後に迎えた初めての春晴信は小数の小姓を連れて諏訪湖の周辺に出かけた祭りの準備ににぎやかな農民達を馬上から見た晴信は家臣に尋ねたあれはなんという祭りだあれは御柱祭でございます昨年はこのような祭りのことは聞かなかったぞ晴信は不思議に思って問いかけた正式には式年造営御柱大祭（しきねんぞうえいみはしらたいさい）といいますこの祭りは７年ごとの寅と申の年に行われるのでございますそれはぜひ一度見てみたいものだな来週が一番見物ですのでご案内致します　次の週晴信は忍びで諏訪を訪れた 御柱の先頭にはきれいな飾りがつけられ角のように二本の棒が空に向かって伸びている角をめどてこと呼ぶらしいのであるが一本のめどてこには頑強な男共が五人ほどしがみつき誇らしそうに柱を引っ張る人々に指示を出しているそおれそおれ　男共が声をかけるたびに巨大な柱がずるずると人々の力により前進していく晴信の前を引かれている御柱には一ノ宮と書かれた板が打ち付けられているがこの柱からは四本の太い縄が伸び千人もの人間が縄を引っ張っているように思われた　１１　御柱の後ろでは女衆が華やかな衣装をまとい笠をかぶり踊り続けているあの踊りはなんだ花笠踊りでございます向こうで担いでいるのはなんだ　晴信が指差したのは長持ちを担いだ行列であったあれは長持ち行列でございます里ごとで造りと音に工夫を凝らしております中には何が入っておるのだ昔は神への貢ぎ物として若い娘を入れておったようですが今は良い音を出すために砂を入れておるようです　晴信はしばらく御柱と花笠の娘と長持行列を眺めていた長持行列がぎしぎしという独特の音を出しながら晴信の目の前に来た時だった晴信の頭の中を閃光が駆け巡り見た事も無い記号らしきものが飛び交った馬上にいた晴信は自分の頭の中の光に自分で驚き目を見開いたまま放心状態に陥っていた建て御柱は明日でございます本日は私共の館にお泊まり下さいませ　若い娘に声をかけられて晴信はようやく正気に戻ったうむそうさせてもらおうか　声の方に目を向けるとそこにはこざっぱりとした身なりの娘が立っていた若い娘らしく桜色の小袖を着ており長い髪がつやつやと輝いている娘と当主の先導で晴信は守屋の館に入った建て御柱はそれは激しい物でございます前の御柱の時私はまだほんの子供でございましたが柱の上から人が落ち亡くなったのを覚えております　晴信に語りかけたのは守屋の娘静（しず）であった幼い時分に飯田の秋山より養女に出され今は静と名乗ってこの神社を守っているそんなに危なくては祭りをやる人間がいなくなってしまうではないかあら静も男だったらあの柱の上に登ってみとうございますあの柱の上は合戦と同じで命を懸ける場所でございますそうかこの祭りはそんなにいいものなのかお館様山出しはもっとすごうございますよ　春先に山から木を切り出し木に男達が乗って降りて来るのが山出しである晴信はそちらも見たかったが次にあるのは７年後であるのであきらめるしかなかった大月館で静の給仕で食事をし一献傾けているうちにめまいもおさまってきた頭の中を飛び回った記号はいくら考えても覚えが無い物であった　１２　次の日晴信は静の案内で本宮へと向かった笠を被り静と一緒に道端の石の上に腰を降ろしていると昨日と同じように男達を乗せた御柱が通り過ぎていく本宮四から本宮一の柱全てが諏訪大社本宮に到着するまでにはかなりの時間がかかった　本宮に到着した柱は神社の四隅に運ばれるここからが祭りのハイライトだ柱が建てられる場所には既にやぐらが組み立てられ柱の到着を待っている大勢の男達によって運ばれた御柱はさらに長い時間かかってやぐらまで運ばれた　やぐらまで運ばれた柱は太い縄で縛られる縄にはたくさんの男達がとりつきそやそや　総代の掛け声に合わせて引っ張られる掛け声が掛かるたびに柱は少しずつ斜めになる柱の上にまたがっていた二十人ほどの男達は傾斜がきつくなるたびに柱の上に移動し必死の形相でしがみついている　やがて柱の上には三人の男だけが残ったはあーああーはあー　木遣り歌が響く中そや 　総代の最後の掛け声で柱は見事に直立した一番上になった男は得意の絶頂であるすごいものだな　晴信はつぶやいたあの柱に最後まで残った男は諏訪でも英雄となり末代までの語り草になりまする　晴信のつぶやきに静が答えた四から一まで柱は徐々に太く長くなっており時間もかかるようやく一の御柱が建つ頃にはあたりは暗くなり始めており境内にはかがり火が灯された案内役の静は晴信の疑問に楽しそうに答えてくれていたが一の柱がやぐらにかかり直立する頃には晴信そっちのけで目をらんらんと輝かせ目を凝らしていたお館様いよいよでございます　言われて晴信が目をやると総代の最後の掛け声で柱が建つ瞬間であったせい　ほら貝が激しく鳴る中総代が最後の掛け声を怒鳴る声に答える怪物のように本宮一の御柱は直立した　１３静すばらしいものだな　めったに感情を表に出さない晴信であるがこのときばかりは静に抱きつかんばかりの興奮状態であった　館に戻った晴信は静を相手に一献傾けた次に見られるのは六年も先かそうでございますでもお館様この祭りを毎年やっていては体も身上が持ちませぬこのくらいの間合いが丁度良いと思います　熱っぽく話す静を晴信は抱き寄せた静は拒まず晴信のするがままにされている静も父から守屋の家のためにもお館様を拒んではならぬと諭されてはいたが御柱の興奮を晴信と共有した後では否も応もなかった二人の唇が重なりやがて絶頂の波が二人を押し包んだあっああああ　晴信が頭を抱えて奇妙な言葉をしゃべりだした何を言っているのか静にはわからないお館様どうなされましたわからない　エビのように体を曲げて苦しむ晴信を静は懸命にさすり続けているもはや自分の手におえないと感じた静は人を呼ぶために立ち上がろうとしたお館様！　晴信の体から異常な青白い光が発せられているのであるお気を確かに　静は晴信に叫び続けただが晴信の体の光は激しさを一層増し体の震えもひどくなった同時に静の体からも同じような発光が始まった晴信様　白い光に包まれ静は恍惚の境地へと導かれるやがて晴信と静は一つの光の塊となり光が徐々に弱くなった後には二人は影も形もなくなっていた　１４　晴信の居館つつじがケ崎館には小さな祠が祭ってあるこの時代武士にとって神は戦の神であり出陣の日を占いで定めるほど信仰が強い時代であったこの館の祠も家来が毎日念入りに拭き清め掃除も怠りなく行き届いている　下男の松蔵（まつぞう）は今日も暗い内から起きだし他の下男と共に館の掃除に精を出していた武田の軍神を祭ってある祠がこの男の受け持ちであった松蔵はいつものように祠の閂を開け朝の新鮮な空気を取り入れようとしたそこにいるのは誰だ！　祠の中に二人の人影を見つけた松蔵は浮浪者が入り込んだと思い脅かすように大きな声を張り上げたここは武田の神聖なる祠であるぞような場所に入り込む以上覚悟は出来ているであろうな　動かない人影に向かって松蔵が大音声を張り上げた時ようやく空が白々と明け始め祠にも朝日が差し込み始め朝の光が照らし出した顔はこの館の主晴信人であったお館様　松蔵は慌てて駆け寄り晴信を抱え起こしたこのような所でどうなさいました松蔵かここはどこだ何をおっしゃいますここは晴信様の館でございますぞ　晴信はようやく事態が飲み込めてきた女はどうしたそこにおりまするううーん　静も気が付いたようだったこのことは誰にもいってはならんぞ御意　松蔵は晴信がただ単に女をここへ連れ込んだのではないことを悟った第一まだ晴信は諏訪のはずである松蔵私とこの女をこの屋敷から他に知られぬように連れ出してもらえぬかお任せ下されさすればもうしばらくお館様はこちらに御隠れあそばすように　松蔵は晴信と直接口がきけたのがよほどうれしいのか張り切って外へ出て行った　１５静は大丈夫か　ようやく目を覚ました静に晴信は声をかけたまだ頭がちかちかしておりますが大丈夫ですそれより何が起こったのでございましょうか私にもよくわからないがどうやらつつじケ崎まで一気に来てしまったらしい昨晩そなたを抱き寄せたところまでは覚えているまあ恥ずかしい後奇妙な物が頭の中を飛び回り気が付いたのがさっきなのだとにかく私はここにいないことになっているのだからどこかに姿を隠さなくてはならぬ静が居なくなったことに気がつくと諏訪の父が案じるやもしれませぬ　静はちょっと心配らしかったでもじゃじゃ馬の静の事またどこぞをほっつき歩いていると思ってくれることでしょうお館様静様これに着替えて荷車にお乗り下さいませ　松蔵が差し出した着物は百姓が昨日まで着ていたらしいみすぼらしいものであったうむそうさてもらう　晴信はすの場にすっくと立ちあがりさっさと着替えを始めた静はさすがに恥ずかしいようであったが失礼いたしますと言うとくるっと晴信に背を向けて祠の隅で身繕いを済ませた今なら誰にも見つからずにここをでることが出来まする　二人は祠を出て松蔵が用意した荷車に乗り込んだ松蔵はごめん　と言うと二人の上に草やごみを乗せくわや鎌を無造作に放り投げ素早くむしろを被せゆっくりと荷車を引き始めた止まれ　館の不浄門で門番の足軽に呼び止められたが松蔵の顔をちらっと見るとなんだ松蔵か　といっただけで通してしまったお館様もうしばらくの辛抱です　松蔵は荷車をごとごとと半時も引っ張っていた静は晴信にしっかりと抱き寄せられたまま一言も話す事なく体をこわばらせていた　１６ここまでくれば大丈夫ですだ　松蔵はむしろを取ると晴信と静の手を引いて荷車から起こしてくれたここはどこだへえつつじがさきから二里ばかり諏訪よりの場所でごぜえます　松蔵が連れてきたのは小高い丘の中腹の林の中であった松蔵感謝するぞ滅相もありませんお館様私も久しぶりにどきどきしてしまいました　静もようやく人心地ついようだお館様どうしてあげな場所にお嬢様といたのでごぜえますか　松蔵はさりげなく晴信に尋ねた松蔵いい加減に本来のしゃべりかたに戻ったらどうだお主駿河の生まれであろうそんなこたあごぜえませんあっしは韮崎の山の中の百姓ですだまあ良い　無事館から出て来れたので晴信も機嫌が良かった私と静はこれより諏訪に戻らなくてはならない馬を準備出来るかはいお安い御用ですだ　松蔵は言うが早いか既に走り始めていた晴信様これからどうするおつもりですか静殿諏訪の大月館に戻ってもう一度同じ事が出来ないか試してみたいのだ力を貸してくれぬか　静は昨夜の晴信の情熱的な抱擁を思い出して顔がみるみる赤らんでくるのがわかったよいなはい　晴信は細かく静に説明をしなかったがもし諏訪から一瞬にしてつつじケ崎まで来れるとしたらそれは天下が自分のところにやってくることが約束されることだと思った諏訪大社のお力か　静はおぼろげながら晴信の考えがわかったがそれ以上にしばらく一緒にいられる事の方がうれしく感じられるのだったどのような手段を講じたのか松蔵が馬を二頭曳いて戻ってきた　１７　晴信と静は馬にまたがると松蔵一緒に来い　と言うが早いか鞭をくれたちまち走り出した静も負けじと馬を責めるそして松蔵は信じられない速さで晴信の馬の轡を取ると一緒に走り出した夜通し馬を走らせた三人は次の日の早朝守屋館に到着した松蔵が先触れしたおかげで当主のみが裏門から二人を密かに導き入れてくれた心配しておりましたでもまだこの事は私しか知りませぬ　当主はもったいつけて晴信に報告したが娘の無事な姿を見てほっとしている様子は隠せなかった大儀であった　粗末な着物を着ていてもやはり晴信は凛とした声を出し当主をねぎらったしばらく寄せてもらうぞ寝所は同じ部屋にしてくれ　晴信はひとこというさっさと馬を降り館の中に入って行った部屋に入ると晴信の頭は急速に回転を始める同じ条件で静を抱けばもう一度つつじケ崎まで一瞬で行けないであろうか　晴信は夜が来るのをじっと待ったあの晩もこれくらいの刻限であった　晴信は静の手を取ると自分の方へ力強く抱き寄せた静は逃げませぬ大事にして下され　晴信は静の唇を自分の唇で塞いだ晴信様　小さな声で静はうながし晴信を迎え入れた何も起きなかったな　晴信は言ったええでも静はとても幸せでございました　なぜだろう晴信は条件の違いを考えた部屋は同じである床の向きも場所も変えてはいない静何か違うところはないかこの前よりも私が乱れてしまったせいかもれませぬもうじき月のものが始まる予感がいたします月のものそうか月だあの日とは月の場所が違うたしか満月だったのではないかそういえばそうでございました大きな月が諏訪湖を照らしておりました私は一度つつじケ崎に戻り準備を整える次の満月の日に又会おう　晴信は松蔵を呼ぶと嵐の様に静の前から姿を消していた　１８　つつじケ崎に戻ると晴信は松蔵に命じて居室の改修に着手した自分の居室を一回り大きくすると共に奥の間を設け隠れられるようにしたさらに奥の中には襖を二重に張り巡らし衝撃を少しでもやわらげるように備えた板の間にも畳を二重に敷き詰めた松蔵は外の小屋から奥へ自由に入る事が出来るようになった諏訪へ行く　完成したた奥を見届けると晴信は松蔵一人を連れて諏訪へ出立した松蔵も手慣れた様子で馬の轡を取るとかけていく　諏訪では静が晴信の到着を待ちかねていた晴信様明後日が満月でございます　日暮れの諏訪湖のほとりで静は晴信に語りかけたなぜすぐにわかるだってほらお月様があの木のところに来ると満月なのでございます　静は諏訪湖の水面から突き出ている倒木を指差して言った静はようなことまで知っているのかそれは生まれた時からこの地に住んでいれば何時ごろの月がどこにあるかはわかりまする静は賢いな　晴信は静の不思議な能力に驚いたようであった　満月の夜晴信と静は諏訪湖で身を清め床に就いた時間もあの晩と同じである今宵こそ再現しようぞ　実験の方に熱心な晴信に静はちょっと不満であったが晴信のたくましい手が自分に向かって伸びて来るとたちまち体が熱くほてってくるのがわかった静今宵はそなたの体はばかに熱いなそれは晴信様が恋しいからでございます　静はそういったが体からは熱気が立ちこめているかのような火照りようであった晴信は静の火照った体をぎゅっと抱きしめた二人の唇が重なり晴信の手が静の体を捉えたうっ　晴信の頭を閃光が走った二度目なので前よりも落ち着いてはいるが目も眩むような光で頭の中が埋め尽くされていく晴信様静は熱い頭の中がまぶしい　どうやら静にも同じ現象が起きているらしかった晴信の頭の中では光の渦が駆け巡っているしかし光はどうやら文字のようであった文字列が洪水のように出口に渦巻きやがて二人は気を失った　１９お館様うまくいきましてござる　揺り起こされて晴信が起きると改修したばかりの居室の中であったお前は松蔵ではないかなぜここにいるあの日に諏訪にいるはずのお館様にここでお会いして以来またここに来られる日が来ると信じておりましたさあ奥へどうぞ　晴信は気を失ったままの静を抱き起こすと素早く奥へ姿を隠したお館様は一瞬のうちに諏訪からここまでこれるのでありますか　晴信は松蔵の質問に答える変わりに太刀を抜き去り松蔵へ振りかぶった松蔵かわいそうだがお前はここで死んでもらうお前は知り過ぎた方今川の間者であろう　松蔵はもはやこれまでと観念し晴信の前で手を合わせ首を差し出したはっはっはっなかなか潔いな山本勘助　本名を言われてぎくっとなったが松蔵は黙っていたそちは妻と子を人質に取られてここへ送り込まれてきたのであろうしばらくは今まで通りに過ごすが良いただしこの度の一件は他言無用じゃ　勘助は晴信に手を合わせたまま涙を流したさて諏訪まで戻らないといけないな勘助準備は出来ておるかはい此度は着物も馬も準備出来ております御案内致しますので屋敷の外までは例の荷車でお願い致しまするまたあれか　晴信は勘助に微笑みかけた勘助が奥の壁の一部を軽くたたくと部分だけ回転し中に止めてあった荷車に静と一緒に乗り込んだ勘助は二人の乗り込んだ荷車を軽々と引っ張るとつつじケ崎の外へと出たこ度はうまくいったな　晴信は馬を静に寄せると話しかけた満月の夜だけ飛べるのかもしれぬ晴信様のお役に立ててうれしゅうございますもし飛び方がわかれば私は天下を取ることが出来る　晴信は今川がいつ天下を目指して上洛を始めるのか不安でならなかった晴信自身はまだこの古府中と諏訪をまとめたばかりであり信濃の平定には時間がかかりそうであっただがもし自在に飛ぶ事が出来れば上洛天下取りの夢も満更夢ではなくなってくる　２０静なんでございましょうかそなたあの箱を覗いた事があるな　静がまだ六才の童の頃であったむろん奥の院には絶対に近寄ってはならぬということを父からきつく言われていただが言われれば入りたくなるというのが子供というものであるある日静は父が留守をした折りに掃除を任された奥の院の周辺は当主の血縁しか近づく事を許されていない女人は禁制であったが静は童であったので周辺ならば良かろうということになったのである　最初の日静は言いつけを守り奥の院の周りをきれいに掃き清め中の掃除に精を出しただが次の日たまたま一人になった静は好奇心に勝てずにとうとう奥の院のさらに奥へと足を踏みいれてしまったのである奥にはあの箱が安置してあったこの箱には何が入っているのかしら　静はおそらく父すらも開けたことがないであろう黒塗りの箱にかかっているひもをするりと取るとためらうことなく蓋を開けたのであるでも何も起こらなかった箱の中にはきれいな銀色のおわんがが入っていたまあきれい　触れようとした瞬間箱は生き物のように青白い光をはきだし静に向かって光の矢を打ち込んだのである　どうやって屋敷に戻ったのかわからないが静は部屋で寝ていた父が戻ってきてもなにも言われなかったところをみると箱は自分でふたをしてひもを元に戻したようである静もいたずらが大好きなのだなおやめくださいまし晴信様と違って幼き頃の悪さでございますだがこうして静と出会えたおかげで私はすばらしい力を手に入れる事が出来た早く天下を取って民百姓を安心させなくてはならない私は神仏から役目を仰せ付かったのだと思う前の時は祠だったが此度は自分の居室へ戻る事が出来た強く念じれば多少場所は変える事が出来るようだだがまかり間違えば敵の真っ只中に静と抱き合ったまま素っ裸で放り出されるかもしれんということだ　晴信は自分の考えを整理するようにゆっくりと静に向かって話した晴信は飛ぶ研究にばかり専念しているわけにはいかない諏訪は我が手に納めたが上田原の村上義清には先日手痛い目にあったばかりである信州深志の小笠原長時は晴信に下っていないさらにむこうには上州上杉謙信が善光寺平を虎視耽々と狙っているのだ織田も侮れない　２１さてどうしてくれようか　すばらしい能力ではあるが使いこなせなければなにもならないしとりかえしのつかないことにもなりかねない勘助はっここに　居室で考え込んでいた晴信が勘助を呼ぶと奥より影のように現れたこの甲斐の国がまずやらねばなるぬことは領地を拡げることではない　勘助は晴信のいうことが大体予想出来たそれは情報を集め的確に判断する事じゃそしてまずこの国の民が豊かになる事が大切だ人は城人は生け垣だそこで勘助お前には甲斐の忍びの束ねをやってもらいたい甲斐にはまだまだ忍びが足りぬははっ　勘助は今川の間者でもある自分に甲斐忍びの束ねをやらそうとする晴信の腹の大きさ感激していた　翌日より晴信は深志の攻略にとりかかった晴信がつつじケ崎を進発したのは５日後であったが勘助はすぐに深志へ走り情報収集にとりかかったつつじケ崎を進発した晴信は諏訪へ着くと兵を温泉へとゆっくりとつからせ気が向くと小部隊を峠に物見代わりに出していた　武田軍団が深志攻略に向かったという情報はすぐに深志へともたらされたもちろん勘助が一早く流した情報である小笠原長時は早速迎撃の準備を始めたが諏訪から晴信達が動く気配が見られないさては北条が心配で動けないのだなならばこちらから諏訪へ攻め込もうではないか　もともと強力な指導者を持たない小笠原はどちらかというと腰砕けぎみであるが楽をして諏訪をもらえるならと欲が出てきたお館様小笠原が動きました諏訪に本陣を構えていた晴信に勘助が告げたよし後は時間の勝負ぞ　晴信は直ちに軍団を動かし塩嶺へと向かった塩嶺（えんれい）峠は現在の岡谷市と塩尻市の境にある標高千二百ｍほどの峠である国道二十号線で両市の間は三十分ほどで結ばれているが当時この峠は難所であり馬がようやく通れるかという程度の道であったこの峠と平行し他に勝弦（かっつる）峠もあるこれは現在のやまびこ広場と呼ばれる公園の先にある峠であるが小笠原にしろ晴信にしろどちらに主力を送りいかに峠を制覇するかでこの戦は決してしまう峠を押さえた方は逃げる敵を上から狙い撃ちにすれば良いのである　２２　晴信が今まで深志を攻略しなかったのは情報不足のためであったしかし今は勘助が的確な敵の情勢を把握してくれるので踏み切ったのであった勘助小笠原はどちらへ来るのだ　問われた勘助は一瞬躊躇したもし自分が嘘の報告をすれば武田はここで壊滅する勝弦が主力のように見せかけていますが間違いなく塩嶺でございます勘助は告げたよし武田も主力を塩嶺に結集し小笠原を破る勝弦はおとりだ　一言も疑うことなく自分を信じてくれた晴信に対して勘助は恥ずかしい思い感じたと同時に晴信のすばらしさを改めて実感したのである　小笠原との先陣争いは勘助の情報通りであった晴信はわずかに早く峠を占拠し兵を隠したそして一番乗りと到着した兵をあっというまに討ち果たしたのであるまさに情報が戦を制した瞬間であった　ころ北条は諏訪へ出て空になった甲斐を制圧するべく軍を準備していた忍びを放ち北条が攻め込むといううわさを流すと共に甲斐の情勢を探っただが晴信は甲斐にいるというのであるあの見事な塩嶺での戦は間違いなく晴信の采配でございます忍びの一人は報告しただが晴信が甲斐にいるというのも信憑性が高いのであるさては影武者かだがどちらが本物かわからない以上攻撃は不可能であるはっはっはうまくいったな　晴信は居室で静と遅れて戻った勘助に笑顔を見せた攻撃終了と同時に晴信は静と飛んだのである初めての実戦利用であった失敗すれば武田の将来はない月の位置で飛び始めの場所が変わるのを見つけたのは静の手柄じゃ　最初は満月の夜にしか飛べないと思っていたが月が諏訪湖の湖面に写る場所へ移動すればいつでも飛べるのではないかと静が晴信に進言したのであるそこで勘助に船を用意させ月の映る場所で静を抱きしめたのである場所は諏訪大社の本宮と秋宮を結ぶ線上にある　２３あの祭り以来私は神仏に魅入られてしまったようだ晴信様が天下を納めるのにもっとも適していると神仏が認めたのでございましょうだが私はあくまでも神仏の代理なのだよそれを忘れたらおしまいだな　勘助は二人の会話を見守るように聞いているお館様妙なうわさを耳にしました　勘助が思い出したように口をはさんだ悪いうわさかいえ最近御柱がたまに光るとのうわさにございますいつからだそれがどうもお館様と静様が飛んだ時のようでふーむ私が飛ぶ事と御柱が関係あるというのかようでございますよし武田の勢力下となった神社は全て諏訪大社としようそこに御柱を建ててみるのだ神社の社には奥の院を設けて余人が入ればたたりが起こると触れ回れ　晴信はつつじケ崎館の居室も敵の攻撃に備えて他の部屋に比べてことさら太い四本の柱で囲まれている事に気が付いた四本柱があればどこでも飛べるのやも知れぬな　晴信は自在に飛ぶ可能性をずっと探していたのでうれしそうであった深志にまずお作りなったらいかがでしょうか　勘助が二人の会話に入ったうむそれは私も考えていた浅間の近くに良い場所がございますよし勘助が手引き致せ神社を新しく作るのは土着の民がうるさい　晴信は静と勘助の扱いには充分注意したもしこの二人が死ぬようなことがあれば天下統一は大幅に後退してしまう晴信が戦略を考える場所はつつじケ崎の自分の居室である最近はこの部屋を飛翔の間と呼び思案の最中は誰も入れないのでここに二人を呼んで話しをするのが一番安全であった　晴信は一度居室に入ると何時間も出て来ない事が多いそして後必ず甲斐の国の将来を左右する決定がなされるのである　父信虎の時代に諏訪頼重の息女を人質にしたことがあったこの姫はまま側室として迎えたのであるが最近病に倒れてしまったそこで静をこの姫の身代わりとしたのである　２４湖静姫加減はどうじゃお館様このままでは静はどこへも出られませぬ　養女に来て以来諏訪湖で遊んで育った静にとってきれいな着物をまとったお屋敷生活は退屈ものであっただがここが一番安全じゃ外へ出る時は静に戻るがよいまさか二人が同一人物とは気が付かないじゃろうて　晴信は楽しそうに笑ったお館様深志の神社のめどがつきましてござります　勘助が報告したうむそれは良かったでどうじゃははっ民達は護国神社と呼んでおりますが武田で面倒を見ると言ったところこちらになびいてくれました諏訪大社ではないと思うがやぐらか何かに似せてさっそく柱を建てよ神殿の造作も忘れるなよ　造作とは晴信が飛んだ際の隠し部屋のことであるこうして晴信は深志へも拠点をくさびのように打ち込んだのである　晴信は飛ぶ事に自信を持ち始めていたが自慢の軍団が迅速に移動出来なくては効果も半減してしまう大軍を迅速に移動可能な道を早急に整備作る必要があるな　晴信は勘助に語りかけたはっしかし道を整える事は敵にとっても攻め易い条件を与える事になるゆえ両刃の剣でありまする　この時代ではしごく当たり前の思考であった当時どの国も国境の道は整備をわざと放置してあったせっかく整備しても道を使って他国から攻め入られてはなにもならないからであるだが我が武田軍団は風のように移動する　晴信は風林火山という言葉が好きであった中国の兵法孫氏の言葉であるが今の晴信にはもっともふさわしい言葉であるように思えたこれより武田は風林火山を旗印に諏訪大社の御加護を賜り天下を統一する　晴信は軍議の席で重臣一同を前にして宣言したここに武田は天下統一に向けて前進を始めるたのである　２５　信州伊那谷の駒ヶ根には早太郎伝説で有名な光前寺がある昔駿河の国に人を襲って食べるひひが出没し民百姓は難儀していたひひの怒りを鎮めるためには毎年若い娘を人身御供に差し出さなくてはならなかった光善寺の早太郎には気をつけなくては　差し出された一人の娘が隙を見て逃げ出しひひがつぶやくこの言葉を伝えたこのことを聞いた旅の行者は早太郎を探して全国を行脚した早太郎がよもや犬だと思わず探し出すのに時間がかかってしまったがようやく信州信濃の光前寺に早太郎がいることをつきとめたそして早太郎と一緒にひひを退治したという伝説であるあの寺は　晴信が勘助に話しかけた高遠よりも尾張に近いされどあれは寺であります御柱というわけにはまいりませぬ　晴信は既に天下を目指す事を念頭にすべての作戦を考えていた駒ヶ根を手中にし飯田から尾張そして京へ至るための緻密な作戦で頭の中は一杯であった　伊那には保科や知久などの豪族がおり晴信の勢力下にあるだがこれとて油断はならないそして一番の問題は越後の上杉謙信である謙信に信州の北からちょっかいを出されていては京を目指す事などはとうてい不可能であるへたをすると謙信の相手をしている間に晴信の命の炎が燃え尽きてしまうであろう謙信は自分の欲では動かない男であるそれだけにやっかいなのだ　甲斐が海を手に入れるには先の伊那谷を経由する道と駿河を経由する道の二種類が存在する謙信を押さえつつこの二本の道を確保しなくてはならないとにかく光前寺を押さえよう　しばらく晴信は思索にふけっていたがゆっくりと目を開けて決断した信州駒ヶ根は諏訪から十五里高遠からは五里ほどである三千メートルを誇る西駒ヶ岳を西に背負い赤石山脈を東に迎える伊那谷の中心部分にあるこの地方の豪族の勢力はそれほど強大ではない晴信はこの駒ヶ根光前寺を飛びの拠点に選んだのである　２６昼間でもなぜあの苔は光っているのですか　静が不思議そうに尋ねたのは光苔であったこの苔は蛍光物質を蓄えており岩の狭間で淡く光る和尚この寺に御柱を建てさせてくれんか　晴信は和尚に尋ねたはっはっ晴信様は面白事をおっしゃられるここは寺ですぞ諏訪神社ではござりませんだがどうしても建てたいのだいかに晴信様の御依頼でもそればかりは無理でございます　和尚が頑として首を縦に振らないのも当たり前である和尚この寺には何か面白い話しはないのか　晴信があっさり引き下がったので和尚も意外であったそうですな早太郎のお話しはいかがでしょうかそれはもう聞き飽きたわい　晴信がうんざりして答えたでも早太郎を連れに来た行者があっという間にひひの元に行き退治した事は知りますまい　和尚は得意になって話し始めた早太郎は行者が来るとまるでわかっていたような顔をしてわんわんと吠えて裏の山へ連れって行ったのじゃこれ和尚もったいつけずにはよう話せ　晴信は和尚をせかせたまあまあここから先は裏山での　和尚は晴信を連れて裏山に向かって歩き始める本堂を出て山の中を細い小道を通りしばらく登ると見晴らしの良い高台に出たほれ丁度このあたりじゃよ　高台からは寺の様子がよく見える晴信様ここからよくご覧ください　和尚が指差す方向を晴信は目を凝らして見たほれあそこに石があるじゃろう　和尚の指の先に庭石には不自然な場所に石があったほれそこにもここにもあるじゃろ　２７　石は全部で七つあったあの石の形はどこぞで見た事があるぞはっはっはっさすがに晴信様じゃお気付きになられたかそうだあれは北斗の星と同じだなわしにも誰があの石を置いたのかはわからんのじゃ早太郎は七つの柄杓の石の内四角になっているところをひょいひょいと飛び回り行者を柄の部分の先頭にいざなうと消えてしまったという話しじゃふーむ　晴信は腕を組んで考え始めた和尚の話しが伝説でも伝わっているとすると早太郎は飛べたことになるしかも一人いや一匹でそれを可能にしているのだ晴信は静と目を合わせたこの寺は飛ぶ場所の中でも特別な何かがある寺らしい早太郎はひひの前に忽然と姿を表すと行者と協力しひひを倒したのは晴信様も知っての通りでございます和尚よ御柱はあきらめるがあの四つ石の間に祠を作らせてはもらえないかの今は草むらでございますので別にかまいませぬがどうなさるおつもりで私も早太郎にあやかって武田軍を風のように動かしたいのだ祠には早太郎を祭りたいのだがかまわないだろうかそりゃあもう大歓迎でございます本堂もだいぶ痛んでいるようだのさっそく修理にかからせようありがたきしあわせにございます　和尚は晴信の信心深さを誉め称えた光前寺にしても武田が後ろ盾にあれば得られる物も大きい静よ　館では湖静姫と呼んでいるが外では静をやはりこう呼んでいたどうやらひょうたんから駒が出たらしい御柱は木でなくてもよいのでございますね　静が答えたここからならかなり遠くまで行けそうだ静も気がついたかあの柄杓の柄の部分のことでございましょうそうだあの柄は確かに諏訪の方角を向いておるそれにあの光る苔だが頻繁に誰かが飛んだ末光を吸い込んだのかもしれぬ祠が完成したら試してみよう　晴信は静にささやいた静は顔を赤らめている飛ぶには静は晴信に抱かれなくてはならないのだ　２８でも晴信様ここから飛んだ場合どこに行くのかはっきりしませぬしばらく私めに調べさせて下さりませ　勘助がようやく口を開いた寺でもいいのならあの善光寺はどうだろうかもしあそこに飛べれば謙信を自由自在に操れまする　静がぱっと輝いた顔で晴信の言葉に続けたそれは晴信が京を目指す大きな障害をひとつ乗り越えた事になるのだ晴信は上田攻略にあたり一度手酷い目に遭っている今は真田が押さえてくれているので安心だが今川・北条ともいつ一戦を構えるかは時間の問題であろうと推測している今の晴信にとって四方に敵がいる甲斐から京へ上洛する早道はこれら全ての敵に対して脅威となるのは間違いない　光前寺の祠の工事は急いで進められた祠自体は小さなものであるがすぐ近くに屋敷を新築し祠とは地下道で結ばれている完成すると晴信と静は屋敷より祠へと入り込んだここはなにか違う雰囲気を感じまする　静が不安そうに晴信に尋ねた確かに諏訪とは違うようだなでも安ずるな　晴信は不安そうに見上げる静をそっと抱き寄せた晴信様　静はなぜか瞳をうるませている晴信はそんな静をいつになく愛しいと思った晴信は静の唇にそっと接吻しつつじケ崎の自分の居間を強く念じた　二人の体が淡く発光を始めた光は徐々に強さを増し静と晴信を包みこんでいく祠からあふれんばかりの輝いた時二人の姿は空間に溶けこむように消えていた静　静は呼ばれる声で目を覚ました静もわかったかはい見えましたこ度ははっきりと諏訪の御柱が見えました私もだ諏訪の御柱が見えた時この館を念じたらすっと吸い込まれるようにここへこれたのです光前寺と諏訪は一対になっているのかもしれないな丁度馬の前足と後ろ足のように光前寺が向きを決める役割で諏訪が運ぶ役割なのでしょうか　静が首を傾げて答えたどっちにしてもこれで狙った場所に飛び易くなった事は確かだ　晴信は砥石城で手痛い目に遭った村上義清をようやく葛尾城から追い出す事に成功した義清は上杉謙信を頼って越後に逃れたのである　２９そろそろ謙信と手を合わせてみるか　館の居室で勘助と静に向かって晴信はつぶやいた村上はうまいこと追い出す事が出来た棒道もできた今川北条もしばらくは大丈夫であろう　時機到来と見た晴信は信濃の川中島へと兵を進めた晴信というのはどういう男なのだ　上杉謙信は不思議でならない四十里近い距離を何事も無かったようにあれだけの軍団を進めて来る　千曲川をはさんで武田と上杉はにらみあっていたこちらは二十里もない距離だが冬が来る前にはとうてい決着はつくまい　謙信は正義感が強い男であった村上義清や小笠原長時に頼られ信濃出兵を決意したのであるが小手調べの段階で武田軍の素早い動きに目を見張っていた今回はこれまでか謙信はなかなか用心深い奴のようだいずれは決着をつけなくてはなるまいな　二人はじりじりと間合いを計ったがお互いに隙を見つける事はできなかったそして秋にはそれぞれ兵を率いて本国へと帰ったのであるまずまずの成功じゃ　館にもどると晴信は二人に告げた謙信は利害では動かぬ男と見たそれだけにやっかいではあるが奴は千曲川の向こうに封じ込めておければそれで良い謙信はお館様の事を秀才と思っておるようですそして自分のことは天才であると　勘助が今まで調査した事を告げた静こなたは飯田の秋山殿と縁が深いそうだなはい私の祖父が秋山の出でございます秋山殿と常に連絡をとっておいてもらいたいお館様それではいよいよ京を目指すのですかそうだ謙信を釘付にし次は駿河だそして…　静と勘助には晴信の考えがおぼろげながらわかってきた　３０引け引け　謙信は采配を振った晴信は甲斐にいるのではないのか報告では確かな情報でありますだがあの見事なあしらい方はどうみても晴信のものじゃ　二度目の川中島出兵で謙信は決着をつけるつもりでったわざわざ晴信が甲斐に戻る情報を確信してから攻めたのであるあれは影のはずだがあの見事なまでの采配は晴信でなくてはできまい　謙信にはそれがわからなかった体調を崩した晴信は甲斐に戻りそれを隠すために影武者を使っていることは間違いないはずであったが現実は違っていた謙信めあせったであろうな晴信は愉快そうに笑った晴信は自分が病に冒されている事をわざと広めつつじケ崎の館へ戻ったのであるそして館の飛翔の間より善光寺へ飛んだのであるあそこの門は丁度良い具合に柱が立っている善光寺は中立を表明してはいるが武田の金をちらつかせると喜んで内応を約束した館より善光寺に飛んだ晴信は善光寺平を西へ迂回して海津へと入ったのである謙信の忍びはなかなか優秀だと聞いておるそれで隠せば隠すほど私が病だと信じるのだだからこそ川中島に居るのが影だと思い込んだのであるし奴に裏をかいたと思わせる事が出来たのだ晴信は淡々と話した今川義元殿桶狭間にて織田信長殿に討たれました勘助ははっ大儀であったもたらされた知らせに晴信は軽くうなずき山本勘助を慰労した今今川に京を目指されたのでは晴信にはとうてい間に合わなくなってしまう晴信は勘助に信長を助けるように命じていたのだ信長はわずか三千で三万とも言われる今川を破れる男だ今後信長は足元を固めるとすぐに京へ入るであろう信長の動きで諸国の色がはっきりするというものだ　晴信は信長を泳がせて自分の敵味方をはっきりさせるうつもりであった信長の激しい性格では急激な京への侵攻を目指す事ははっきりしているだがために周囲の猛烈な反抗を招く事は火を見るよりよりも明らかである義元は倒したもののまだ美濃の斎藤もいる浅井・朝倉だって黙ってはいまい　３１　信長と晴信の大きな違いは伸びられるだけ伸びてさらに飛び上がってでも獲物を狙う信長に対し狙った獲物の周りにまず柵を作り相手があきらめかけたところで捕獲に取り掛かる晴信の性格の違いにあるといっていい晴信は領国の治世には自信があった徹底的な恐怖政治穏健政治の両方とも信濃で実験済みであるそんな晴信の一番の悩みは時間であった京へ登るまで生きていられるであろうか晴信は自身に問うてみた神仏は私に空間を瞬時に飛び越える力をくれたこの力を私は最大限に活かして民百姓が安心して暮らせる平和な世を作るつもりだだが信長は二十七才私は四十才ここからは今までのようにのんびりとやっているわけにはいかぬ　晴信は決意を新たにし名前も信玄と変えた飛ぶための拠点として各地の神社を着々と勢力下に納めつつあったが光前寺の例もある寺もまた重要なポイントになりうるのだためには自身が法名を名乗っていた方がまことに都合が良いのである京都には比叡山延暦寺があるここは信玄の京への最重要拠点となるであろう　信玄は２万の軍勢を川中島へ進発させたいよいよ謙信が一万五千の兵を進めて来たのであるだが同盟を結んでいるとはいえ駿河の今川もどうなるのかしれたものではない信玄はつつじケ崎に残り弟信繁を大将として部隊を送り込んだのである信玄めなめおってからに信玄がつつじケ崎に残ったと聞き謙信は今度こそ武田の息の根を止めてやろうと決心したためにまず善光寺を占拠したのである善光寺ものは平地にあり戦略上はさほど重要なポイントでないことは明白であるしかし古来からの歴史を持つこの寺の動きは信濃の民衆に大きな影響力を持っているまさかお館様の秘密を知ったのでは？勘助は不安の色を浮かべて信玄に尋ねた心配はあるまいそれよりも勘助にはやってもらわなくてはならないことがある晴信はそういうと一枚の図面を取り出した勘助が覗くとそこには長持ちの図面が描かれていたこの図面は御柱で使われる長持ちを模して描かせたものだこれをどのようにお使いで？この長持ちを川中島に持ち込み古府中より飛ぼうと思う　勘助は信玄の言葉に驚いた　３２このような物で大丈夫でしょうかこの長持ちを本陣に持ち込み四本柱で支えておけば到着は多分大丈夫じゃ問題は飛ぶ時だがこれは長持ち歌を歌わせて四人に担がせればいけるだろう静様と御一緒ですか　信玄は微笑んだだけで答えなかったが長持ちを担ぐ時のあのぎちぎちという音は男女が愛しあう時にあちこちで擦れて発する音とも言われているので満更難しいことでもないのかもしれない　善光寺平を制圧した謙信は武田勢の挑発を始めた信玄は本陣にはいないようです忍びを使って信玄の周囲を注意深く探索したが網には信玄の所在は引っ掛かってこないよし霧を使って今度こそ信玄めを打ち倒そう謙信のいう霧とは川中島特有の幕霧のことである二つの川が合流するこの地区では温度差が発生し易くまるで幕を降ろしたような濃い霧が発生するときがある当然信玄も霧のことは考えているであろう　謙信は信玄というライバルとの戦を楽しんでいただが信玄は違う謙信をうまくあしらいながら上洛への時期を少しでも早めなくてはならない　上杉武田の両軍勢がにらみ合う中武田勢の中が急ににぎやかになりだしたはーああー　威勢の良い澄んだ声が周囲に響き渡るあれはなんだ　謙信は尋ねた信濃に行ったことのある者によるとあれは諏訪の御柱という祭りを模しているようです　武田軍勢の後方では華やかな行列が見られたどこから連れて来たのか着飾った女達が花笠をかぶり踊る姿や長持ちを連ねた行列が練り歩いている信玄めやりおるわい　綿密に情報収集を終えた謙信は夜半に全軍に進発を命令した信玄よ余裕が命取りになるのだ　３３　信玄と静はつつじケ崎の飛翔の間にいた謙信の忍びの探索は正確に信玄の所在を掴んでいたといえようそして連日側室の湖静姫を寵愛していると確信をもって謙信の元へもたらされていた静いよいよ謙信と決着をつけてやる今宵が勝負じゃ静はどこまでも一緒でござります　信玄の静を思う気持ちと静の信玄を慕う気持ちがお互いを高めあい燃え上がらせて行く信玄は天下統一を願い静を愛撫する二人の心が一つに溶け合いこの時代を導く灯台のようにそれぞれの体から淡い光を導き出す光はゆるやかに明滅を繰り返しながら着実に輝きを増しやがて二人の体を亜空間へといざなう　信玄は川中島の長持ちを強く念じた静を胸に強く抱きしめ光る河をさかのぼるあっあの童は　亜空間の中では声を発した事など一度も無かった静が思わず声をあげてしまったのは光り輝く河の上流から子供が一人流されて来たからである子供は気を失っているようであったが静が手を伸ばして受けとめて胸の中に抱きかかえることができた信玄は本能的に目的地である長持ちを知り河の岸辺と向かう　武田軍の騒ぎは夜中まで続き祭りの行列は陣中を練り歩き最後に信玄の本陣へと運びこまれるお館様ご無事ですか　勘助が声をかけたが返事が無い不安にかられ長持ちを急いで開けると驚くべきことに長持ちには三人の人間が入っていたお館様大丈夫ですか　勘助が声をかけると幸いにも信玄は目を覚ましたどうしたことですわしにもわからんが飛んでいる時にこの童とすれ違い次の瞬間ここに到着していたのだ勘助采配を持て　信玄は采配を手にすると全軍に向かって下知した今夜必ず謙信はこの霧の中を攻めて来る打ち合わせ通り謙信を取り込め　夜半過ぎより霧はさらに濃くなり兵達はお互いを縄で結び手探りで行動したおじちゃん謙信はね一直線におじちゃんの首を狙う作戦だよなぜ知っているのだだってテレビでそう言っていたもの　３４　時空の河の中で出会った少年はこの時代の童とは違う服を身に付け髪も結ってはいなかったが言葉は通じるようであったテレビとは何かと気になったがうむ気を付けよう　信玄は少年の言葉に素直に従い床机には影武者を座らせ自分は足軽の姿になって司令を飛ばしたお味方有利！　忍びの報告から謙信を着々と追い詰めていることがわかるが信玄は少年の言葉を無視する気にはなれなかった上杉を完全に追い詰めるではない　追い詰められて死に物狂いになることを信玄は恐れた濃い霧が晴れると戦況がはっきりしてきた信玄めやはり本陣にいたのか　詳細に調べた上で決戦を挑んだ謙信は神出鬼没の信玄が不思議でならなかったここも危のうござりますええいわかっておるわ　謙信は馬に跨ると後方に下がろうとする馬周りをふりほどき信玄の本陣を目指して戦場の中を突き進んだ信玄が本物かどうか今日こそこの目で確かめてくれる　武田軍は単騎本陣を目指す一人の騎馬武者がまさか謙信本人であるとは思わず本陣への接近を許してしまったなにやら騒がしいな　晴信が外の喧騒に気が付き見に行かせようと立ち上がった時であった信玄出会え　大音声と共に本陣の万幕が倒れ見事な栗毛の馬が前足を上げて信玄に襲いかかった信玄は少年の言葉を咄嗟に思い出し騎馬武者が謙信であることを悟ったそやつは謙信じゃ　間一髪で馬を避けた信玄は本陣を駆け抜けた謙信を睨みつけた信玄殿またあおう本物であったか　謙信は馬上でひとり呟くとなにやら可笑しくなってきた甲州と川中島を簡単に行き来する信玄がうらやましいわい　３５お主のおかげで命拾い致した　信玄は改めて少年を見つめた髪はざんばらであるものの決して見苦しくはなく衣服は機能的であった澄んだ瞳を見つめているとどうも他人とは思えない名前はあるのかひがしたにじゅんいちどこに住まいじゃおかや信濃の岡谷か父母はいるのかうんげんきだよそなたを父母の元に返してやりたいのはやまやまじゃが予にもやりかたはわからないのじゃ時がくればいずれできるやもしれぬがのうおじさんふうりんかざんのひとでしょうぼくしばらくいっしょでもいいよ　純一は光の河の中を通り抜けた時簡単に父と母の場所には戻れぬらしい事を悟っていたうむそうするがよい今日からは四郎と名乗れ武田四郎じゃ母はほれ湖静姫じゃぞうんありがとう四郎そなたのお印だが・・ほいくえんのぼくのまーくはこのとんぼだよ　四郎が指さしたのは靴下に貼り付けられているかわいらしいとんぼのアップリケであったそうかならばこれをそなたのお印にしよう四郎の持ち物には全て貼り付けるが良い信玄はそういうと指物師を呼びとんぼのアップリケを筆で書き留めさせた　大人なら到底すぐには納得出来る現象ではないだが子供の純一だからこそ自分の環境の変化に順応しようという本能が働いているらしい味方にも大きな損害を出したこの合戦であったが謙信に甲州軍の迅速さを見せつけた戦いでもあったこれで謙信もうかつに信濃に手を出すこともあるまいましてやこれから冬がやって来る信玄は海を目指す環境がようやく整ったことを感じ取っていた　３６四郎を呼べ　つつじケ崎館の飛翔の間には極限られた人間しか信玄は近づけなかった異次元空間で出会った少年は側室の湖静姫との間に生まれしばらく里に預けられていたという触れ込みで館に迎えられた本妻の三条の方との間に生まれた長男太郎義信は今はなく武田四郎が事実上の跡継ぎである十六才になった四郎は元服を迎え勝頼と名乗った勝頼どのがいた世界では天朝様を中心とした日本国という名前になり猛スピードで走る鉄の車や空飛ぶ船があるというのだったな信玄は勝頼から遠い未来の話しを聞くのが好きだった電話という遠くの者と話す機械もどこの家にもありました　信玄は勝頼の話しを聞くとそれを絵に書かせた元の世界では母が水戸黄門というテレビ番組が好きでよく見ておりましたそれから徳川吉宗という将軍様がでてくる時代劇も好きでした　水戸黄門は聞いたことがない名前であるが徳川と言えば今は織田と連合しているあの家康のことであろうか織田なくしては吹けば飛ぶような田舎大名としか思えないもし本当に徳川が勝ち抜くのであれば織田はどうなるのだ？この戦国の時代はそう遠くない将来に終わるらしいだが最後に残るのは武田ではない歴史を変えることはできるのでしょう勝頼どのがこの世界に来たことはどのような意味を持っているのだろうか徳川の世の中を実現させるために来たのであろうかそれともこの武田のためにきたのであろうか父上それは私にもわかりませぬけれどもこの国を少しでも早く戦の無い世の中できればよいではありませぬかためには武田が捨て石になろうとも悔いはありませぬまったく勝頼どののいう通りじゃそれが神仏の意にかなうのであれば私も本望じゃ　信玄は勝頼にそう答えてはみたものの武田家の行く末を考えると簡単に割り切ることはできなかった全力で京を目指すだけだ　信玄は一人つぶやくと次の戦の作戦を考えることに熱中して行った　３７　今川を難無く撃破した信玄はとうとう海を手に入れることに成功した信長は既に京への道を確保し頻繁に往来を繰り返している信玄はまず徳川を撃破しなくては信長と決戦を迎えることが出来ない義元亡き後息子の氏真の代になった今川は戦国を生き抜く体力は既になく調略だけで簡単に手に入れることができただが北条には少々てこづっている　信玄は京の延暦寺にさかんに密使を送り信長の野心に心から怒りを覚えていることを伝えたそして比叡山の中に武田寄進の塔を建てそこを信玄の飛ぶための拠点としたこの拠点が出来てからは信玄は自ら天台座主と会見し信長を少しでも足留めしてもらえるように説得を繰り返している遠い未来において天朝様の世の中がまだ続いているということは神を否定し仏をないがしろにしようとしている信長には天下は取れなかったということになる父上あけちのみっかてんかというのはどういうことでしょうか　勝頼が突然父に尋ねた元の世界の父がよくそんなことではあけちのみっかてんかだと言っておりましたあけちというのは織田の家中で京都支配の明智光秀どののことだと思うがあやつが短い間でも天下を取るのであろうか　信玄は勝頼との会話の内容を自分の作戦に反映した勝頼の歴史の知識は断片的であったがそれでもへたな占いよりはよっぽど確かであり作戦はことごとく成功を納めている越後の謙信には天下統一の野心はないらしく武田との小競合いを楽しんでいるだけのようにしか見えない　駿河の今川を手中に納めた信玄はあの手この手で北条に揺さぶりをかけ続けとうとう武田軍を小田原に向けて進発させた北条は室町からの名家でありプライドも高い実力は早雲の頃に比べればかなり落ちるものの領国からの動員数も並みではなく侵攻にはてこづった全軍引け！　信玄は珍しく撤退命令を発して甲斐へ全軍の引き上げを命じた北条軍はどこまでも執拗に後を追い回して来る北条軍の追撃に兵が疲れ果てた頃勝頼の率いる別働隊が北条の背後をついたのである勝頼どの良い間合いじゃ　３８　三増峠で再会した親子は峠より北条を見下ろし親しく会見したやはり北条は海辺の軍団だったな甲斐の山猿には勝てないわけだもう少し私が早ければ武田の損害をもっと減らせたように思われますいや北条に完全に勝てると思わせなければここまで軍を進めてはこないだろうおかげで叩きのめすことができたわけだ父上いよいよでございますね　信玄はこれでようやく織田信長に決戦を挑む準備が整ったのである四十九才の時であった　信長は天下統一を目前に控えて一向一揆に苦しめられている本願寺も比叡山も信長にとっては敵であるこれも全て信玄が仕組んだことであり信長もそれを承知しているだけに余計にはらわたが煮えくり返るのである光秀を呼べ上様いかがなされました比叡の山を完全に焼き尽くせ一人も活かしておいてはならぬそれはなりませぬ坊主を殺せば末代まで祟られますぞうるさいあの寺は諸悪ものである信玄はあの寺でなにやら術を使っておるのじゃためらうことはない　信長は自分の前に立ちふさがる武田信玄という巨大な壁の存在に恐怖にも似た感情を持っている最近では義元を桶狭間で討ったことでさえ信玄の掌の内で計算されていたのではあるまいかと感じている信長の恐怖は最初は信玄のご機嫌を伺う事で安堵され天下統一へ向けて走り続ける事で忘れる事が出来ただが自分が大事業を成し遂げた時うむ大儀であったと信玄にすべての栄光を横から奪われるのではないかという疑心へと変わりつつあった信長自身信玄に一度も逢ったことはないが考えるほどにそう思えてくるのである天朝を中心とする世の中では我が意のままに天下を統べる事は不可能である　信長が結論し征夷大将軍の職を固く辞退したのにはこのような経緯があったのである信玄を抹殺し自分が王になるしか道はないとの結論に至ったのも至極当然である光秀は主人の並々ならぬ決意を知っていても止めることはできない光秀にできることは比叡の中でも本当の優れた僧を助けだし武田に送ることだけであった　　信長が叡山を焼き払うことは意図的に流布されたがほとんどの僧達はようなことが可能とは到底思えず避難はしなかった光秀はかねてからの打ち合わせどうり天台座主を始めとする真の学僧集団を武田に落ち延びさせた全叡山に火の手が上がったのはそれからほどなくしてからであった　３９信長めとうとうやりおったわいこれで予が京へ出て行くことを天下が認めたのも同じことだ　そういうと信玄は高らかに笑った比叡山に徹底的に抵抗させれば信長は必ず比叡の山を攻めると踏んだ上での信玄の遠大な作戦が今まさに成功しつつあったそうなればこれまでも偉大な比叡山の後援者であった信玄の出現を京では今か今かと待ちわびることになる全ての天運は武田のためにある天朝様をお守りするために京へ出撃する　信玄は武田全軍を前にして采配を大きく振るった　甲斐より全軍を進発した信玄は自身も馬上の人となりゆっくりと信濃へと向い信濃の諏訪にある諏訪大社に先勝祈願をするために立ち寄った勝頼どのこれが予が飛べるようになったきっかけじゃ　信玄以外立ち入りを禁止されている諏訪大社の奥の院の例の箱を前にして勝頼に説明した勝頼が言われて覗きこむと細かな明かりが点滅しぶーんとかすかにうなっているのがわかる箱の蓋の内側は緩やかに湾曲し中心から細い棒が伸びているこれと同じような格好の物は元の世界の私の家にもありました父の話しでは人が作った宇宙を回っている星から電波を受信しテレビに絵を映すためのあんてなにそっくりです　信玄には勝頼の話しは半分も理解出来なかったがこの箱は自然の物ではなくて人工的に何者かが作ったことだけはわかったもうしばらくこいつに役にたってもらわなくてはなるまい　戦勝祈願を済ませた信玄は信州伊那谷を南下し駒場より三河へ進入するコースを選んだ自身は諏訪大社を本陣とし影武者を使いながら全軍の指揮を滞りなく進めている影武者がたびたび本物と入れ代わっていることがわかれば家康もびっくりするであろうよ　信玄は諏訪大社を基地として前線に飛びながら指揮している　４０　勝頼は軍団の中程に位置し現在は飯田付近を南下している秋山どのは元気か　勝頼は飯田の城下で気軽に声をかけ城へ入場した武田殿お初にお目にかかり光栄至極に存じ上げます　今はすっかり武田の陣営になじんだ当主秋山は勝頼に型通りの挨拶をした後はっと息を飲んだ信玄の側室が産んだ女子を正妻として娶った秋山であったが跡継ぎの頼幸とそっくりなのである頼幸は勝頼の甥にあたるので少しも不思議なことではないむしろ名誉なことであった　だがそれ以上に不思議に感じたのは勝頼である勝頼は信玄とまったく血のつながりがないことを知る人間は武田の中でも極わずかであるがここまで似ているとは驚きであった　だがそんなことは少しもおくびに出さず勝頼は飯田城を後にした次に信玄と合流するのは三河の三方が原である徳川家康を正面から攻撃すれば城攻めになってしまうが無視して浜松を通過すれば必ず出撃して来る戦国武将とはようなものであった領地を侵略されて黙っている領主に領民は誰も服従しない家康は必ず出て来る信玄には自信があり徳川軍をねこそぎ滅ぼすのにもっとも好都合な場所がこの三方が原である　武田軍団の先頭集団が城下を無視して進軍すると信玄は家康のふがいなさをさかんに宣伝し始めたこの武田軍には信玄はいないらしい徳川をあしらうにはいなくても充分じゃ徳川は領民を守ってはくれぬぞ今の内に武田にくだってはどうじゃ　巧妙な凋落の手が三河に延び一般の民百姓は徳川から離れ始めていただが家臣集団は違った家康の家臣は木訥としたいかにも田舎の侍であったが今まで攻めた国々と違ってなかなか乗ってこないもうがまんがならぬ　家康はついに出撃を決意したこのままでは闘わずして破れたも同然である家康は自慢の三河武士を引き連れとうとう三方が原へ向かったのであるここはわしの庭も同然信玄にはひけをとらぬ第一信玄自身はまだ諏訪におるというではないか　信玄は甲斐の精鋭三万家康は信長の援軍を含めても一万弱である　４１　浜松城を出た家康は国中に放った物見の報告より決戦場所を三方が原に選びそこに武田軍を封じ込める作戦を選んだ三方が原はやや窪地になっておりここに追い込めさえすればいかに武田といえども殲滅出来ると判断したのである決死の家康は巧みに自軍を展開し地の利を活かして武田軍をじりじりと後退させこの窪地へと追い込んで行く時も十二月甲斐よりはるばる遠征している兵士達は疲労も蓄積しさらに寒さも重なり三方が原へと自然に集結する格好になってしまった信玄め諏訪より采配はとれまい　家康は自分の諜報網には自信があった本陣にいるのは信玄の影武者であり信玄人は諏訪で療養しているらしいことも掴んでいた信玄はよほどあせっているらしい　影武者を使わなくてはならないほど持病の労咳が悪化していると家康は判断した武田軍は三方が原に押し込められくびれた部分に徳川軍がふたをする格好になったよしこれで我が軍の勝利じゃ信玄恐るるに足りずじゃ　家康は作戦通りに事が運んだ事に満足であった武田勝頼の隊が突然現れ我が軍の側面を突きましたなに　突然の報告に家康は驚いた三方が原のくびれに栓をして武田軍を閉じこめる事に成功したのにこのままでは栓が外れてしまうもしそうなれば徳川軍は全滅となるのは必死であったお館様お逃げなされ　本多忠勝はそういうと家康の兜を被るなり主君の乗っている馬の尻を蹴り上げた蹴飛ばされた馬は転がるように主君を乗せて浜松城の方角へ向かって走り出した我こそは徳川家康なり勝って手柄にせよわしの作戦は完璧であったはずだそれが裏をかかれた　家康は野戦には自信を持っていたがそれが完膚なきまでに打ち壊されたのだこんな作戦で対抗して来るのは信玄本人に違いないだがどうやって　どうやってこの決戦に間に合ったのかがわからない信玄は上洛戦にあたって自軍を三つに分けて美濃三河遠江に進入させて来ている指揮を悠々と諏訪に居ながらにして執っているはずであった余裕と奢りを粉砕するために出撃した家康であっただが本陣にいるのは影武者ではなく信玄本人であるのは疑うべくも無い事であった　４２お館様おめでとうござりまするうむだがまだ油断はならぬ次はいよいよ織田と遭遇するであろう時が本当の戦じゃ　信玄は勝頼をいましめたが織田を倒し京へ上る日が一歩一歩近づく事を実感せずにはいられなかった　三河に進入を果たした信玄はまず野田城を囲み信長の出方を待った八方に敵を抱える信長はやすやすと援軍を出せない事を承知の上での城攻めであったいくら待っても信長の援軍はこないぞぬしらは見捨てられたのじゃ　悠々と甲斐から金掘り人足を呼び集め城の地下の水脈を断ち切り井戸を次々と枯らしてゆく信玄の作戦に城兵は動揺し次々と逃走を始めた織田と言えどもたわいのないものよ　信玄は本陣に安置された長持ちの中に静と入りいつものように抱擁をかわした夕方から厚くなり始めた黒い雲がまたたくまに三方が原をすっぽりと覆いぽつりぽつりと降り始めた雨はあっという間に豪雨へと変わった時折雷の激しい音と鋭い光があたりを昼間のように照らし出している信玄は信長に焼かれた比叡山へ飛び京へ一足先に向かうつもりであった　長持ちの周囲では勘助がいつものように警戒を強めている雨足は一層強くなる徳川はこれで終わりだいよいよお館様は京に上られる　勘助はまだ晴信と名乗っていた頃の信玄との出会いを思い出していた良い方に出会えたものじゃ　長持ちの中では信玄と静の天下統一の抱擁が交わされているはずであったときどどどどーん　空気を震わせるほどの激音とともに一里四方を照らし出すほどの落雷が起こった勘助は咄嗟に長持ちをかばい信玄を助けようと刀を天に向けた天からの光の帯は勘助の刀に導かれ長持ちを避けるかに見えたが破壊力はすさまじく長持ちを支える四つの柱のうちの一本をなぎ倒した　バランスを崩した長持ちはかたかたと異常な振動を始めた時と信玄が飛ぶ瞬間が同時であったぴかっ　一瞬稲光のような閃光があたりを包み次の瞬間信玄と静は長持ちもろとも消えていた長持ちの消えた後には天に刀を振りかざし黒こげになった山本勘助が激しい雨の中に立ち尽くすのみであった　４３　勝頼は武田軍の奇襲部隊の大将として三河より尾張に向かいつつあった頭の中で何かが炸裂したような嫌な感じに全身が身震いした時本能的に父信玄に異変が起こった事を感じ取っていた信玄より発せられる司令がなくなった武田軍はただの集団に成り下がっていた勝頼様お館様はいかがなされました　問われても勝頼は明確な答えを出す事ができないそしてこの混乱を徳川軍が見逃すはずがなかったのである武田信玄を野田城において討ち取ったり　最初はうわさとしてだが武田の確たる反論が見られないとなると次第に派手に流されていったうわさは武田の兵も同時に惑わすことになったのである　信玄の行方は依然不明のままであるが勝頼は父の遺志をついでこのまま京に進撃を続けるつもりであっただが評定では勝頼の意見はあっけなく無視され武田全軍は撤退を開始するに至ったのである父上いづこに行かれたのじゃ　父と一緒であれば皆が誉め称えた勝頼の策も勝頼さまはまだ若いそれでは誰もついていかれぬ　と一蹴されてしまう父信玄の死は向こう三年間諸国に秘し勝頼の子が成人するのを待ち跡目を継がせる　これが唯一皆に納得された勝頼の意見であった　三ヶ月が経過しても信玄の行方は知れず諸国でも死は周知の事実となった最初は信玄一流の謀略かもしれぬと慎重であった信長も一早く行動を開始しているとうとう天が我に味方をしおったわい　信長は笑いが止まらなかった天下がとうとう自分の手の中に転がり込んで来るのだ勝頼は一刻も早く信玄の跡を継いで京へと向かうつもりであったが老臣達がそれを許さないだが周囲の諫言を無視する形で武田を裏切った長篠へ向けて出兵し織田の鉄砲の餌食になり武田の主力部隊は滅びてしまうのである　次の年勝頼は諏訪大社のあの箱を遺体の代わりに信玄の棺に納めたそしてこれを父の遺言である　と諏訪湖に沈めたのである父と母の秘密を知っているのは勝頼だけとなっているはずであったがあの箱がある限り安心はできないもしかすると勝頼も使えるのかもしれなかったが今までに一度も変化が起きた事はなく作戦に利用する事など考えもしなかったここに武田はようやく信玄の死を公式に認めたのであるだが天下は既に信長のものとして着々と固まりつつある　４４お館様こちらです　勝頼はもはや御方の声に答える元気もなくもくもくと山を上登ったかつては三万余もいたはずの武田軍のうち今勝頼に従っているのはわずかに百いや五十もいないかもしれないなんという惨めな最後だ俺は死に場所を求めているだけだ　せめて敵にだけは首を取らせたくない今頭にあるのはそれだけであったお館様とうとう敵に見つかりましたこちらへ向かって来ます我々が防いでいる内に早く　早く逃げろというのではもちろんない腹を切れと言っているのだ五才の時にこの時代に転移し三十六になった勝頼であるがおぼろげながらに覚えている本当の母の顔が脳裏を横切った縁あってこの時代に来たが我は役目を果たすことができたのであろうか　敵の姿がすぐ下に見えている御首頂戴　敵の武将の一人が勝頼に切りかかるこしゃくな　勝頼は刀を降り払い返す刀で切り倒したぎゃっ　勝頼にそんな力がまだ残っているとは思わなかった武将は坂を転げ落ちて行った　時最後まで付き添ってきた側近の一人が勝頼を突き飛ばした側近は勝頼の兜を取ると近くの長持ちの中に勝頼を押し込めた上にそっくと立ち我こそは武田四郎勝頼なりこの首取って手柄にせい　と大音声でわめきちらした声と同時にいたるところから敵が一斉に勝頼めがけて押し寄せ両手に刀を持ち仁王立ちとなった体を串刺しにした　時勝頼が入った長持ちからかすかに光が漏れ始めた最初は薄明るくそして光はまるで生き物のように長持ちを包みこむと目も眩むような閃光を残して消え去っていた父の信玄は静と一つになることによって自らが飛ぶ能力を身に付けていただが勝頼は違った自分には父のような能力はないと思い込んでいたが父を越える力時間跳躍を伴った移動できる力を持っていたのである正確には時間跳躍システムを起動させるキーなのであった　４５ははは俺にも父上のような力があったらしい　最初で最後の自分の能力を開放して爽快な気分のまま勝頼はシステムが完全に起動したことを知った自分がどこか遠いところへ転移する初めての感覚に己をゆだね意識を失ったのである勝頼が入った長持ちが飛んだ後側近の体を貫いた刀が四本の御柱のように天に向かってそびえたつのみであった　勝頼は幼いときに見たきりの光る河の流れに身を任せていたあのときは上流にさかのぼっていたような気がするが今は下流に流れているように思える四郎勝頼こっちよ　声がする方を見るとそこには母である湖静姫がいた私の名前は御鏡静奈あなたの本当のお母さんのお友達あなたの名前は純一だよきっと本当のお母さんやお父さんに会えるから　純一は時間の流れの中でどんどん若返るあなたのお母さんに私がそばにいながら悲しい思いをさせてしまったおわびにいいものをお土産につけとくね～　静奈はそういうと赤ん坊用のおくるみにメモとUSBメモリらしきものを挟み込んださあ今よええ～い亜空間にいるとホントに憑かれるのよね～ああお腹が減った～～　静奈はそう言うと手を伸ばして純一を抱き留めた純一は産まれて間もない赤ん坊に戻っていた　純一が失踪した年の御柱祭りはいつも以上に盛大に行われた地元諏訪で男の子が謎の失踪を遂げた事が御柱の神秘性を高めたのか例年以上に全国から人が集まりにぎやかであった　東谷夫婦は御柱を楽しむ気分にはとてもなれなかったが手掛かりがつかめるかもしれないと思い観光客をかき分けるようにして上社下社の山出しから里引き建て御柱までつぶさに見物した変わったことは何も起こらなかったね　涼子は撮影してきた御柱のビデオを見ながらつぶやくように健一に話しかけた残念だったね　健一もビデオをじっと見つめるあれ？ここ何か光ってる　４６　健一が指差した場所は下社の建て御柱のシーンである四本目の柱が建った瞬間会場から威勢の良い掛け声が聞こえてくる時四本柱の対角線の中心部分が一瞬だけ光ったのであるよく見ていないとビデオの調子が悪いのかと勘違いしてしまいそうな小さな発光であった　次の週健一は涼子と一緒に下社へき期待を込めて四本柱の真ん中に立ってみたが特に変わったところは発見できなかった相変わらず多数の観光客が境内を行きかい建ったばかりの柱のそばで記念撮影を楽しんでいた傍らで仁王立ちになって空を見上げている健一をいぶかしげに眺めているこの柱にはなにか秘密があるな　健一は確信したが純一がどこへいったのかは皆目見当がつかなかい　健一は純一がいなくなってから休みのたびに諏訪の各地の神社を訪れて由来を調べた諏訪大社が下社と上社の二つに別れている理由は男と女の神様であるというのが通説のであるが地元の人にもはっきりとしていないそもそも神社が諏訪湖をはさんで二つに別れているというのはおかしいと思わないか　健一は下社と上社の関係に解決の糸口を見出そうとしているようであるそうよね夫婦げんかして別居している神様なんて聞いたことがないわあっもしかして元は四つの神社があったんじゃないの？涼子が突然叫んだそうか今は上社に前宮と本宮下社に春宮と秋宮の関係で四つになっているけど昔別のところにあったのを前宮と春宮に移転したのかもしれないな健一が諏訪の地図を出してくる下社と上社を線で結んでこれを対角線にして正方形を作ると中心は？？？諏訪湖の上だねここはね信玄の棺が埋まっているといってこの間大学の教授が調査した所とは少し外れているけど　健一は古い文献を探し始めた太古の昔から神社は存在していたと考えられているが実際は時の権力者の意向で随分統廃合や新設がなされたようである　４７　二人は翌日地図上に示される正方形の残り二つの頂点の場所を訪れた一つ目は諏訪市と隣接する茅野市である茅野市は白樺湖をはじめとした有数の観光地であり夏は高原のすがすがしさを冬はスキーにと大変な賑わいをみせる地図で示される場所を探してみたが現在は工場の高い塀の中にあり近寄る事はできなかった　二つ目は岡谷市にある地図上に示される場所は諏訪湖を望む小高い丘の上にあり現在は小坂観音が祭られている諏訪湖の南の湊と呼ばれる地区からこの丘に向かって登ることができるやっぱりな　健一と涼子は顔を見合わせた小坂観音は信玄の側室だった女性を祭った神社でありテレビ番組で放映された影響で湖衣姫という名前の方が今は有名である御柱は四本一組でなにかの装置の一部分なんだ四本で一組となりさらに神社四つでひとつの巨大なシステムを構成しているんじゃないか中心に信玄の棺があるのね地図で見ると四つの神社で諏訪湖を支えているみたいまさか諏訪湖の底には巨大なパラボラアンテナが埋まっているんじゃないだろうなパラボラってなあにほら衛星放送用のおわんのようなアンテナがあるだろうあれだよそんなでっかいアンテナを何に使ったのかしらそりゃああのサイズならら銀河系の外とも通信できるんじないかなそれだけの技術があれば声だけじゃなくて物質が送れても不思議はないしね信玄の棺は見つからなかったんだよねそりゃそうだだって探した場所が少しずれててたんだよ昔の四つの神社を基準に考えなくてはだめなわけねこんな仮定はどうだい大昔遥か外宇宙と通信するために巨大なパラボラアンテナを作った人々がいた異星人？かもしれないし我々の先祖かもしれないアンテナは四本一組の巨大な柱で支えられそれぞれの柱からエネルギーを供給して動作していたけれどもある日大地震が起き倒壊してしまったアンテナは地面にめり込みやがて水が溜まり大きな湖ができましたそれが今の諏訪湖だとさすごい想像ねもし巨大な通信装置だったとして純一がいなくなったのとどういう関係があるのかしら　４８　健一と涼子はなかなか考えをまとめることができなかったそこで二人は休みを取って甲府にある武田信玄の資料館を見学に行った信玄についての詳しい歴史や様々な出来事の由来が細かく丁寧に説明されていた資料館の出口には売店が設置されていてけっこうな種類の信玄ゆかりのおみやげが所狭しと並んでいるへっへー買っちゃおっかな　涼子は獲物を見つけた猟犬のようにお土産に突進したそんなうれしそうな涼子の様子を久しぶりに見た健一もぶらぶらと店内を見学するねえねえこれなにこれは甲州印伝だよけっこう有名だよ　涼子が指さしたのは甲州印伝である鹿革に漆で模様を付けた甲州の特産品であるこの印伝にはとんぼ柄が多いとんぼは前進しかしないために勝虫として縁起が良いとされ採用されたようであるふーんそうなんだげっけけっこう高いね　値段の高さに涼子は驚いたようであるが印伝に何か引かれるものがあるらしく説明用パネルを熱心に読んでいるやがてあるパネルの前で涼子は釘付けになったねえねえ健一さんちょっとこれ見て涼子が指さしたのはとんぼ柄であるうんこのとんぼがどうしたねえこのとんぼ柄静奈が私のノートに落書きしていた柄にそっくりなの私柄がけっこう気にいっていたからほらシールにしてスマホにも貼っているし純一が保育園に入るときにお印として使ってるんだよね間違えるはずがないよ　どれどれと健一が顔を寄せてパネルを見たパネルには涼子のスマホシールと同じ柄が展示されており説明が入っている約500年前のものらしい湖衣姫（湖静姫と呼ばれたとの説もある）が好んで使った絵柄とも言われてるって湖静姫ってもしかして静奈のことじゃないかしらやっぱり純一は武田信玄の時代に飛んだんだしかも女神様が純一を守ってくれたるらしいおい良かったな無事だったんだうんうんそうだね純一良かった　甲州印伝の説明パネルの前でおいおいと泣いている夫婦は自分たちの仮説の裏付けを得て大きな自信を持つことができたのである　４９健一さんあなたのご先祖様は武田信玄なの？いや明治維新の時に名字が無い百姓だったのを信玄にあやかって武田と名乗ったと聞いているよそれほんとうなの？どうしてだい　涼子は真剣になっているもし信玄の末裔だったらあの棺と大きな関係があるはずでしょう私達の子供の純一だって信玄の血が流れているのよご先祖様は信長や家康の追求を逃れるためにわざと隠したのかもしれないじゃないそれで明治になってようやく本当の名字に戻したんじゃないかしらそれだったら涼子の本家秋山だって信玄ゆかりの名字だぞそんな話しは聞いたことがないわ公式記録にはないけど信玄の娘が飯田の秋山へ嫁いだらしいこのころの女性武将の娘ともなれば結婚は政略結婚しかなかったから飯田を武田の傘下に納めるために嫁がせたってちっともおかしくはない身分をわざわざ隠して嫁がせた事だってあるんだぞすると私達はそれぞれ先祖が信玄のゆかりということになるわねああ純一はかなり色濃く武田の遺伝子を受け継いだことになる　涼子は自分も信玄縁かもしれないと聞いてちょっと意外に思った純一はなにか重要な役割を果たしたのかなこんな大きな装置じゃ部品にしてはちょっと小さすぎるわねもしかしてキーじゃないかしら装置を始動するためのか？そうよきっとキーを使って初めてシステムが起動するようになっているのよあのビデオに写っていた光こそシステムがまだ生きている証拠だと思うわ信玄が風のように速く移動したというのは有名だろう風林火山ねきっとシステムを使ったんだよ物も送れるのかしら長距離なら信号程度が限度でも地球上なら人間が移動できたに違いないそれで信長が恐れるくらい信じられない速さで神出鬼没の行動ができたのね　５０影武者の伝説も有名だしね信玄はどういうわけかこの装置の秘密を握ったんだよ女神様が関わっている可能性はとっても高いと思うねパラボラ部分が壊れてしまったんだから作られた時程のハイパワーは望めないにしても数人を瞬間転移させる位の力は十分に残っていたってちっとも不思議じゃない　ただエネルギーを安定して供給するためには柱を時々交換する必要があったんだろうそれが御柱祭りというわけさ目標達成を目前にして信玄が死んだのはシステムの使い過ぎで人間としての寿命を著しく縮めたんじゃないかなでも純一のいなくなった日どんつくが来たでしょうあれは幻だったのかしらあの日に俺達は行列ものを自分の目で見て見て確認したわけじゃないんだシステムが音だけを出して波長に共鳴するキーとなる人間を探したのかもしれない　健一はゆっくりと話しを続けたどんつくの音を発生しキーの役割を果たすことができる人間を見つけるそして建て御柱の日通信システムが始動しキーはどこかへ伝送されるんだシステムのコントローラが信玄の棺である可能性が大きいねどうして純一が選ばれたのかなたまたま信玄血縁の俺と涼子が結婚した事で純一は潜在能力がさらに増幅されたんだろうもしかすると純一こそシステム起動に必要なマスターキーかもしれない最近の御柱の記録には光を見た記録は残ってないから信玄が死んでからはキーを発見する事ができなくて作動する事がなかったんだろうそれがこの間の御柱で偶然始動してしまったというわけね信玄が死んでからだってこの地方に血縁者の子供が出現した時代はいくらでもあったと思うよでも純一のようなマスターキーとなる子供はそうそう出現しなかったんだじゃあ三年後の次の御柱の時に純一は帰ってくるかもしれないじゃない　涼子は喜びを隠しきれずに純一に尋ねた今までの話しはすべて想像だけどそんなに見当外れじゃあないと思うんだだとすると何が問題なのよキーだよあっそうか純一がいなくなっちゃったからシステムを始動できないかもしれないんだだからね涼子　５１　健一は涼子の目をじっと見つめ唇を重ねた純一がいなくなってから涼子はあまり気になれず健一の誘いを拒絶しがちであったが一筋の希望が見えた今素直な気持ちで心も体も開放できそうな気分であったそうキーが必要なのよ私達二人の遺伝子を受けついだ子供が役割をきっと果たしてくれるわ　涼子は健一の求めに敏感に反応し高まっていく健一さんいっぱい頂戴　二人は同時に登りつめ一つに溶け合っていった　神に毎日祈りながら二人は御柱祭りを待ったなんの根拠もないけれど最終日に純一が帰って来ると信じていたにぎやかな祭りの最終日上社の境内に七年前と同じように四本の御柱が高々とそびえたった　深夜健一と涼子そして二才になった俊介は地図から割り出した神社の頂点を結ぶ対角線の中心にボートを浮かべていた本当にここでいいの？俺の計算を信じろM機関は世界最高性能のスーパーコンピュータを自由に使えるんだよ健一は自信たっぷりである七年間は長かったなええでも忙しくてあっという間に過ぎていったわありがとう　午前二時上社と下社を結ぶ線上でぼっーと淡い発光が見え始めたどんつくどんつくどんどん　微かだが地を這うような無気味な音がどこからともなく聞こえてくる計算通りだシステムが始動したらしい　健一は涼子の肩を抱き寄せかたづをのんでいるそれまでぐっすりと眠っていた二才になったばかりの俊介がむっくりと起き上がり空中の一点を凝視している俊介を取られるなよこいつはりっぱなマスターキーのようだ　５２　涼子は俊介をぎゅっと抱きしめ健一の肩に置いた手に力を込めた発光は徐々に強くなるそして健一達の乗っているボートの前方百メートルほどの空間がオーロラ状に輝きゆがんできた来るぞ　ゆがみから新しい生命が生まれるように光の玉がぽーっと現れた純一！　二人は叫んだそれまで空中で浮遊していた光の玉はしばらくさまよっていたがやがて健一達の乗ったボートに向かってゆっくりと移動を始めたボートの真上まで来た光球は静かに着地し徐々に発光が弱くなっていくやがて完全に発光が止まると光に包まれていた物体の正体が手品のように二人の前に現れたあっ　割れた光の卵の中から現れたのは五歳の男の子ではなく真綿にくるまれた一才にも満たない赤ん坊であった涼子が半泣きでようやく口を開いたこの子がきっと純一よ小さな時のまんまだわ純一は時間を跳躍しそして若返ったんだきっとタイムパラドックスに遭遇しないように女神様が純一をうまくリセットしてくれたんだ俊介ちゃんこの子はね小さいけれどあなたのお兄ちゃんなのよ　夫婦は赤ん坊を純一であり女神様である静奈が純一を安全に届けてくれたことを確信したなぜならば赤ん坊のおくるみにこう書かれたメモがはさんであったのだ純ちゃん返すの遅くなってごめんね～許してね～静奈?（はあと）　赤ん坊のおくるみはさらにUSBメモリらしきものが目立たないように挟まれていることに二人が気がつくまでにはまだしばらくの時間が必要であった隣の女神様３　御柱伝説　終わり隣の女神様４　～御鏡静奈と彗星伝説～　１＊プロローグ　１日の仕事を終えて東谷涼子（ひがしたにりょうこ）はようやく家にたどりついたM企画社員であり機関誌の発行や各種統計担当の涼子はぶらぶらと街を歩くのも取材であり立派な仕事だと普段からうそぶいている　M企画諏訪西部支所所長である夫の東谷健一（ひがしたにけんいち）はまだ帰っていないようである誰もいない家に最初に帰るのはなんとなく寂しいものであるマンションの重たいドアの鍵穴にみかけ倒しなだけで単純な構造の鍵を差し込むとガッチャンと騒々しい音を発てて開錠されドアが開いた　ただいま　無人の部屋に声を出すと声に反応して居間の照明が点灯した健一はこの手のハイテク商品が大好きで新製品が出るたびに購入して部屋に取り付けてしまう見掛けは立派なビルディングであり１階はM企画諏訪西部支所３階が社宅として東谷夫妻の住居である２階は一般に貸し出しているが築２０年を経過した建物はだいぶくたびれて見えるバブルの時の建築だからなあ　涼子には実感がないがこのビルディングはバブルの時に建築されたせいかなかなか豪華な仕様になっているらしい贅沢な材料が随所に使われており見えない部分もけっこうしっかりしているようである　涼子はリビングに入るとふーっと深呼吸をしテレビとタブレットの電源を入れる日頃の習慣でこの2つの動作は無意識に手が動いてしまうテレビはすぐに番組を写し出すがパソコンは電源を投入してから使えるようになるまでにはしばらく時間がかかる間にシャワーを浴びるために浴室へ入る私もいよいよ２１才か　シャワーを浴びながら自分の体をまじまじと見たまだまだ十代でも大丈夫だよね　仕事柄若い子の多い場所へ出入りする涼子は暗がりで年齢を聞かれると高校を卒業したばっかの１９才ですとつい実年齢よりも若く答えてしまう ２０歳になったばかりの頃は高校生ですと恥ずかしげもなく答えていたのだから恐れ入ってしまう　涼子は探偵物のアニメや推理小説の影響を受けて高校生の頃から探偵の真似事が大好きである友達から頼まれて解決した事件もいくつかある夫の健一とは国を揺るがす数々の事件を通して知り合い意気投合して結婚したのである＊フォーチュン　シャワーを浴びて寝室で着替えると涼子は大判のタブレットに向かう涼子はSNSにログインするためにアイコンを指でクリックするネットを見るだけならスマートフォンを使ってもいいが画面が小さくて見にくいときがあるそんなわけで家にいるときはタブレットを使うことが多い　タブレットは健一が買ってきた夫の健一は帝都大学主席卒業の秀才だ趣味にもしている情報系はお手のものでタブレットやパソコンなどの情報ツールは大得意であるそんな健一は大学卒業後は国家公務員キャリアとして財務省あたりに華々し就職する予定であったまあいろいろあって今はM企画長野県諏訪西部支所所長である所員は妻の涼子と御鏡静奈（みかがみしずな）の二人である御鏡静奈はふらふらと勝手な行動をすることが許されており通常業務は夫婦二人でこなしている　M企画は政府から依頼された統計業務を主な収入源とし健一の裁量でほかに探偵業務も行っている浮気調査が多いがパソコンの知識を買われて産業スパイの追跡調査依頼もある警察から極秘で頼まれて調査する事もあるこれでも健一は優秀なのである　健一が涼子専用にブラウザを設定してくれたので涼子のタブレットはすぐにネットワークに接続したネットワークへの接続はwifiから光ファイバ経由で行うwifiと光回線は光モデムと呼ばれるボックスを介して接続されているが通信が始まるとモデムの状態を示す色とりどりのインジケータランプが明滅し幻想的な雰囲気を醸し出す涼子はこのランプを見ているのが大好きである　涼子が主に利用するSNS＝ソーシャルネットワークサービスはフォーチュンという名前のサービスで国内でも最大手だ友人も多数フォーチュンを利用しているので連絡にはフォーチュンを使うと電話より確実で便利である　SNSにはメッセージと呼ばれるサービスが大抵使えるようになっているメッセージは自分のタブレットに打ち込んだ短い文書を手軽にやりとりできるサービスである確認すると既読マークがつくために読んでもらえたかどうかを確実にチェックでき利便性は高い今では必需品となっている機能の一つであるフォーチュンにログインするとようこそうさぎさんメッセージが届いています読みますか？とメッセージが到着している事を教えてくれた　さっそく表示を選ぶと次のような内容であった＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊うさぎさんへ元気？ちょっとしたお小遣い稼ぎをしませんか明日のＰＭ７：００に諏訪東部インターの喫茶室ボンで待っています来れなければメッセージを下さいねすみれより＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　うさぎというのはフォーチュン内における涼子のハンドルネームであるSNSに限ったことではないが海外のネットでは男女問わず本名で投稿することが多いしかし日本ではなぜかハンドルネームと呼ばれる匿名を使うことがほとんどである特に女性の場合本名を名乗るといたずらが増えるために日本ではハンドルを使うのが一般的になっている　そんなわけでSNSに参加している人は本名を名のるのはまれでありほとんどの人がハンドルをや使うために年齢性別に関係なく論議に参加できる涼子も以前論議に参加した時にてっきり自分と同年代の女性だと思っていた相手が中学生の男の子でびっくりしたことがある最近は文字だけでなくきれいなグラフィック表示のSNSも増えてきていて自分の分身のキャラクタを使うことができる分身をアバターという＃山城　みどり　すみれというのは涼子の友人で本名を山城みどり（やましろみどり）という中学高校と同じクラスで気の会った親友同士である別々の進路を選んでからは連絡が遠退いていた涼子が結婚する時に久しぶりに連絡を取り合いそれがきっかけでフォーチュンでの交流も再開した　みどりは独身で中堅商社に勤めるＯＬである涼子と違って内向的な性格のみどりは自分からは積極的に行動ができなかったところがSNSは家にいて相手に顔を知られることなく活動ができるのでみどりにとってはまさに天からの恵みだった　高校生になってSNSを揃って始めた涼子とみどりは最初は様子がわからずにお互いにメールのやりとりをするだけであったうちに秘密の交換日記感覚で先生の悪口から始まって好きな彼の事や思春期特有の悩みを相談しうようになった再開したメッセージであったが生活が安定し変わり映えのしない毎日ではすぐに書くことがなくなってしまった　このSNSには同じ話題で文字による会話を楽しむための会議室が用意されている生活関係から趣味領域まで様々な会議室がありルームと呼ばれており涼子も時折覗いていたうちにお互いが興味の持てるルームが見つかっり二人の間でやり取りされるメッセージは連絡用となった　涼子は主に若い子が集まるルームへ幅広く出入りし若者の動向を調査しているみどりはＯＬが集まるルームを中心に活躍しているみどりのほうが頻繁に書き込むものだからいつしかルームの中心的な役割を果たすようになりブランド物の個人輸入のルームでは代表に収まってしまった　SNSの世界は情報を提供する側とそれを読む専門に徹する側にいつしか別れてしまっている誰が何を書いてもいいしいつでも提供者になれるのであるが読む専門が圧倒的に多いのはいたしかたがないところである＃東谷健一　健一は夜遅くようやく帰宅したいやあまいった尾行してたらラブホテルに入っちゃうんだもんな今日はそんな素振りはなかったから慌てたよ大変だったわねご苦労さま　探偵業ではラブホテルに入る相手の尾行が一番嫌がられるいつ出て来るか見当がつかないし待っている場所にも困るためである　涼子もカップルを装って健一と一緒にラブホテルの張り込みをやったことがある最初のうちは恋人気分でお熱いカップルを演じていたが回数が増えると飽きてくるし尾行のたびにホテルに入っていたら経費がかかり過ぎてしまう仕方なく外で待つが夏は暑く冬は寒くできることならやりたくない仕事なのである今日ねみどりから連絡があったのよ明日会いたいんだって　涼子はやや疲れを見せている健一に話しかけたみどりって山城さんのことかい珍しいな最近はあまり会ってないようだったじゃないかフォーチュンでメッセージのやりとりは続けていたのよへえまめだねえ　何事も長続きしない健一は感心したそれがねお小遣いを稼がせてくれるらしいんだ　健一の反対を誘わないように涼子はわざと明るく切り出したおいしい話しには裏があるっていつも言っているのは涼子じゃないか探るような涼子の話し方ではあったが健一は何かの参考になるかもしれないから行ってもいいかなまあ涼子のすることには間違いがないと思うから面白いネタがあったら教えてくれよな＃喫茶ボンにて　ライフ　涼子が諏訪中央IC近くの喫茶店ボンに到着したのは約束の七時少し前であった店に入り席を探している時涼子ここよとみどりが手を振って教えてくれた一人だと思っていたのに女性の連れが一緒である久しぶりね元気だった？　涼子がみどりに会うのは半年ぶりであるうん丈夫だけが私の取り柄だもの涼子のほうこそ元気だった？おかげさまで私は大丈夫だよ　同伴の女性を見るとみどりと涼子の会話を熱心に聞いている涼子はこの女性が気になってみどりに尋ねたねえみどりそちらの方は？　言われてみどりは隣の女性と顔を見合わせたごめんごめん紹介するわ　女性はみどりに促されて立ち上がったこちら浅野和子さん今ねこの人と一緒に事業をやってるのはじめまして浅野です山城さんにはいつもお世話になっています今日は勉強のつもりで来ましたよろしくお願いします　和子は深々と頭を下げると名刺を差し出した名刺には元気生活応援　ライフトータルアドバイザー　浅野　和子と印刷されているそうだ私の名刺はまだだったわね　みどりは自分の名刺を和子のものと並べて置いたみどりの名刺には元気生活応援　ライフアドミンストレータ　山城　みどりとなっていたみどりあなた就職した会社はやめたの　涼子はおとなしかったみどりの変わり方にとまどっていたうんそうなのあの会社じゃいつまでたってもコピーとお茶くみですもの露骨に結婚退社を迫られたからやめてやったわ　みどりは少し胸をはって答えたそれでね退職金が少し出たからそれを元手に会社を興したの　涼子はみどりの話しに仰天した自分で会社を作ったなんて一言も言ってなかったじゃない会社といっても最初は一人だったのよ聞こえがいいからそう名乗っているだけで事務所だって自分のマンションで住居兼用で足りてるのよでもすごいじゃない　涼子は知らないうちにたくましくなったみどりに軽い嫉妬心を覚えた最初はフォーチュンでやってた個人輸入からはじめたのでも小物がほとんだったから繁雑でやりきれなくてね　みどりはコーヒーを一口飲んで話しを続けるそんなときSNSを使った新しい生活雑貨の共同購入システムを紹介されたのこのシステムは在庫を持たずにフォーチュンを利用して注文する新しいタイプなのよ調子はどう？始めて１年になるけれど結構もうかるってるよ　そう言われてみどりを見るとひところよりも見違えるように生き生きとしていたみどりが着ている薄緑色の落ち着いた中にも華やかさを併せ持つ高級ブランドであろうスーツも随分高いであろうことが服には興味がない涼子にもわかった涼子といえばぺらぺらでいかにも安物とわかる紺のパンツスーツであるこの浅野和子さんはフォーチュンで知り合って私達のシステムの優秀性を理解し参加してくれた一人よ　みどりは和子をちらっと見たみどりが和子をみる目つきは上司が部下を見るのと同じだと涼子は思った＃浅野　和子涼子私これから仕事で人に会う約束になってるんだ私から呼び出したのにごめんね細かい話しは和子さんから聞いてねあなたならきっと気に入ってくれると思うわ　みどりは話し終えると伝票を持って一人だけ立ち上がりライフはSNSを１２０％活かしたシステムよ始めれば涼子にも今以上のすばらしい人生が待ってるよ　と涼子に声をかけて颯爽とボンを出て行った後ろ姿にかつてのみどりの姿はどこにも見出せなかった　みどりが去った後涼子と和子の間には見知らぬ者同士特有の気まずさが残った和子はみどりほど洗練されてはいなかったが着ている花柄のワンピースは有名ブランドの上等のものであることはファッションにうとい涼子にもわかったあの　最初に口火を切ったのは和子であるうさぎさんですよね　涼子はいきなりハンドルで呼ばれてびっくりしたそうだけどそうかフォーチュンでみどりと知り合ったんだもんね　共通の話題が見つかって二人の間にはほっとした雰囲気が醸し出されたうさぎさんいえ涼子さんの発言にはいつもどきどきさせられていますありがとうあなたもしかして”かーこ”さんじゃない？　涼子が参加している会議室でたまに見かけるハンドルをあてずっぽうに言ったそうです私の発言も見てくれている人がいたんですね感激です　無邪気に喜んでいる和子に涼子は好感を持ちはじめていたところであなたがたの商売ってどんなシステムになっているの　涼子はさっそくに尋ねたそれではご説明させていただきます　和子は姿勢を正して改まるとセールストークに口調を変えてしゃべりだした扱っている商品をネットワークを使って多数の方に使っていただくのが基本方針です商品はここに載っています　和子が取り出したカタログには１００種類ほどの商品が写真付きで掲載されていたここにある商品は全て地球環境を考慮したすばらしいものばかりなんです　和子の説明に熱が入る例えばこの洗剤ですが　和子はバッグからサンプルを取り出し涼子に手渡したちょっと手のひらにつけてみてください　涼子は言われるままに少量を出したどうですか　和子は涼子の顔をのぞきこむ実際にはこれを５倍に薄めて使います原液がまるで乳液のようでしょう　言われて見ると市販の台所用洗剤とは確かに違う感じがする　これは顔につけても肌荒れする心配はまずありませんくらいですから手にかかる程度では全く不安はありません　和子の説明にうなずきながらも涼子はまゆにつばをつけたい心境であった　それでは私が試します　和子は洗剤を手のひらに取ると顔につけて塗りはじめた　涼子はあっと思ったが和子は真剣にコンパクトの鏡を見ながら顔をいじっているやがて和子の顔は化粧を落としたのと同じ状態になった　顔を触って下さい　促されて涼子が触ると和子の肌はつるつるでまるで十代の肌であった　これは化粧品ではなくて洗剤なんですよ洗剤であっても肌へはこの優しさです化粧品はもっとすごいんです私たちの扱う商品の優秀さはわかっていただいたと思います　涼子はだんだん和子に圧倒される自分を感じていた和子の口から掃き出される滑らかな口調に涼子は魅せられていた　この洗剤は一本１万円ですが２０倍に薄めて使いますから詰め替え一回あたりは５００円ですそんなには高くないでしょう　涼子は和子のペースに完全に乗せられていた和子の口から滑らかに発せられる説明に気持ちよく酔ったような気分であるでもねもっと安く買う方法があるんです　和子は続けるライフの会員になれば会員価格の９０００円で買えますどうするれば会員になれるんですか　涼子は質問した入会費としてフォーチュンを通じて私たちから１０万円以上の買い物をするか現金で２５０００円支払ってもらえば会員になれますそうすれば会員価格で購入する事ができます毎日使う物ですから会員になられた方がお得ですよ支払いはどうするの　涼子はやや押されぎみであるフォーチュンの決済送金システムが使えます品物を決めたら画面で番号を入力しておしまいです２～３日で商品が送られて来ますオンラインショッピングと同じですね　涼子はつい引き込まれてしまう　会員になったら別の人にライフの優秀な事を説明してぜひ仲間に誘って下さいあなたが勧誘した方はあなたから商品を買う事になりますつまり涼子さんはもっと安い値段で品物を買う事ができるようになるわけですたとえばこの洗剤はアドミンストレータになれば５０００円で購入できそれを売ればあなたには２０００円のバックマージンがライフ統合本部から支払われるわけです和子は続けるあなたのライフでの購入金額が一定の額に達すると涼子さんはまずリーダーになれますさっきの洗剤も８０００円で購入できるし昇格すると月に１０万円は黙っていても口座に振り込まれることになるわけですあなたはどうなの涼子は和子に遠慮なく尋ねるみどりさんの指導のおかげでライフに加入してまだ一年半なのにトータルアドバイザーまで登ることができましたみどりは上の方なのかな涼子は一番知りたい事をなにげなく尋ねたええ山城さんはアドミンストレータですそれってどのくらいすごいのライフの地方組織の中では最高レベルで月収は７０万円を軽く越えているはずです　涼子は絶句した自分は朝から晩まで小汚いかっこうで走り回っても１０万円にもならない月があるのにスマホをいじるだけでみどりは７０万円も稼いでいるのである会員になっていただけませんかこれが契約書です和子は一枚の紙を取り出し涼子に迫ったここにサインしていただければ全て完了です入会費はフォーチュンの利用料の支払いの口座から落とせますから手続きは簡単です和子は涼子が落とせると確信したらしく自分のペースで話しを進める　涼子が渡されたペンを握り契約書にサインしようとしたまさにとき涼子のハンドバッグのスマートフォンがポロロンとかわいい音をたてたはっと我に返り涼子はなんだろうとスマホのメッセージを確認するメッセージは健一からであったちょっと電話してくるね涼子は店の隅の通話コーナーに駆け込んだもしもし健一さん？商談中悪かったねおいしい話しなら俺も参加しようかと思って健一は能天気に答えたありがとうおかげで助かったわ　突然涼子から言われてなんの事だい？と尋ねたが健一にはわけがわからなかった　電話を切った涼子は和子の座っている席に近ずいた和子さんごめんね私急用ができちゃったのお話しの続きはまた今度お聞きするわすみませんお先に失礼します　涼子は和子に話す隙を与えないように素早く行動したそう残念だわ　つぶやく和子は本当に残念そうであった＃健一と涼子　涼子がボンを出たのは午後１０：５０分であったスマホにメッセージの着信時間が表示されていたので間違いないすると実に四時間近くもみどりと和子に翻弄されていた涼子であった急いで帰宅すると健一がビールを飲みながらのんびりとテレビを観ていた健一さん本当にありがとう　涼子は健一に抱きつきキスの雨を降らせたおいおいちょっと待てよわかるように説明してくれよ　涼子はボンから続く興奮がまだ収まっていないようであったが手短に健一にみどり和子とのやりとりを説明したふーんそれはマルチまがい商法じゃないのか　話しを聞き終わると健一は涼子に言った私も十分警戒はしていたんだけど洗剤を顔に塗ったあたりでめろめろになってしまったのSNSを使った新手の商売だな　健一は分析を続けた勧誘はSNSのメッセージを使って家に居ながら行いこれぞと思った相手は直接会って最後の駄目押しをする私はどうしてターゲットにされたの？将来はみどりのシステムの幹部にしようと思ったんじゃないかそれは光栄だわ涼子が引き込まれそうになるなんて和子さんもなかなかの商売上手じゃないか本当に話しが上手だったわそれに楽をしてもうかりそうな気がしてくるんですもの　涼子は健一と話しているうちに大分落ち着いてきたこんなに疲れたのは久しぶりだわさあ寝ましょ健一はぎくっとした涼子がこういう時は決まって激しく燃える時なのである本当に寝るんだぞ涼子を牽制しながら二人は寝室へと消えて行った＃小沢刑事　次の日昼近くまで眠っていた二人は突然のピンポーンというチャイムに起こされたおい涼子お前出ろよ　健一に言われてしぶしぶと涼子は玄関に向かったはいどなたですか　涼子はインターフォンに話した諏訪西部警察署ですちょっとここを開けてもらえませんかね　相手は若い男のようだったしばらくお待ち下さい　涼子は急いで寝室に戻ると健一を起こした健一さん警察が来たよお前なにやったんだ？　健一は茶化したが涼子は真剣だった冗談言ってる場合じゃないのよイヤーな雰囲気なの早く起きてよわかった　健一はいつもと違う涼子の様子に慌てて飛び起きた二人は急いで着替えると玄関のドアを開けたどうぞ何の御用ですかちょっと上がらせてもらっていいですかね　玄関ドアの隙間に刑事らしい若い男の靴先が差し込まれてドアが閉じられるのを邪魔しつつもう一人が玄関に入り込んだ涼子上がってもらいなさい　健一の声に応じて二人の刑事は涼子に招かれて応接間に入った小沢といいます　一人の刑事が代表して挨拶する山城みどりさんをご存じですね　小沢刑事はさっそく切り出してきたええ私の友人で昨日の夜会ったばかりです山城さんが昨日の夜殺されたんですえっ！　涼子はびっくりして声を上げた涼子の様子はもう一人の刑事が観察していたどこでですか　涼子は気を落ち着けて小沢に尋ねた自宅ですよ　冷静に小沢は答えた死因は調査中です　もう一人が付け加える涼子さんは昨日の夜山城みどりさんに会っていますね　小沢は話しを続けたええみどりから連絡が会って諏訪中央IC近くのボンという喫茶店で３０分ほど話しをしましたみどりはすぐに約束があるといって出ていきましたが一緒にきた浅野和子という人と１１時近くまで話しをしていました涼子は話し終わると健一の顔を見たなんの話しでしたか　小沢はさらに突っ込んで来る商売の誘いですライフという会に所属して生活雑貨の販売をやらないかという誘いでしたあなたはどうされましたかみどりが帰った後で浅野さんに随分迫られましたが断りました後どうしましたまっすぐ家に向かって着いたのが１１時過ぎです１１時半前でにはなってなかったと思います　小沢はいちいちうなずきながら手帳にメモしているそれでは今朝早朝３時頃はどこにいましたか私が犯人だと疑っているんですか　涼子は憤慨して叫んだいえこれは警察の決まり文句ですから　憤慨する涼子に健一が代わって答えた私と一緒にいました　健一が答えた何をしていたんですかそりゃあ時間は寝てるのが当たり前でしょうそれを誰か第三者が証明できますか　小沢はまるでふたりの隙を探す猟犬のように食い下がる寝てるのを証明できる人なんているんですかね　健一が小沢刑事に向かって静かにしゃべったここではなんですから署までご同行願いましょうか　小沢が腰を浮かしたそれは任意同行ってことですか　健一が小沢に尋ねるいえねお二人にお願いしてるだけですよ強制ってことはないですよ　小沢はまるで当たり前だと言わんばかりである逮捕状を取る事だってできるんですがね昨日の夜の殺人事件の逮捕状が証拠も無いのに今日取れるわけないじゃないですかはったりもいい加減にしてください　健一が興奮して叫ぶいやね通報者がたくさんいるんですよこちらの奥さんが犯人だと多数の人が通報してきていますこんなことは滅多にありませんよ　小沢は涼子のあきらめ顔からそろそろ連行の潮時と判断したようであるそれじゃ涼子さん支度をしてくださいご主人も参考人としてお願いできますかねわかりました着替えますからここでお待ち下さい　涼子は健一と一緒に席を立ち寝室へ着替えに入ったどうぞごゆっくり　マンションの三階では逃げる事もできないので小沢は余裕である＃逃走　涼子は寝室内にあるクローゼットに入ると着替えを始める間に健一は寝室のベッド下にある金庫の鍵穴に鍵を差し込み扉を開けると中に入っている道具を取り出す涼子にも渡すとそれらを身に付けた時間がないぞ急ごう　健一は寝室の窓を開けるとロープを下までたらす荷物を先に降ろすと涼子から降りろ早く　と涼子を先に行かせ続いて自分もロープを掴んだロープの下には車が止まっていたとき寝室ががたがたするのに小沢が気が付きドアを開けて中に入って来た畜生逃げたぞ下だ追え二人が逃げたことを知った小沢は慌てて部屋を出て下へ降りた涼子と健一は小沢さんばいばいという涼子の微笑みを残してゆうゆうと小沢の前から姿を消していた＃ラブホテル　ローヴ　小沢の前から姿を消した二人は松木市のラブホテルローヴにもぐりこんだ部屋に入り扉を閉めた後健一は涼子に向かって言った涼子お前は犯人と断定されたらしいな第一発見者をまず疑えとよくいうけど最後に会った人間も疑われるのかしら　涼子は不思議に思ったそれに昨日の夜死んだみどりの捜査を始めるにはちょっと早すぎるんじゃない日本の警察ってそんなに迅速だったかしら　一息ついてようやくいつもの冷静さを取り戻した涼子は探偵として頭が回転を始めたらしい私とみどりの接点はいいぞいいぞ　健一が合の手を入れる中学以来の同級生であることそしてSNS！そうだ　健一は荷物の中からタブレットを取り出し電源を入れると手早くフォーチュンへ接続した＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊あなた宛にメッセージが来ています読みますか　はいを選択すると最初のメッセージが読み出されて来たうさぎへすみれを殺したのはお前だあんないい人をなぜだ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊やっぱりな　健一がつぶやいた涼子がみどりを殺したという情報をばらまいた奴がいるんだひどい事をするわね誰かしらそいつがみどり殺しの犯人さ　涼子はメッセージの読み出しを続ける犯人はうさぎだまちがいない地獄へ落ちろうさぎも死ね警察はうさぎを逮捕した　途中からみどりは面倒くさくなって読むのを止めた最初に犯人がすみれをうさぎが殺したと犯人が書き込む後は放っておくだけで半信半疑の奴が警察に通報し嫌がらせのメッセージが山のように到着するというわけさSNSって恐いわねニュースでみどりの死亡が流されてみろもっと大変だぞ涼子テレビをつけてよ　健一に言われてテレビをつけると丁度ニュースの時間であった昨夜の女性経営者殺害事件の重要参考人のルポライター（女性２１才）が逃亡しましたこの女性は被害者の同級生で警察が行方を追っています私とうとう念願のルポライターになれたようねでもこれじゃ私のことだってすぐにわかっちゃうじゃないの　涼子は一人歩きする事件に恐怖を覚えたSNSを使えば無実の人間を犯罪者に仕立て上げるくらい造作のないことである＃活動開始私許せないわ　涼子は健一に向かって言った健一さん徹底的にやりましょう久しぶりでわくわくするわねじゃあお仕事スタート！！　健一はタブレットを操作し仕事用サイトに接続するＩＤ：suiseiＰＡＳＳＷＯＲＤ：PG＊＊＊＊＊＊＊健一は本部に承認要求を行う>M機関諏訪西部支所　活動開始承認要求>了解これでよし健一は涼子に向かっていったさあM機関として仕事を始めよう　健一は随分とあごに蓄えたしまったひげをそりシャワーを浴びたさっぱりすると１着のスーツを取り出す仕立てのいい上品なスーツを着用しネクタイを絞め髪を整えるとさっきまでの健一とは別人になった　涼子もスーツを取り出すと感触を楽しむようにして着替えた化粧をし普段は雑に結んでいる髪をふわっとさせるとばりばりのＯＬになったようであるサングラスをかけると健一でも涼子とは判別できない位の見事なばけっぷりである　二人はホテルのフロントに電話するとタクシーを呼んでもらい乗り込んだどちらまで？運転手の問に健一がメモを渡すとタクシーは勢いよく走り出した＃小沢刑事　まんまと二人に逃げられた小沢は諏訪西部署へただちに連絡し非常線を張った同時にマンションの家宅捜索を緊急に実施したそれらしい物は特に見つかりません　部下の報告を受けた小沢はふーむ　と考え込んでしまった珍しい金庫を見つけました見たことがない鍵がついています　小沢が見ると金庫はカギとパスワードを入力してようやく開くタイプで既に中は開いていたこんな厳重な金庫は本部でしか見た事がないぞ　小沢は首を傾げたがそれ以上調べても新たな発見はなかった　小沢は署へ帰るとテレビをつけた女性経営者殺害事件の重要参考人宅の家宅捜査では特に発見はなかった模様です逃亡した参考人の行方はさらに警察が追求中ですえっ　まだ署長にも正式な報告をしていないのにもうニュースに結果が流れている捜査した当の本人がきつねにつままれた心境になった署長どういうことです　小沢は署長室に駆け込んだ私もびっくりしているんだ誰かが情報をマスコミにリークしているんじゃないですか　小沢はかっかしている一番この事件に詳しいのは君だぞ　署長に言われて小沢ははっとした東谷夫婦は犯人にはめられたのか小沢君この事件は情報社会の弱点をついた新しいタイプの犯罪のようだ　署長が思案顔で小沢に言うこの事件がテレビで放映された直後から犯人は東谷涼子だと匿名の電話がじゃんじゃんかかってきた犯行直後にこれだけの情報提供がある事件も珍しいことですそれで東谷涼子の身柄確保のためにとにかく動き出しましたが今考えると動きが速すぎました　小沢に言われて署長も首を傾げたそうだなでも捜査を混乱させるための偽情報の提供としては数が多すぎます小沢君この事件では本庁が動き出した　小沢はちょっと驚いたようであった彗星伝説ですか　小沢はあこがれの彗星伝説に会えるかもしれないと内心期待に胸を膨らませていたとにかく東谷夫婦の身柄を押さえる事が先決だはいわかっています　署長に言われて返事はしたものの二人の行方は依然不明のままである小沢は今後の捜査方針を考えながら署長室を出た＃彗星伝説　小沢と入れ代わりに若いカップルらしい二人が署長室に入って来た二人の顔をちらっと見た小沢はどこかで見た事があるなと思いながら事件が気掛かりで思い出せなかった二人は部屋に入ると上着のポケットから手帳を取り出し署長に示したそこに現れたのはM機関員を示すエンブレムであった署長殿M機関勅令が発令されました　若い女性からいきなりそう告げられ署長は狼狽した女性経営者殺害事件解決が最終目的ですはっ　署長はいすから驚いて立ち上がり二人に敬礼した　数年前帝都大学在学中に司法試験に満点合格した男がいた加えてこの男は国家公務員上級職試験いわゆるキャリア試験にも満点の成績をたたき出したしかしなぜか官庁からの採用をことごとく拒否され失意のどん底に落ちてしまうしかし女神様をサポートする適性を認められて内閣総理大臣特務M機関員になったのであるM機関員は日本が発行している全ての資格や階級の最上位者とされ日本国内のあらゆる組織はM機関員の要請に応えることが義務づけられていると同時に司法の守備範囲をはるかに越えて動く権限を与えられている　警察組織も例外ではない警察に採用され警察学校に入学すると最初に教えられることがあるM機関からの命令や要請は全て最優先で行うこと　　二人は既にいくつかの国家レベルの事件を解決した実績がある難事件が発生した時に現れて見事に解決する二人を関係者は密かに彗星伝説と呼んでいた　署長は初めてのM機関からの要請に戸惑いつつも担当刑事を紹介します　とようやく正気に戻り小沢を呼んだ小沢は今署長室を出たばかりなのに　とぶつぶついいながら部屋に入って来た小沢君M機関のお二人だ彗星伝説は知っているな　健一と涼子はスーツのポケットからM機関手帳と拳銃をを出し小沢の前に並べた手帳にはM機関員証がさんぜんと輝いている拳銃も小沢がこれまでに見たことがないタイプである二人がマンションで金庫から取り出したのはこれらの道具であるあこがれの彗星伝説の二人を紹介された小沢は改めて二人の顔を見て腰が抜けないばかりに驚いた二人は東谷健一と涼子だったのであるお二人が彗星伝説だったのでありますか　小沢は放心状態で尋ねたいや一人足りませんけどね健一が答えた彗星伝説は3人なのでありますかまあ今は実質二人ですなぜか歯切れが悪いように聞こえたいずれにしても今までのご無礼をお許し下さい小沢刑事の洞察力と熱心さには脱帽しました　健一が小沢をなぐさめたこの事件にはSNSが深く関係しています今後のSNS犯罪の撲滅のために全力を投入するつもりです　涼子がすましてアピールしている健一はソファに腰を降ろした署長さんはお忙しいと思いますからこの辺で結構です今後この小沢刑事は私達の直属で動いてもらいますがよろしいですねいくらでもこき使って下さいでは失礼します　署長はあわてて退室した＃逮捕さて社交辞令はこれくらいにしておきましょう小沢さん楽にして下さい　健一が砕けた調子で小沢に話し掛けるまず私達二人が逮捕されたと言う情報をリークしたいと思います　いきなり事件の話しを始める健一に小沢は驚いたリークといいますとこちらから犯人を揺さぶって見ましょうよ　涼子が説明したもうすでにお気づきだと思いますがこの犯罪にはSNSが大きな役割を果たしています　涼子はそういうとスマホをフォーチュンに接続したそして昨日ホテルで確認したようにメッセージを読み出して小沢に見せた＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊うさぎへ警察からは逃れる事はできない早く自首せよ殺人犯は死刑だ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊メッセージがいっそう増えているだんだん過激になっているここがネタの出所だったのか小沢は自分では想像もつかなかった情報交換の場所を知り唖然とした発信の場所でもあるのよ涼子はそういうとニュースを会議室へ書き込み始めた＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊題：速報犯人逮捕か？！内容：殺人犯のうさぎは今日の夕方潜伏先のホテルで逮捕の予定ですこれは筋から入手の最新情報ですすごいでしょう（スパイＡ）題：速報２潜伏先内容：うさぎの潜伏先のホテルは新宿のラブホテルＲＯＶＥですどこだかわかる人はこっそり行ったらどうかな（スパイＡ）＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊これで良しと　涼子はフォーチュンからログアウトすると小沢に言ったさて潜伏先のホテルへ出かけましょう　小沢は目を丸くしているそこで実際に私達二人を逮捕して欲しいのよ犯人も安心するしフォーチュンの情報が正確なことがわかればこれからも様々なネタを提供してくれるでしょそうすれば犯人と接触できる可能性が増えるわ　涼子の説明に小沢はさすがに彗星伝説と感心してしまった私達はお先にホテルで待ってますから逮捕して連行して下さい警察内部にもフォーチュンの利用者はいるでしょうから手品のネタがばれないように注意してね突入は３時間後にしてください今１３００ですから１６００としますもうしばらくすると本当に突入するのかどうかの確認がおそらくマスコミから入りますから否定して下さいほうが本当らしいでしょう健一が付け加えた小沢は涼子と健一の言葉に従いすぐに捕り物の準備にかかった　小沢はラブホテルローヴに電話すると刑事を二人裏口から入れて欲しいと依頼した涼子と健一はタクシーでローヴの裏口から中に入り込み自分達がキープしておいた部屋に入るどうして３時間後なの？　涼子が健一に聞くそりゃあこれから忙しくなるからゆっくり休んでおこうと思ってね　健一はそういうと涼子の肩に手を回した　二人がシャワーを浴びて部屋に戻ると小沢から連絡が入ったお二人の予想通りマスコミから連絡が入りましたホテル周辺は逮捕劇を一目見ようとするやじうまで混雑していますそうですかやじうまをしっかり記録に残して下さい犯人がいる確率が高いです　健一の言葉に小沢はうなずいたでは打ち合わせ通りにお願いします　涼子と健一はちょっとよれた服に着替え髪をぼさぼさにしたいかにも逃走に疲れた犯人の風体である　小沢達の乗った覆面パトカーは人ごみをかき分けながらローヴに到着した小沢も舞台の上の役者のような気分である部下を指示し午後四時きっかりにローヴへ突入した　小沢は部屋に入ると殺人容疑で逮捕します　と逮捕状を見せて二人に手錠をかけた刑事数人に取り囲まれてローヴを出ると外はテレビカメラの砲列とやじうまの群れで大変な混雑である群集に囲まれて二人の乗ったパトカーは署に向かって走り去った　署に着くと二人は別々の取り調べ室に入れられた事情を知らない刑事が二人を一通り調べた後本庁へ護送するためという名目をつけて極秘のうちにパトカーに乗せられたそして某所で涼子と健一は丁重に降ろされ二人は署に戻って来たのであるご苦労様でした　小沢が二人の労をねぎらった小沢さん鮮やかな手さばきだったわね　涼子が小沢を誉めるいや伝説の二人に誉められるとは光栄です　照れて小沢は頭を掻いているさてフォーチュンで動きを調べて見ましょう　健一がタブレットを操りメールを探したやはりうさぎへのメールはもう増えていませんねネタを仕込んでからマスコミが動き出すまでの時間はわずかに三分だよ　健一が報告するこの間に書き込まれたのは二五通ですすごい数だねえ　涼子もびっくりしているこれでSNSを利用して犯人をでっち上げる方法はわかったわね　涼子が小沢に向かっていった面目ありませんいままではたれこみは有力な手掛かりだったんですがたれこみを情報操作されちゃあどうしょうもありませんや　小沢は本当に困ったようである　三人がメッセージを読んでいる間にもうさぎ逮捕を目撃した興奮の様子が次々と書き込まれてくるこうなると新聞よりも早い情報伝達手段である小沢は感心して画面を観ていたまだ犯人の目星はたっていないのよでもフォーチュンの利用者であることは間違いないわ涼子が断定したそしてみどりの知り合いだろうね健一が補足する小沢さんこの二枚の名刺のライフについてくわしく調べてくれないかな涼子が小沢に渡した名刺はみどりと和子にもらったものであるどうもマルチらしいんですよただSNSを利用しているんで実態がわからないんです健一が小沢に説明したみどりがいなくなって一番得するやつが殺したんでしょうね涼子がつぶやいた　涼子と健一は逮捕されて？しまったのでマンションに戻る事はできない仕方がないので桜田門ご用達の部屋へしばらくやっかいになることにしたここは二人部屋で囲いはないがトイレだけはあるつまり留置場であるいくらなんでもここだけは嫌だったな　涼子は嘆くが小沢の配慮でお客さんがいない階に入れてもらったので気兼ねはないまあここを出たければ早くいい知恵を出して事件を解決する事だな　健一に言われて涼子は今までの事件の流れをもう一度頭の中で反復していた＃みどりのマンション　次の日小沢と涼子健一はみどりのマンションへ向かった今のマンションに移ってからは一度も涼子は訪れていない発見当時のままで現場を維持しています第一発見者からの通報で最初に踏み込んだのが私ですから点はラッキーでした小沢がちょっと自慢げに言うそれでみどりの死因ははっきりしたのそれがどうにもはっきりしないんです直接の死因は心筋梗塞なんですが突然死なのか薬物によるものなのかまだわかっていません薬だとすれば普通には入手できないやつでしょうね小沢は痛いところをつかれて困っている死亡推定時刻は何時ですか午前一時から三時くらいですうーんネットワークからでは人は殺せないからこの時刻に誰か来たんでしょうね涼子が続けたみどりのスマートフォンは見つかったの？押収して署で保管していますパスワードが分からなくてアクセスはできていません　小沢の持っていたかぎで部屋に入った一番手前の部屋を事務所にみどりはしていたがここで殺されている奥の住居と事務所は別に鍵がつけられていたが事件当日は施錠されていなかった居間のテーブルの上には水割りのグラスがひとつあったここから想像するにみどりは帰ってから居間でグラス片手にのんびりしながらスマホでルームに入って会話に参加していたんだろうねそこに来客があったのかな涼子が言ったそれで毒を盛られたんですかねいや自分の家ならともかく人の家でそこの主人に一服盛るのは至難のわざだよコップ一つにしてもちょっとした違いはわかるからね健一が小沢に言った残るはみどりさんのくせを利用した方法か健一が涼子に尋ねたみどりさんははつめをかむようなくせはなかったのかい？みどりの爪はきれいにマニキュアが全部塗ってあるのよそうか残念だなあ健一はまた考え始めた＃第一発見者浅野和子さんから事情は聞いたの？涼子は小沢に聞くええ事情は聞きました彼女が第一発見者ですからそうだったんですね小沢さん涼子は小沢に微笑みかけた彼女が第一発見者だったとは気がつかなかったよ　健一も唖然としているはい涼子さんあなたと別れてから彼女はここへ来てみどりさんに業務報告をしてから一二時には家に着いていますタクシーの運転手から裏を取りました小沢の報告を聞いて涼子はびっくりしたどうして私の逮捕状を取ったりしたのよ第一発見者を疑うことは誰だって知っている事よそれを私を追いましたりしててんで見当違いのことをやってるんだからでも彼女には完璧なアリバイがあるんです　攻められて小沢はあせっている浅野和子さんは犯行のあった日は一二時に帰宅しまま自宅でSNSをやっていました　涼子と健一は身を乗り出した状況からの死亡推定時刻の午前１時１５分頃浅野和子は山城みどりを含む一人の仲間とグループトークっていうんですかグループで通信をしていましたこれはときの仲間の証言を得てあります小沢がさらに続けるチャットの途中でみどりさんが急におかしくなったのを仲間の一人が気が付きましたそれで浅野和子の家に電話を入れて仲間が車で浅野和子を家に迎えに行きみどりさんの死亡を確認したのです小沢の説明を聞いて二人はまたわからなくなってしまった一人の証人じゃちょっとごまかせないなあ共犯を考えたんだけど涼子は行き詰まっているようだ＃再びボンさていい案も浮かばないようですから帰りますか　小沢に促されて二人はみどりのマンションを出たボンに行ってみましょうよ　涼子が二人を誘ったあそこのパフェを食べればいい案が浮かぶかもしれないわ　ボンに入ると涼子は迷わずにチョコパフェ三つ大盛りでね　涼子は即座に注文したが男二人は困惑顔であるみどりのやっていたマルチ商法のライフの組織の詳細はわかっているのかしら　涼子は小沢に尋ねる山城みどりは５００人余りの頂点に立ちアドミンストレータと呼ばれていますえっそれってすごくないですか　想像以上の規模に涼子が驚いて尋ねるこの下にトータルアドバイザーと呼ばれる三人が１６０～１７０人づつ受け持ちます浅野和子河本美奈竹中洋子の三人ですなかなか大がかりな組織なんですね驚きました　健一もびっくりしたようであるさらにこの下にアドバイザーが５０人ずつ受け持ち下に最小グループが１０人単位で構成されていますこの最小グループの責任者はリーダーと言います　小沢の説明に涼子は和子から勧誘を受けた時のことを思い出し自分が考えていた以上の規模であることを理解した和子さんはもっと下の方だと思っていたんだけどなかなか切れ者なんですね　涼子がいうマルチ商法は法律で禁止されていますがライフ商品も動くしお金だけ動くのではないのでまあ灰色と言うところですね　健一が口をはさんだチョコパフェで頭の中まで甘くなってしまったようであるみどりが死んだ場合　涼子はチョコパフェの底に残っている最後の一杯を器用にすくいライフの頂点にはみどりの後に誰が立つのかしら　口に流し込みながら涼子が聞いたライフの上にもまだ上部組織がありますからね３人のうちで誰かが引き継ぐんでしょうね　小沢も後継者についてまでは把握していなかったすると３人の誰もが動機があるわけだ　健一が言っただが現時点では決め手がないことも事実である　３人はボンを出ると重い足取りで署へ戻った手掛かりなしか　刑事にとって進展しない捜査ほどイライラするものはない健一はフォーチュンへタブレットを接続してみどりのよく出没していたグループトークへ入り込んだそうかそうだったのか　画面に流れる文字を見ながら涼子ちょっと　健一は涼子を呼んだこれちょっと見ていてくれ言われて涼子は画面を見ているうちにあっと声をあげたフォーチュンの中のライフのグループトークね会員登録してないのによく入れたわね涼子は感心したなあにこういうことは得意だからね＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊たこ>半日で一人落としたわすめら>すごいわね私は収穫ゼロよたま>すみれさんが亡くなってどうなるのかしらしゅり>オブサーバ３人の誰かが引き継ぐのかしらたま>会の規則では３人がこれから競うのよまだしばらく先の話しねすめら>じゃあすぐに後継者は決まらないんだ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊跡継ぎが決まっているわけじゃないんだね健一が言ったもし現時点で一番の会員数を誇る人がなるんだったら犯人に近づけるんだけどな涼子も残念そうである＃３人のトータルアドバイザー浅野和子河本美奈竹中洋子の３人は和子のマンションに集まってアドバイザー会議に向けてライフの今後の決定をしようと議論の真っ最中であるみどりさんがなくなってもお客さんがいるんだからライフをなくすわけにはいかないわよね美奈が発言した上部団体のムーンにはアドミニストレータが空席になったことは連絡してあるわ和子が落ちついて発言したしばらくはライフはこの３人がトップで運営していくことでいいわね洋子がいうムーンの規則で５００人の会員を手中にしないとアドミンストレータにはなれないのだから仕方がないわねそれとも３人の名簿を公表して一つにするのがいいかしら　二人を挑発するように美奈が言うここまで苦労してきたんですものそれはできないわ　洋子は否定的であるそうねここまで登るのには大変だったわねそれじゃあこうしたらどうかしら　和子が提案の許可を求めるなにか和子さんに名案があるようよ美奈は攻撃的である最初にもう１５０人集めた人がみどりさんの跡をついでライフの後継者になるのはどうかしら１５０人集めるのは結構大変よ　洋子がいうでもこれから１年あればできるわよねどうせ皆さんだって隠し玉は持っているんでしょ　和子の一言で二人は黙った隠し玉とはライフに公表していない会員のことで規定人数が集まるとアドバイザーを増やして自分のグループの勢力を一気に拡大することができる人数が集まる前に公表してしまうと警戒されるのでトータルアドバイザーにとっては最大の秘密事項であるそうねそれが一番公平でしょうね洋子は納得したらしい美奈さんも異論はないわよね和子が牽制したそれではムーンにはように報告しておきましょう　ライフは会社組織の形はしているが普通の会社とはかなり違う運営方式である今まではみどりが社長で和子美奈洋子の３人が取締役であったが３人とも決まった時間に出社して仕事をしているわけではないそれぞれが自分のグループの人数をいかに増やすかに熱中し競いあう　獲得した会員の中には単なる末端の購入者で終わってしまうものもいるが中には一攫千金を目指してあらたなる会員を集めることに熱意を示す人間が出てくるこの種の人間をうまく見つけだしあおり自分の勢力拡大に協力させることができるかがトータルアドバイザーの腕の見せ所だった　一番の才能を持った人間は今までは山城みどりであった３人ともみどりに説得されてライフに入会したそしてみどりの睨んだとおりの能力を発揮しみどりを頂点へ押し上げていった　このシステムでは早く始めるほど有利な仕組みになっていて後から始めた人間はどんなに頑張っても自分より前から入会した人間を追い抜くことはできない連綿と続く人間関係の中をお金が井戸水をポンプで汲み上げるように下部から上部へ向かって吸い上げられていくのであるまさに人間関係をお金に換える究極のシステムであるあなたがみどりさんから紹介された方は惜しかったわね運営方針が決まり洋子が別の話題を持ち出してきたそうねまさか警察に捕まるとは思ってなかったのよさすがのみどりも無念だったでしょうね和子が答えたでもなんで殺人まで犯したのかしら洋子は不思議であるだって中学時代からのお友達だったんでしょうそれでいろいろあったんじゃないかしらチャットの最中に美奈さんが気がついて連絡をくれたのよね和子が言ったそうなのよそれまで話が盛り上がっていたのにみどりさん急に黙っちゃうんだもんびっくりしたわそれでなにかあったのかと思って和子さんに電話で連絡して一緒に行ったのよね美奈は時の様子をありありと思い出していたそれでみどりさんのマンションのオフイスに入ったらもうみどりさんは死んでいたのよ私はまだ生きていると思って救急車を呼んだけど駄目だったわ　和子が言うスマホ片手に倒れているんですもの最初はガス漏れか急病だと思うわよね　美奈が付け足した警察では何を聞かれたの　洋子が二人に聞いた型どおりの質問だったけど別々の部屋に入れられてまるで犯人扱いだったわ発見したのが二人だったから警察も納得してくれたけどそうじゃなかったら誘導尋問で犯人になっていたかもしれないわね　美奈と和子は口々にしゃべったSNSのグループトークでメッセージをやりとりしていましたと言ったらそりゃなんですかときたもんね　美奈は刑事とのやりとりを思い出して笑ったそうよね刑事さん何にも知らないんですものこちらが教えてやったわ複数で話ができるわけないだろうって不思議がっていたわね　和子も笑い出したふーん大変だったわね　洋子が同情したフォーチュンでうさぎが犯人だってＴＶ報道の後ですぐに流れたでしょう私あれ信じちゃった　和子が真剣な顔で話した私も信じたわ警察関係者が流したのかと思ったもの　美奈がつけ加えるうさぎさんってフリーライターだっていうじゃない　洋子がいう結構フォーチュンでは有名だったのよね年齢不詳なんだけど若い子の意見にも真剣に答えるのでファンもいたらしいわ　美奈もうさぎの書き込みはたまにフォーチュンで見かけていたらしい若い子に言い寄られて断った腹いせに犯人にされたんじゃないかしら　和子が自分の推理を披露したそうねいたずらが実は本当に犯人だったなんてまるで推理小説のようね　美奈も自分で言っておいて笑っているさてじゃあ今日はこれで終わりにしましょうか　美奈が立ち上がったこれから頂上目指して頑張りましょう　和子が会議の最後を締めくくったねえ美奈さん　和子が帰ると洋子は美奈に向かって話しかけたみどりの隠し玉はあったのかしらそりゃあアドミンともなれば３００人規模の隠し玉は常にあるでしょうねでもみどりさんが死んでしまった今はもうそれもわからないわ　美奈は残念そうに話したそれがわかればすぐにでもアドミンに昇格できるのに残念ね　洋子は思わず溜息をもらしたアドミンだって下からお金をまんべんなく吸い上げるのには大変な苦労をしていたらしいわよみどりさんもいつも生き生きしていたようだけれどライフを維持するのは胃に穴が開きそうだって前に言っていたわ　美奈が洋子に話した３人が共同で一人のアドミンができればそれが一番よさそうね　洋子は提案したが美奈はそれには明確な返事は寄こさなかった＃毒の正体毒使用については何かわかったのですか涼子が小沢刑事に訪ねた残念ながらまだわかりません　涼子が天井を見ながらつぶやいた会議室のメンバーの話ではみどりは急に具合がおかしくなったようだといっていたわね　涼子が小沢に尋ねたそうです浅野和子と河本美奈はそう証言していますもう一人のトータルアドバイザーの竹中洋子にも様子を聞いてみましょうか　涼子が提案した＃竹中洋子お忙しいところをすみません小沢と言います　小沢が代表して挨拶したここは署の取調室である応接室が空いてなかったのでこんな部屋でまことに申し訳ありません　健一がしきりに恐縮して見せたいえ気になさらないで下さい　竹中洋子は警察から事情を聞きたいのでそちらへ伺いたいという小沢の申し出に対してこちらからお伺いしますと返事をくれたので署まで出向いてもらったのである山城みどりさんはあなたの上司ですね　小沢が突っ込んだ上司といっても普通の会社の上司とは少し意味が違いますがまあそんなもんです　洋子は冷静に答えた普通と違うとおっしゃいますと私の稼いだお金はみどりさんにも分配されますがみどりさんなくしては私も稼げないというところです　洋子は説明したライフは実はマルチじゃないかとこちらはにらんでいるんですが　健一が悪役に徹して洋子を揺さぶるいえ法律的に問題はないはずです　洋子はこの程度では動じなかったところでみどりさんが無くなった時あなたも会議室のメンバーだったんですよねそうですこれからの新規会員獲得に向けてみどりさんと私浅野和子さん河本美奈さん他にも５６人の会員が加わっていました詳しくは記録を見ればわかります　小沢の質問に洋子はすらすらと答えたみどりさんがおかしくなった時の様子を詳しく教えて下さいグループトークは誰かの発言に対して他の人が意見を順番に書き込みながら行います１対１ならすぐに返事が書けますが１０人も一緒だと順番が回ってくるまでに時間がかかるときもあります　洋子が説明してくれたあのときは新規獲得のためのアイデアを出し合っていたんですみどりさんは一人一人の案にアドバイスをくれて次に案を順番に出し合った時にアドバイスがもらえませんでした呼びかけても返事がないんで河本美奈さんが電話をかけたんですそうですか続けて下さいみどりさんはやり手でしたが人情が厚くてとってもいい人でした私もこのライフに入らなかったら人生をはかなんで自殺していたかもしれません東谷涼子は早く死刑にして下さいそれまで黙っていた涼子が口を開いた東谷涼子が犯人だとあなたが知ったのはいつですか私はみどりさんの家に行きませんでしたから連絡が入るかと思ってSNSを切りませんでしたが８時頃には流れていたと思いますそれを見て洋子さんはどう思いましたか涼子が聞いた私は東谷涼子が犯人だと本当に思いました山城みどりさんが東谷涼子の何かを知って暴露したんだと思ったんです洋子は続けたそうしたらテレビで警察が東谷涼子を追っていると流れていたからフォーチュンの話は本当だったのかと思ったのです第１発見者が河本美奈さんと浅野和子さんであることはあなたも早くから知っていたんですね　小沢が尋ねたええ二人からの連絡を待っていましたから山城みどりさんの死亡は何時頃知りましたか５時頃浅野和子さんからフォーチュン経由で連絡が入りました時間二人は警察に向かっていたはずですが合間にスマートフォンで連絡をくれたんです長いことありがとうございました小沢が洋子をねぎらった東谷涼子を早く死刑にして下さい洋子は真剣な顔でいった涼子はあまりいい気分では無い様子である洋子は一礼すると部屋から出ていった＃スマートフォン人間一度思いこむと先入観から簡単には抜け出せないことがよくわかったわそれにしてもあまりいい気分ではないわね涼子がかみしめるように言うねえ小沢さん山城みどりのスマホは押収したの？ええ押収済みですただ画面ロックが解除できなくてまだ内容は未確認です小沢が押収品のリストを見ながら答える犯人は山城みどりのスマホのロックを解除できたのでしょうねそうだと思います事前にロック解除パスワードを入手しておけばいいわけですからやっぱり山城さんの知り合いが怪しいね確証はないけれどスマホにはフォーチュンのＩＤとパスワードが設定されていたはずだからスマホから入手するのが一番簡単だと思うね＃毒の盛り方　浅野和子と河本美奈竹中洋子の３人は小沢の呼び掛けで山城みどりのマンションに集まって来た小沢に健一と涼子もいよいよ勝負にでた涼子は和子に面が割れているが見事な変装で涼子とは気が付かれる心配はないさて皆さんお集まりいただいたのは山城みどりさん殺しの犯人東谷涼子がなかなか口をわらないために突破口を見つけるためのヒントを頂戴するためです　小沢が前口上をもっともらしく述べたここにいる二人の刑事はお手伝いに来ていただきました田中と小林といいます田中です　健一が頭を下げた小林ですよろしくお願いします　涼子も一礼した　山城みどりさんは和子さんと一緒に東谷涼子と１９：００に待ち合わせをして喫茶店ボンで会いました後ひとりだけ約束があるといって１９：３０にはボンを出ています誰と会っていたのかは未だにわかりませんただ２０時半頃にそこにいる竹中洋子さんがみどりさんの自宅に電話したところ在宅していたのでそれより前には帰宅していた事になります　健一が流暢に説明を始めた和子達は健一の一言々を聞き漏らさないように真剣な態度を取っているこちらからお願いして集まっていただいているのですから気楽にお願いしますよ　健一がリラックスさせようとおどけて話しかけたさてみどりさんは２２時半に帰宅していたとしましょう浅野和子さんあなたが東谷涼子と別れて家に着いたのは何時ですか家ではなくてこのオフイスに来ました２２：５０分頃ですいきなり質問を向けられて和子はどぎまぎしているああそうでしたねすみません健一が和子にあやまったそれでは小林刑事みどりさんの代わりを務めて下さい　３人のトータルアドバイザー達は意味がわからなかった涼子は部屋の隅に行き羽織っていたロングコートを脱いで髪を整え化粧を少し直したそして振り返ったあっ　と声が上がった竹中洋子である残りの二人も息を飲んだ涼子のかっこうは殺害された日のみどりのかっこうと全く同じであった雰囲気を出そうと思って変装名人の小林刑事に無理をお願いしました　健一が説明する田中さんちょっとやりすぎじゃないですか　竹中洋子が抗議するまあいいじゃないですか田中さん続けましょう　河本美奈が仲裁に入った和子さんあなたがここへ来たのは２３：１０分ですね　健一が確認する時みどりさんはどの部屋にいたようですか奥の居間から出て来たようですチャイムを鳴らした時にドアが開いてぱたぱたとスリッパの音がしていましたから和子も警察で何度も話した事なのですらすらと口から出て来るでは和子さん一度玄関から外へ出て下さい小林刑事は奥の居間に入って下さい時の状況を再現して見ましょう和子と涼子は指示されたとおりの位置についたピンポーンとチャイムがなる涼子は居間のソファに座っていたところを立ち上がり玄関に向かい和子である事を確認してドアを開けたはい結構です　健一が言う和子さんこのオフイスではどのように座りましたかみどりさんがそちらの机で私がこのパソコンの置いてある机のイスですそれではようにお二人は座って見て下さい　健一の指示で二人はイスに座ったここではどのような話しをしましたか東谷涼子と会った報告です涼子は勧誘できなかったわけですよねそれについてみどりさんはどんな風に反応しましたか一度では無理でもくり返し繰り返し説得するように言われました東谷涼子はライフの大きな戦力になるからぜひ欲しいと言っていましたありがとうございました　健一が和子に礼を言った和子さんがここを出たのは何時ですか０時前です後タクシーで家に帰って０時１５分には到着したと思いますすぐに寝ましたかいえ着替えて０時半頃からフォーチュンで美奈さんや洋子さん他の仲間とチャットをしました美奈さんそれでよろしいですか　健一が河本美奈に尋ねたログの確認をしましたがそれでいいと思います実はですね和子さんが帰った後でだれかがこのオフイスを訪れているらしいんですよ近所の聞き込みでは東谷涼子によく似ているんですが彼女は頑として認めませんそれでなんとか涼子に認めさせようと集まってもらった次第なんです　健一がようやく真の目的を告げると３人の間に少し緊張が高まったじゃあここでときの会議室の様子を再現して見ましょう犯人役はそうですね竹中洋子さんにお願いしますわかりました　断るかと健一は見ていたが洋子は素直に応じた０時半にみどりさんはフォーチュンへ接続しました小林君実際に接続して下さい　健一が説明しながら涼子に指示を出す涼子はタブレットを操作しフォーチュンへと接続した自動接続でフォーチュンの中のライフの会議室へと入り込んだでは実際にときのチャットをここで打ち込んでみましょう　健一がタブレットに接続したキーボードから文字の入力を始めた＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊0:32 すみれ：かーこさん今日はご苦労様でした0:32 かーこ：うさぎさんはなかなか手強くて．．．0:33 みな：かーこが手を焼くなんて強敵ね0:33 ひめ：私も一度会ってみたいわ0:35 すみれ：かーこさん乳液殺しの技も使ったんでしょう0:36 かーこ：そうなのもう少しで落ちるところだったのにちょうどスマホが鳴ってしまって逃げられたわ0:37 ひめ：かーこさんの乳液殺しは必殺だんもんねあれをかわすとはたいしたものだわ0:37 すめら：私も一度かーこさんの乳液殺しを見てみたいな0:38 びな：あれはかーこさんの秘密兵器だからね0:41 すみれ：ライフがもう少しで６００人の壁を突き破りますそうなればトータルアドバイザーをもう一人増やすことが可能よ0:42 みな：早く千人になるといいですねアドミンが二人になるしライフもムーンと同格になるわね0:43 かーこ：がんばりましょうね0:45 すみれ：ところでこれからの展開だけどね＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ここまでが最初の分です　女性３人はすばらしい早さの健一のタイピングに驚きを示したタイムライン通りのスピードで正確に表示されているしかもキーボードをほとんど見ないフォーチュンのログから入力してみましたがこれでいいですね　健一が確認を求めたええこれで大丈夫です　健一のタイピングを凝視していた和子は同意したすばらしいわね田中刑事はプロはだしじゃないですか　ひらがなで打ち込むのがやっとの美奈はうらやましそうである洋子はみどりの格好をした涼子をじっと見つめている＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊0:46 かーこ：私お風呂に入るから15分ばかりオフするわね0:47 みな：ごゆっくりど～ぞ0:49 すみれ：私も眠くなってきたわでももうひと頑張りしましょう0:50 よーこ：勧誘がだんだん難しくなっています0:51 みな：そうね似たような団体がいくつも出現しているもんね0:52 たこ：でもSNSを使うシステムはまだ少ないわよ0:53: よーこ：そこは有利だと思うけど早めに手を打ちましょうよ0:56 すみれ：そうねSNSに頼るばかりじゃいけないわね0:57 しゅり：インスタフォトをうまく取り込んだらどうでしょうか0:58 みな：それはいい考えだわ0:59 ひめ：ここのところ急速に普及してるよね1:02 すみれ：わたしもそこは気が付かなかったわ1:03 たこ：フォーチュン以外での勧誘の方法が見つかりましたね1:03 ひめ：そうよまずはインスタフォトでまず興味を引くことだわ1:04 かーこ：お待たせしました1:07 すみれ：おかえりなさいきれいになった？1:08 かーこ：ええばっちりよ1:09 ひめ：新しい勧誘方法を見つけたわ1:10 かーこ：今見たわインスタフォトでしょ1:11 ひめ：そうよどう思う1:12 かーこ：すばらしいわぜひ検討しましょうすみれさんの意見は？1:14 すみれ：実験的にやってみましょう＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊今度もよろしいですか確認して下さい　健一が促すそうねこんな感じだったわいいと思います　洋子と美奈がうなずきあったええこの日のお風呂は本当に気持ちが良かったのよ４時間も東谷涼子を相手に頑張った後ですもの　和子も同意したさてみどりさんが具合が悪くなる直前です健一がまたキーをたたきだした＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊1:15 かーこ：具体的な方法はこれでいいかしら1:16 みな：そうねとにかくやってみましょう1:17 よーこ：うまくいきそうだわすみれさんどうかなすみれ：応答なし1:20 よーこ：すみれさんおーいどうしたのすみれ：応答なし1:22 みな：ちょっと電話してみるね1:22 かーこ：待ちましょう1:23 みな：すみれさん電話に出ないのよなにかあったのかもしれない1:24 ひめ：急病かしら1:24 みな：私これからかーこさんと一緒にすみれさんの家に行くわねかーこさん家のマップを送ってね1:25 かーこ：送ったよ1:25 みな：うん届いた1:26 よーこ：ここにも情報を流してね＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ここで終わっています次の和子さんからの第１報は午前３時頃和子さんのスマホからフォーチュンに流れましたそうですねはいとおりです　和子はうなずいた小林くんみどりさんが倒れていた時と同じように倒れて下さいはいわかりました　涼子は健一に言われて和子と美奈の証言どおりにうつ伏せに倒れた机から落ちたスマホが涼子の顔の横にあるあれこのチャットなんか変だわ　洋子がつぶやいたこのとおりで間違いないと思うわ私もいいと思う　和子と美奈は洋子の発言を否定したチャットの内容は正確だと思うわ　洋子が続ける＃解決？和子さん　床にうつぶせになっていた涼子がようやく起きてきた小林刑事さんなんでしょうか　和子が返事をした　和子は平然と答えたいえ違うわ　涼子がさらに続けるみどりの家ではみどりのスマホからAIを起動してしゃべらせたんだわAIって人工知能？そう１０人の会話についていけるAIをどうやって入手したのかは知らないけどねそんなのみんな憶測じゃないのそしてみどりに毒を盛り自分は風呂にはいると言ってフォーチュンから抜け出て自分のマンションに向かう間みどりになりすましたAIが会話を続けてくれる家に着くと自分の入力に切り替えてアリバイを作るまさにハイテクAI犯罪ね　涼子は和子を追いつめだしたでもフォーチュンにみどりのＩＤで接続するにはパスワードが必要よ　美奈がいったそれは最初にこのオフイスに来たときにみどりのスマホから調べたのよ夜はスマホはあまり使わないからみどりも気がつかなかったでしょうね　涼子が答えるそして頃合を見てAIを止めれば誰かが異変に気がつくそれだけ優秀なAIなら自分で止まるのもありね自分は家にいるのだからアリバイは完璧というわけね違うわ全て警察のでっちあげよ私を犯人に仕立て上げるつもりね私がみどりを殺したって得になることはなにもないのよ　浅野和子はまだ冷静に答えているでっちあげをやったのはあなたのほうでしょう私の顔をよく見なさい　涼子はそう言うと化粧の一部をコットンを使ってすっと落とし髪型を変えると和子の方を向いたあなたは東谷涼子！　和子はさすがに驚き動揺した私は内閣総理大臣特務M機関所属東谷涼子よそこにいるのが同じM機関の東谷健一よ浅野和子さんあなたには翻弄されたわまさか事情聴取の合間を縫って警察から私が犯人であるという情報をSNSに流すとわねそれもスマホとAIがあってこそできることだわ涼子さんすばらしいけど全て推理ねそれではとても逮捕状は取れないわよ私を調べてごらんなさいよなにも見つけられるわけがないわ　和子は微笑みを浮かべた　とき健一がビニール袋に入ったスマホをポケットから取り出し和子の手のひらに滑り込ませたきゃっ　和子は悲鳴を上げるとスマホを放り投げカーペットの床にしゃがみこんだスマホはみどりのものよ押収して署で保管しておいたのなにをそんなに驚いているの？涼子はようやく追い込んだ和子を追い詰めようと一歩迫った涼子は余裕である和子は脂汗を流して慌てて洗面所へ走り込んだそして手を石鹸でちぎれるほど洗っているあらそんことをしても無駄よ南アフリカ産の呪い薬はもう皮膚から吸収されてしまったわよそれはあなたが一番よく知っているんじゃないの　言われて和子はしまった　とつぶやいたわなだったのね輸入小物を扱っていた頃にみどりと知り合ったあなたにとってこんな毒薬を小物に隠して輸入するくらい簡単なことだったんでしょう？　涼子は和子の腕を掴んで部屋へ戻ったそろそろ観念するときじゃないかしら浅野和子さん？＃浅野和子の逆襲時和子はにやにやと口元に笑いを浮かべながら立ち上がったな～んてフェイクに引っかかると思ったの彗星伝説さん？和子には恐ろしいほどの余裕が満ち溢れているなによ・・涼子は悔しいが気圧されて一歩後退した遅効性の猛毒を海外からこっそり輸入するなんて面倒なことをしなくても私だったらみどりの部屋を訪れたときに毒をみどりに盛って殺害してるわよそれじゃああなたに容疑がばっちりかかるのよ？場合でも私がみどりの部屋を退出したあとにみどりが生きていたっていう証拠があればいいわけよねそうなるかなじゃあ死亡推定時刻が０：３０～２：３０頃までっていう幅で容疑がずいぶん薄くなるんじゃないかしらでも無実の証拠にはならないわよそれで十分よ彗星伝説さんみどりはフォーチュンで１：１４頃までは会話していたっていう証拠があるんだからね私が訪問した０：３０にみどりを殺害することは不可能って証明してくれてるじゃないのそうなれば死亡推定時刻は１：１４よりあとってことになって私のアリバイも完璧よねでもみどりさんの発言はAIにさせていたっていう可能性があるわそうなればアリバイも怪しくなるのよ人間の代わりができるようなAIを私が使えるわけないじゃないのそれこそ可能性であって事実ではないよね証拠があるなら別だけど和子の自信は揺るぎないようであるああいえばこういう和子さんなかなかやるわね涼子は苦し紛れに和子を褒めた彗星伝説から褒められてうれしいわありがといえいえなんて言ってる場合じゃないでしょ健一さん反論して今こそスペシャルな脳みそを活かすときがやってきたのよさきほどから成り行きを見守っていた健一になにか秘策があるかと涼子は思ったがそんなこと言われてもねえ確かに確固たる証拠になってないからねえこれじゃ裁判しても勝ち目はないねえ健一は困ったように天井を見上げて他人事のようにつぶやいている0:00頃和子さんがみどりのマンションに行ったときにはみどりはまだ生きていたもちろんあと和子さんは自分の部屋に帰ったとおり家について0:30過ぎからフォーチュンを続けた家に着いたという証拠はあるのかしら彗星伝説ならGPSの記録を調べることができるんじゃないかな自信あるようだねきっと家から発信してるでしょうよ0:46から15分ほどお風呂に入ると言ってフォーチュンから抜けてるねえでも15分じゃあみどりさんのマンションに行って毒を盛りまた部屋まで戻ることは到底できないよう～んそうだなあわかったそもそも家にいたっていうGPSの記録がごまかされているんじゃないかなあそうかもねでもそれをどうやって証明してくれるのかしら彗星伝説のお二人さん？どうやらこっちの分はかなり悪いみたいねようやくわかってもらえたようね仕方ない今日のところはここまでにしてお開きにしようふふん彗星伝説って有名だから少しは骨があるかと思ったけど心配して損しちゃった（くっそ～）また新しい攻略方法が見つかったら連絡ちょうだいね私はこれで失礼します浅野和子はそういうと余裕の表情を見せながら山城みどりのマンションを後にした今日は遅くまでお疲れ様でしたみなさんも解散してくださいご苦労さまでしたおやすみなさい美奈と洋子の二人もみどりの部屋から退出した和子さんがみどりさんを殺したなんてやっぱりありえないよね警察のやることって怖いねこうやって犯人でっちあげられていくんだわ冤罪事件が多くなるわけよ二人は和子を全く疑っていないようであった＃完敗ちっくしょうほんとに腹立つな美奈と洋子の二人が退出するのを見届けるといつも冷静な東谷健一にしてはは珍しく叫んだなんか私達根本的な部分が間違っているような気がするんだけどしばらく何事かを考えていた涼子はようやく顔を上げて言ったもしかすると前提条件が違っているのかもね涼子が続けるえっどういうこと健一は涼子の意外な言葉に顔を上げたIQ１４０の健一さんを言い負かすほどの浅野和子がライフの二番手っていうのは不自然だと思わない？ってことは？実は浅野和子がライフの本当の代表なんじゃないかなってじゃあみどりさんは表向きだけってこと？そう条件で考え直してはどうかしらうーんそうかそういうこともあり得るのか涼子はよくそんなことを思いつくね　健一は感心して涼子を褒めた褒めてもなんにもでないけどねうん和子とみどりさんが話しているとこを何度か同席してるけど関係がなんか変だなあって思ったんだそこに気がつくところが涼子のすごいとこなんだよ　涼子は今までにも何度かするどい洞察力を見せてくれている今回の意見も健一には想像できない角度からのものであるへへーそう？そんなに褒めてくれるんなら帰りがけにおいしいものをおごってもらおうかなよしじゃあ浅野和子がライフの本当の代表だと再度仮定した場合の和子の利点を考えてみよっか　訪れた喫茶ボンで涼子は遠慮なく特大パフェを注文したしばらくして届けられてパフェには花火が突き刺してあり盛大にぱちぱちと燃えている花火が消えた後でパフェを二人で突きながら健一は涼子に話しかけたやはり金銭面が突破口になるかなあそうね和子はみどりをライフの表向き代表者にすることにより自分の収入を少なく見せかけることができるわね和子本来の売上を過小に申告することは簡単にできそうだな売上操作はトップだとやりにくいけど中間なら一番できちゃいそうだよねそれで何ができるかっていうとそう巨額の脱税じゃないかなあ　浅野和子は山城みどりに誘われてライフを始めた和子は持ち前の頭脳を活用してみるみるうちに成果を上げ始めるがライフピラミッドの頂上は本部とのやり取りや売上管理などで手足をがんじがらめにされてしまうそれを煩わしく感じた和子はみどりに相談を持ちかけた私は二番手でいいからみどりが社長をやらないかと喜んでやらせたもらうわ　実力はあるのにいつも二番手で我慢させられると自分で思い込んでいたみどりには願ったりかなったりの和子からの申し出であったライフの地域社長ともなれば成功者として父母たちを安心させることもできる友人らもびっくりすることだろう　山城みどりをライフの代表取締役社長として一年みどりはお飾りの社長として座っているだけでは満足せず和子の了承を得ながら精力的に活動したためかどうかライフは以前にも増して大きな組織へと変貌しメンバー数を増やすことができた　みどりはお飾りの社長であることを最初は納得していたしかしライフが大きくなるにつれて裏でさらなる大儲けをしていると思われる和子に対してずるさと嫉妬心をを感じるようになったそこで和子からライフの経営権を本気で奪おうと画策を始めたもちろん和子はみどりのそんな動きにはとうに気づいていたがもうしばらくは社長として表向きに活躍してもらおうとしていたのだそんな矢先山城みどりが死んでしまった　もちろん和子はみどりを殺害したわけではないみどりが死んだのは心筋梗塞などの突然死と思われる山城みどりを表の社長としてライフを裏から操っていたことがバレそうになったこともあったそこでみどりが死んだタイミングを生かしてさも自分が殺したのではないかと疑いがかかるようにわざわざ偽装したのだ　偽装が予想以上にうまくできたために警察から嫌疑をかけられることになったなぜか彗星伝説まで引っ張り出すことに成功したそして嫌疑が濡れ衣だということが大々的になればしばらくの間警察は和子をマークしたり逮捕することはやりにくくなる自分の殺人罪を逃れるために画策する犯人は星の数ほどいるが自分が犯人であることをアピールすることはめったにないことが大きな盲点であった　和子は頭がいいわけだ普通の社会にいれば金融やビジネスのプロとして能力を最大限に生かして大金持ちになる素質があると言えよう和子の緻密な計画から考えてもおそらく証拠は発見できないと思われる　そんなこととも知らない河本美奈と竹中洋子は今後のライフをどのように維持していけばよいかを真剣に考えている浅野和子は警察から容疑をかけられていてしばらくはライフどころではないだろう警察が確証を握っていないことを確信した和子は美奈と洋子に連絡をとってライフを再開した　殺害していないのは事実なので警察が血眼で探しても証拠が出てくるわけがない証拠と思っても立証することは絶対にできないこれでしばらく警察は和子に手を出すことはできなくなった今度は浅野和子が自ら社長となった発見されたみどりの隠し玉はは美奈と洋子にも実態を報告したので二人共和子を信頼したと思う＃彗星伝説　完敗　浅野和子はライフが順調に成長していることを背景にしてN国からの輸入を増加することにした次は健康食品よりちょっと上のサプリにを手がける予定であるドラッグに近いサプリであるがちゃんと合法のものである最初の輸入コンテナが到着した私が躍進する第一歩がここにあるわ 和子はコンテナが大型フォークリフトにより賃貸倉庫に収納されるシーンを感慨深く見守ったコンテナは倉庫内の所定の場所に無事収まったいよいよご対面ね 和子はひとりつぶやくとコンテナの扉についている封印を外した大型レバーを動かして扉を開ける到着時に検疫は済ませている怪しい昆虫や爬虫類がいる気配はいまのところないこれがサプリか　コンテナ内のダンボール箱を一つ足元に下ろすとカッターで封を切り内部から小箱を取り出す小型の瓶入りはサプリ系ドリンクであるこの商品を飲むと頭がしゃきっとして勉強や運転が元気にできるという商品である国内販売品にも似たものがあるがN国品はなんといっても値段が安いしかも効果も抜群であるこの商品が私をワンランク上に連れて行ってくれるのね和子はうっとりしながら商品を眺めている浅野和子さん今度こそ観念してもらいましょうか？　声がした方に目を向けると男女二人が立っているのが見えたちぇっうっとうしいねなんの用なの彗星伝説さん？　和子は顔を上げて声がする方に体を向けたコンテナの中身を改めさせてもらいましょうかふ～ん令状はあるのもちろんあるわ　涼子は一枚の書類を和子に向けて示す勝手にどうぞすべて日本国内で合法なものばかりよそれはこちらで判断することだよ　健一と涼子はコンテナ内に入るといくつかのダンボールをコンテナの外に出し封を切って中を改めたはっ何も見つからないと思うよもし何もなかったらきっちり民事訴訟にかけて損害賠償をしぼりとってやるからね・・・　健一と涼子たちは黙々と荷物を改めるがこれぞという証拠品を見つけることができないやっぱり何もないようねそろそろあきらめたらどう？この品はN国代表のお墨付きなのよ何も出なければ日本とN国の国際問題になっても知らないからね　日本とN国は正式な国交は樹立されていない両国間では小競り合いがしょっちゅう発生ているのが現実である　健一と涼子は目配せすると荷持から離れてコンテナ本体を調べ始めたやがてコンテナ内部の一部が外れることを見つるこれは何かしら　涼子の手には厳重に包装されたピル状の商品が握られていたそれは・・　浅野和子の余裕の表情がみるみるうちに曇り険しくなる今度こそ観念しなさいねこれは某国では合法品でも日本では違法なドラッグじゃないかしら・・・　現物を示されて言い逃れができないと観念したのか和子は下を向いたまま返事をしない浅野和子輸入規制法および薬物取扱法違反容疑で逮捕する　涼子が和子に近づき手錠を両手にかけようとしたふふふ何度もわなにかかる彗星伝説って相当のおばかさんペアなのね　浅野和子はそういうと健一と涼子を突き飛ばしてコンテナの外に出た待て逃げてもすぐにつかまるぞ　健一はそういうと和子を捕まえようとしたがするりと逃してしまったじゃあーねーお二人さん　そういうと浅野和子はコンテナのドアを締めたがちゃん　外からドアをロックする乾いた音が倉庫内に鳴り響くくっそーはめられた　健一の悔しげな叫びがコンテナ内に響き渡った罠にかかってコンテナに閉じ込められるとはM機関員として彗星伝説としてこんな不名誉はない健一さんじたばたしてもしょうがないよなんとかなるよ涼子がそう言ってくれると助かるけどね　あっさり閉じ込められた二人は悔しいには違いないが自分たちを誘拐して何の得があるか疑問を感じたあっコンテナが動き始めたようだ　がちゃんと大きな音と衝撃音が響いた二人を閉じ込めたコンテナはフォークリフトに載せられたらしく若干傾いたままゆっくりと移動を開始した＃N国に向けて　着の身着のままコンテナ内に閉じ込められたので二人の持ち物は没収されていない浅野和子はよほど自信があるのか所持品を取り上げなかったおそらくすぐに海外へ連れ去るつもりなのであろう　金属製のコンテナ内は普通のスマホであれば電波が通りにくく通話や通信をすることは難しいしかしM機関員である二人が所持しているスマホはマルチフレケンシースマートホフォンであるこのスマホは国内の通信可能なあらゆる周波数をスキャンして地上波から衛星通信まで使える周波数帯をどれでも駆使できるスグレモノである　涼子はこのマルチスマホをバッグから取り出すと久しぶりに水鏡静奈の緊急呼び出し番号をコールした静奈はこのところ事務所に顔を出していないので所在は不明である実は女神である静奈には毎日事務所に出勤する義務はないしかしM機関が仕える対象である静奈の行方を知らないというのはどうかと思う　ぷるぷる・・・呼び出し音がしばらく鳴り続ける静奈は電波の届く場所にいるようだあっつながったもしもし静奈聞こえる今どこ？　少し間が空いた後静奈の元気な声がスマホから聞こえてきた涼子おっひっさっしぶり～今ねちょっと内緒の場所にいるんだ～　だだ～んひひ～っんと静奈の通話の向こうから銃撃戦やら馬のいななきやらの怪しい音が賑やかに聞こえてくるまるでハリウッドの映画撮影現場のようだ涼子は女神である静奈と仲良しであるが静奈の生活を把握しているわけではないなんかすっごいにぎやかだね　どどどーんと爆発音かと思えるくらいすごい音が聞こえてくるまあね～取り込み中なんだよね～　にぎやかなためのか静奈の声は聞きづらいそうなんだ実はねちょっと頼みたいことがあるんだけど　涼子の声もだんだん大きくなるう～ん困ったな～抜けられるかな～っていうかそっちに行けるかな～ええっそんなあなんとかならないのわかったよ～涼子の頼みじゃあしょうがないね～明日には顔をだすよ～　涼子は静奈のなんとかしてくれそうな様子にほっとしたが明日じゃちょっとまずいんだよね実は私達へましちゃったんだあれ～涼子がへまなんて珍しいね～私達って東谷先生も一緒なの～そうなの二人一緒に一網打尽にされちゃってコンテナに閉じ込められてるあちゃ～そりゃ難儀だね～で～今どこなの～？芝浦埠頭からどっかの船に乗せられるとこだと思う　涼子はこれまでの経緯を静奈にかいつまんで説明したま?だいたい事情はわかったから?　静奈が理解してくれたかどうかははなはだ怪しい本当に大丈夫なの？ダイジョウブダイジョウブ靜奈様に任せなさ?いわかったありがとう　静奈はそういうと涼子との電話を切った今度は静奈が電話番号をプッシュするまず最初は～この人ね～ぷーぷーはい内閣総理大臣の阿川ですあっ総理～？静奈で～す静奈様お久しぶりですこんちは～元気だった～賄賂もらってないよね～またお戯れを何か御用ですかあのね～報道していた彗星伝説の二人がへました事件ね～私がサポートするんだけどね～ちょっと某国の助けが必要なんだよね～えっ某国ですかそんな～嫌な顔しなくてもいいでしょ～まあ静奈様が必要とされるなら仕方ないですね私から連絡しておきますありがと～恩にきるね～ちんと電話を切るとはい～次～静奈はそういうと再びダイヤルするもしもし～静奈だよ～うんうん元気だった～？はいおかげさまでつつがなく過ごしています国内の政情もまずまず安定しておりますはっいえいえこれもすべて静奈様のお力のおかげですはいえ～私～なんにもしてないよ～そんなことないですいざというときは静奈様が助けていただけるかもという安心感が国民の間に広がっておりましてはいお陰様ですそれでね～今度ちょ～っとした訳ありで～N国に行かなくちゃいけないんだよね～そうなんですかそれは大変ですね日本とN国の間にはまだ正式な国交は樹立されていなかったのではないですかなそうなんだよね～それでね～N国から連絡があったら静奈をN国に行けるように便宜をはかって欲しいんだよね～ああそんなことですかお安いご用です静奈様からのお願いは最優先でやらせて頂きますそれはうれしいな～じゃあ～際にはよろしくね～ちんこれでよし静奈はそういうとふふっと小さく微笑むのであった　さてコンテナに閉じ込められた東谷健一と涼子に話を戻す　空中に持ち上げられたコンテナはトラックらしき荷台に移されたようだじきに出発するとどこか港に到着したようである波の音だけが聞こえる静かな時間がしばらく続いた　コンテナは空調設備が設置されているらしく息苦しさは感じないよく見ると奥には簡易トイレが設置されている人間を密かに運ぶために作られたコンテナであることがわかる再びクレーンに吊るし上げられる浮遊感が二人を包んだ次に設置したときには船上らしく波に左右に揺られている　しばらくするとぼー　という汽笛の音とともにどどどとエンジン音が高まりいずこかに向けて出港したおい外へでろ　出港してしばらくするとコンテナの扉がぎぎーと音を立てて開いた外はすでに夕闇が迫っており薄暗い周囲には陸地らしいものは見えずずいぶんと外海にでたようであるおんぼろ船を想像していがどうしてどうしてなかなか立派な貨物船である健一と涼子の二人はコンテナの外に立つすぐにぴちっとした黒いスエットスーツ風の特殊服を着た兵士らしき男たちに両腕を取られたここはどこだい余計なことを聞くな見てのとおり海の上だ既に公海上を航行中だどこに連れて行かれるのか聞いてもいいかしら答えることはできないもしかしてN国？うるさい黙ってろ　怒鳴られた涼子は心の中ではぺろっと舌を出したがおくびに出さず下を向いて黙った　貨物船内に入った二人は船長に引き合わされた船長は兵士とはうってかわった紳士的なふるまいで二人に挨拶した後船室に案内してくれた船室は4人用の客室らしくベッドが四つ並んでいる狭苦しい客室ですがこの船では最上級なのでこれでお許しください普段はこの部屋からから出ないようにお願いしますトイレもこの部屋のものをお使いください用事があるとときは遠慮無く呼んでくださいボーイが来ますそれだけ告げると艦長は船室から出ていったN国まで連れて行かれるのかなまっそんなとこでしょうね目的はなんだろうか私達二人に何をさせるつもりなのかしらねさあ俺達にわざわざN国まで連れて行くほどの価値があるとは思えないけどね　ひとしきり話を終えると二人は狭いベッドに横になったどどどと船舶用ディーゼルエンジンの独特の音が最初は気になったが徐々に慣れて眠りに落ちた到着しましたN国へようこそ外に出ます付いてきてください　健一と涼子は船長に促されて船室から外に出た久しぶりの良い天気で太陽がまぶしい貨物船を下船すると横付けされた黒塗りの乗用車に二人は乗せられたもちろん行き先は教えてもらえない港に付属する街を出るとしばらくはのどかな農村風景が続く　1時間ほど走ると急速に民家やビルディングが増えだした高層建築といっても差し支えないビルディングの一つに乗用車は乗り入れたビルの何階かにエレベータが止まる赤い絨毯が敷き詰められた廊下を歩いたいくつ目かの部屋に通されたようやく最終目的地に到着したらしい＃N国パオ代表ここでしばらく待つように　スーツ姿の官僚らしい男に短く指示されると健一と涼子は立派なソファに腰を下ろしたサイドテーブルには各種飲み物が準備されているまた扉がガラス仕様の冷蔵庫にはきれいにカットされた果物が盛り付けられている2時間ほど経過したであろうか先ほど指示した男が再び現れた我が国のパオ代表がお会いになります健一と涼子はそんな大物が何の用があるんだと思ったが口に出すわけにはいかないやがて堂々とした体躯の男が現れたN国のパオですよく来てくれましたいささか強引な手を使って済まなかった我々をここまで連れてきた理由はなんなのでしょうかそれは信じてもらえないかもしれませんが女神様をお招きしたかったからなのですそれなら日本に正式に依頼すれば済むことではないでしょうかお願いしたのだが日本の正式回答は女神など存在しないよって依頼をお受けすることはできないという回答でしたふーんそうなんだそれで誠に失礼だったのですが女神様に絶大なる影響力のあるとされているあなたがたにこちらにおいで頂きしかる後に交渉しようと考えたのですそれで我々を誘拐したと誘拐と言われると心外ですがおわかり頂けたでしょうかまあ日本政府は誘拐か拉致と考えるでしょうねいずれにしても日本と大きな外交問題になる可能性があることが予想できるのになぜそこまでして女神様をお招きしたかったのですかそれはこのN国には八百万の神という思想はありません思想を持つ日本がとてもうらやましかった本物の神に会いたかったのですパオ代表の気持ちはわかるますしかしこんなやり方をすれば大変なことになりますよ　東谷健一と涼子を拉致したN国は大胆にもM企画諏訪事務所を訪れたそしてN国エージェントは彗星伝説の二人の身柄をN国が拘束したことを御鏡静奈に告げた静奈には警察などにしゃべれば二人の命の保証は致しかねると静かに話した一通り事情を聞いた静奈は二人に会いたいな?どうすればいいの?　と冷静に聞き返したN国には静奈様を国賓待遇でお迎えする準備があります我々と同行していただければお友達に危害が加わることはありませんそっか?ならすぐに行きましょ?　と特に焦る様子もなくN国エージェントの提案に同意したただしお願いがあるけど聞いてもらえるかしらね?全てを叶えることができるかはわかりませんがおっしゃってみてくださいあのね?潜水艦で送ってもらってもいいいかな?えっ潜水艦ですか実はね?まだ潜水艦に乗ったことがないからね?この際乗せてもらいたいな?って静奈は思ったんだよね?　荒唐無稽なお願いであったが静奈の願いをN国は叶えることにしたN国が保有する潜水艦は日本まで航海できる航続距離はないそこで付き合いの長い某国に潜水艦の派遣を頼むことにした某国のボリース大統領はこれまで長く続いた大統領独裁政治からなぜか一転して民主政治に変革中であり効果が徐々に現れて豊かな某国として発展の兆しを見せ国際社会でも頭角を表している　派遣を依頼された某国は日本近海をパトロール中の戦略型通常機関潜水艦を派遣することを決定したしばらくすると某国潜水艦は東京湾沖合に浮上し勇姿を現した日本の領海内に某国の潜水艦が浮上するなど前代未聞のことであるが自衛隊との合同演習という名目になっている＃静奈出発　静奈はお台場付近から小型クルーザーに乗り込んだ静奈様お気をつけて行ってくるよ?おみやげ楽しみにね?　演習の観閲にかこつけて阿川現首相は静奈の見送りに来た本来であれば自衛隊を堂々と指揮運用したいところであるがN国と正式な国交がない現在ではそれは難しいことであろう　浮上停泊した某国潜水艦の甲板上には２０名ほどの乗組員が整然と並んでいる接岸したクルーザーには素早くタラップが渡された乗組員はタラップを渡ってクルーザーに乗り込んだ静奈は乗組員に支えらながらきゃっなどと言いながらタラップをふらふらと渡り甲板上のハッチより潜水艦に乗艦した乗組員全員が再び艦内に乗り込むとハッチが中より閉められがちゃんとロックされた艦内に入った静奈は艦長の指示に従って艦長席の隣に静かに座った機関始動機関始動よし微速前進東京湾を出ると同時に潜望鏡深度まで潜行潜望鏡深度まで潜行　静奈が乗った潜水艦は静かに潜行を開始した最初は水平に次に斜めに潜行するへえ～潜水艦の中ってこんな風なんだ～静奈はきょろきょろと興味深そうに艦内を眺めている何もありませんがくつろいでください横になりたければパッセンジャー区画にご案内しますふ～ごはんはいつ出るのかな～静奈お腹空いてきた気がするかな～あと1時間ほどで昼食の時間になります食堂にご案内しますのでしばらくお待ちください艦長は静奈の正体は知らされていない静奈をN国まで連れて行くことが命令とはいえ天真爛漫ないいとこのお嬢さんにしか見えない静奈の振る舞いに最初はあきれぎみであったわかった～でも退屈になってきたから～食堂に行ってお手伝いしたいな～そんなとんでもありませんこちらで・・　艦長が言う端から静奈はふらふらと席を立って狭い艦内の移動を始めた向かう先は食堂である厨房では調理の真っ最中であるコレ使っていいかな～　静奈は壁にかけてあった調理員用のエプロンを素早くまとった近くにあった台ふきを手に取るとテーブルの上を素早く拭き吹き始めた静奈様ようなまねはおやめください艦長が大統領から叱られます大丈夫だよ～時は私が大統領にこらって言ってあげるから心配しないで～　周囲にいる乗組員は静奈の言動に唖然としながらもこらっと叱れている大統領をなんだかうらやましいなと思うのであったやがて調理が終わったカレーライス風の丼物やスプーン漬物などが静奈の手によってテーブルの上に配膳されたさあ召し上がれいただきます　静奈のいかにも自分が作りました的な号令で食事が始まったうんおいしいさすが静奈様が準備してくださっただけのことはある　静奈がしたことといえばテーブルを拭いて配膳しただけである作ったのは潜水艦のシェフであるそうでしょう?ほんとにおいしいね?　静奈も実においしそうに頬張っているあっほっぺたにご飯粒がついてるけどご馳走さまでした　楽しい食事時間が終わったこんな楽しい食事は生まれて初めてだよこの潜水艦の乗組員で良かった?ってしみじみ感じたよ　乗組員たちはうれしそうに口にしたそうでしょうそうでしょう静奈がいれば潜水艦の中にいても幸せになれるんだよ?一艦に一人静奈なんてね静奈様はこの艦の守り神だそうだそうだいつまでも一緒にいてくださいねみんな?ありがと?　静奈は何か特別なことをしたわけではないしかし乗艦してすぐにこの潜水艦の乗組員を魅了し艦内を全て自分の影響下に置くことを完了した女神御鏡静奈の能力の一つである　潜水艦は順調に航海を続けN国沖合の海底に着底した静奈様どうなさいますかご命令をうんまず浮上?潜望鏡深度まで浮上いきなり浮上で大丈夫だよ?静奈様のご命令であればように戦略ミサイル発射ハッチオープン?えっ了解ミサイル発射ハッチ開けそして微速前進の上?N国軍港に着岸します?了解微速前進進行方向に障害物なし本艦はこれより前方N国軍港に入港します入港後～直ちに静奈は上陸します?ハハッ了解しました仰せの通りに致します本艦は?静奈が下艦後?直ちに港を出て沖合に停泊?了解静奈より命あればセット済みの目標に向かってミサイルを発射せよ?一番発射管上空３００ｍで自己爆発２番発射管目標N国迎賓館ビル・・本当によろしいのですか何度もいいません～迷うことなくミサイル発射せよ～・・・了解　潜水艦は静奈の命令どおりに作戦行動した通常他国人が潜水艦に乗り組んで命令をくだすなどはあってはならないるそれができてしまうのが女神の力である　某国潜水艦が突然浮上着岸したN国は大騒ぎになっている乗組員が１０人ほどハッチから出て甲板上に整列したそしてハッチ内から水鏡静奈が現れた乗組員たちは静奈の周囲を護衛しつつタラップを使って岸壁に上陸した岸壁にはN国が差し回したリムジンが到着しており乗組員が周囲を警戒する中静奈はリムジンに乗り込んだ静奈の両側は乗組員たちにがっちりガードされたままである　リムジンは港を出て広い道路を突っ走るやがて健一と涼子が軟禁されている迎賓館らしきビルに到着した建物の玄関にリムジンが横付けされると直ちに乗組員達は周囲に散開し静奈の安全を確保する赤い絨毯が引かれた廊下を静奈は乗組員たちを引き連れたまま堂々と進み会見の間と思われる部屋にたどり着いた＃女神のチカラ静奈静奈様健一と涼子の二人がN国の兵士に囲まれて椅子に座っていたあら～東谷先生と涼子じゃないの～無事だった～?うんコンテナで運ばれたり貨物船に乗ったりしてくたびれたけど大丈夫だったよそれは良かった～おかげでこんなところまで来ちゃったけどね～じゃ～これで帰ろっか～そうはいきませんよ女神様　後ろに控えていた初老の男が答えた自己紹介が遅くなりましたN国代表パオと申しますあなたが～この国の責任者というわけね～　静奈はようやくパオの方を向いたそうですこの度は女神水鏡静奈様にはN国までおいで頂き嬉しく思いますゆっくりしていってください　パオは静奈はもう自分の手中に収めたかのような余裕だ本気でそんなこと言ってんのかな～なるべく早く帰りたいんだけどな～　N国まで（戦略潜水艦で）やって来ただけなのに身柄を拘束したかのような言い草に静奈はだんだん腹が立って来ている女神様にはしばらく逗留して頂き我が国の安定にご尽力を頂ければありがたいと思っています　今まで女神様に会ったことのないパオには実力はわからない思っていても～そんな調子のいい話は～普通はしないものよ～東谷ご夫妻も当然しばらくご一緒にと思っていますただしお二人の安全は御鏡様次第ですがねなに～この水鏡静奈を脅迫するのかな～　久しぶりに静奈本人に喧嘩を売る人物が現れて静奈もちょっと驚いているそんな脅迫なんて滅相もありませんお願いしているだけです何人たりとも～静奈をここに引き留めておくなんて～絶対認めないわよ～　静奈から怪しいオーラが立ち上り始めたことを悟った涼子が危険を感じて口を挟むなんだか～だんだん～腹が立ってきたような気がする～　静奈はいつもと変わらぬ様子であったしかし滅多に顔色が変わらない静奈であったが涼子からみればだいぶご立腹のように見えるう～んお腹が空いてきた～もうだめだ～ねえパオ代表静奈すっごく怒ってるけどどうやって鎮めるつもりなのよそうなのですか　パオには静奈はどこぞのお嬢様にしか思えていない静奈の女神パワーなんぞはまだ本気で信じていない最悪でも静奈を人質にして某国や日本に何か譲歩させることができればいいと思っているあなたが静奈をここに呼んだんでしょう　静奈の怒りのボルテージがだんだん上がるのがわかる涼子には気が気でない褒められた手段ではありませんがお招きしております　早くしないと静奈が爆発してしまうと気が気でない涼子であるだったらきちんと責任取ってよ静奈の怒りが地球を滅したらどうするつもりなのよ一番発射管発射～　静奈が突然ゆるい口調でごく自然に叫んだ了解伝達します１０秒後近くの上空３００mほどの位置で大きな爆発音が聞こえた次は～もっと近くにするけど～　パオは急に怖くなってきた静奈はどのような手立てを講じたのか某国の潜水艦からミサイルを発射させたのだ某国が日本のためにこんな危険を犯すなど考えられなかった　パオは静奈さえ拉致してしまえば日本も某国も手が出すことができず女神の恩恵を受けることができると考えていた静奈に言うことをきかせるためにライフと浅野和子を使って健一と涼子を拉致したのであるそれがミサイル攻撃をしてくるとは・・・静奈様どうすればこのN国にご加護を頂けるのでしょうかそれはね～　パオ代表は静奈の言葉を待ってごくっとつばを飲み込んだパオ代表が今すぐに静奈様はえらい！って思ってくれれば即解決するんだよね～それで本当に解決するのですか　パオはミサイルの影響だけではない静奈の力を感じ始めているそう～ほらね～もう解決しそうな感じがしないかな～　静奈はパオ代表の目をのぞき込むように話しかけた静奈はこの会場の大半を自分の影響下としつつあったそしてパオ代表が一瞬静奈の言葉に耳を傾けた時を逃さずこのフィールドをパオ代表ごと完全に自分の支配下としたわかりました私どもが間違っていました目が覚めました静奈様を専有しようと考えたのがそもそもの間違いだったのです　パオ代表とN国は完全に魅了され静奈の大ファンとなった会場にはほっとした空気が流れる女神様このN国にもご加護を頂けますようによろしくお願いしますわかった?それだったら?静奈はいくらでも協力するよ?そこに女が一人現れた浅野和子である今女女神様って呼ばれたようだったけどそうだよこのお方は現代に顕出した八百万の神のお一人御鏡静奈様だよ浅野和子観念しなさい　東谷涼子が叫んだ浅野もういい我がN国は静奈様のご加護を受けることになったは神様だの女神様だの今どき誰が信じるかっつーの　今KY選手権を開催したら見事に世界第一位を獲得するであろう和子は一人気炎を吐き続けるお前はよくやってくれたしばらく休暇を取って休んでくれなんなのよーみんなこんな小娘に騙されているんじゃないの　浅野和子が絶叫する仕方ない人だね?じゃあ体で感じればわかるかな?　静奈はくるりと和子に体を向けた自然体のまま片手を前に軽く突き出すもうちょっと～感性がないと～あなた～苦労するわよ～　刹那静奈の全身から見えないなにかが溢れ出て浅野和子の周囲を埋め尽くしたそしてフィールドはすべて静奈の支配下に置かれたように涼子と健一には見えた威勢の良かった和子はみるみるうちに表情を曇らせるああっ私をにしないで・・それだけはイヤ　浅野和子はそう絶叫すると床に崩れるように倒れた呼吸はあるようだが意識は失っていた　浅野和子は何を見たのであろうか女神様のバチが当たったのであるきっと途方もなく嫌なものを見せられたのであろうほんとに恐ろしい天罰である浅野和子は～パオ代表に～命令されてやったのでしょう～あんまり～怒らないでやってね～　静奈はパオ代表に女神の微笑みを向けたそれはもうもちろんでございます　女神の微笑みを直接見たパオは完全に静奈に魅了されたであろう＃大団円女神様ありがとうございます　健一が最敬礼で静奈に首をたれる良かった良かったね～そういう静奈はいつもの静奈に戻っていたところで～ねえねえ～　静奈の目が含み笑いで三角に変わっている静奈なあに？あなた達さあ?警察と関わる時は?彗星伝説って名乗ってるのね～ぷぷぷ～　周囲のフィールドが落ち着きを取り戻した頃静奈が健一と涼子に話しかけたそんなに笑わなくてもいいじゃないのM機関員は身分を自由に名乗ることができるからつい・・・　いつもは沈着冷静な東谷健一が珍しくあせっているらしいそうね～東谷先生も?涼子も?まあ?意外にも中二病なんだね～きゃあ静奈お願いだからそれ以上もう言わないでよ恥ずかしいじゃない　珍しく涼子も隣であせっているのであったしょうがないわね～まあこれからも彗星伝説って名乗ってもいいけどね～潜水艦に乗せてくれて～ありがと～?　静奈は日本に帰国後某国大統領に向けて絵文字入りのメッセージを送ったありがたき幸せです女神様これからも何なりとお申し付けください　大統領は静奈からのメッセージを宝物のように何度も読み返すと最高級の紙に印刷した紙には某国最高の装丁を施し大統領執務室の壁に飾られた某国の至宝となったのである阿川首相～うまく解決したよ～それは良かったです今回は日本はあまり出番がなくて少々残念でしたそんなことないよ～首相が某国に話しつけくれたから～うまくいったよ～あっミサイル一発分某国から借りたからね～ではまた何かご褒美をお願いします某国にもお礼をしておきますねじゃあ～楽しみにしておいてね～　日本と某国そしてN国はこのことをきっかけとして三国同盟を結ぶことになったこの同盟は後に女神同盟と呼ばれることになるがそれはずっと後の話である　隣の女神様　水鏡静奈の力を借りて難事件を無事解決した涼子と健一であったがSNSにはびこる希薄なようでいて恐ろしくどろりとした人間関係を見て背筋が寒くなった健一と涼子は山城みどりの冥福を静かに祈ったのである（隣の女神様４　～御鏡静奈と彗星伝説～　終わり）隣の女神様　～保科正之と高遠藩～社会科新聞　玉川玲子は宮川中学校　2年生の女子生徒である夏休みの宿題の一つとして課せられた社会科新聞のテーマを保科正之と定めていた保科正之は江戸時代初期に宮川村近くの高遠藩主であった人物であるなんと二代将軍徳川秀忠の隠し子とも言われている保科正之を主人公にして連続長編ドラマを作ろうという運動がここ宮川村でも広がりつつありどのような人物なのか興味を持ったのである　夏休みのある日玲子はさっそく高遠にある歴史博物館を訪れたここには高遠の歴史や独特な色で有名なタカトオコヒガンザクラの云われなど多数の貴重な資料が展示してあった保科正之はドラマ誘致運動のおかげか特設コーナーが設けられており生涯の年表や人物絵どのような人物であったのかなどのエピソードなどが所狭しと展示されていた玲子はこれをまとめれば社会科新聞程度を作るのは楽勝だと小躍りしそうになった館内は写真撮影禁止なのでノートをカバンから引っ張り出して展示物を読みながらメモをとりつｔまとめる保科正之ってとってもいい殿様だったんだ　玲子は正之人気の高さの理由を知って一人でうなずいたあれこの掛け軸・・　玲子が目を止めたのは保科正之直筆とも静の書とも言われている桜をモチーフとしたものである高遠コヒンガンザクラの幹にくっきりと御印が現れている御印とはここに書かれているのあれえ・・・まじで誰も気が付かないのだって江戸時代に”はあと”ってあり得ないよ幸松様幸松様こちらへ　二代将軍徳川秀忠の本妻お与江はいつも幸松をこのようにして呼びつけるはい母上何か御用でしょうか　まだ五歳の幸松は義理の母であるお与江の方に呼ばれると心臓をどきどきさせながら局に入った幸松様呼ばれてもすぐに返答をしてはならんとお教えしたばかりではないか母上申し訳ありませんこの幸松うっかり失念しておりましたやり直しますこれだから妾腹はだめなのじゃ　お与江は幸松に聞こえるようにつぶやくと取り巻きの侍女を引き連れて局を出て行った菓子をやるからと局に幸松を呼びつけ入り方が悪いと何度もやり直しをさせたあげく肝心の菓子をあげたためしはないこんな不出来なお子のどこが将軍様はお気に入りなのじゃ秀忠はお与江の子供も幸松も平等に扱い可愛がっている周囲からはすばらしいことだと称賛の声を浴びているがお与江には面白いはずがない将軍様は幸松を三代将軍にするつもりなのじゃろうかお与江は秀忠に何度かただしたが秀忠はそんなことはありえないそれはお与江の考えすぎだ　と取り合ってくれない実際父家康の教えに従い家光を後継ぎにすることは既定の事実である　なのにお与江は心配でならないのであるできれば幸松を亡き者にしたいと胸の奥深くにいつも陰謀が渦巻いているこのままでは幸松はお与江にいづこかに葬り去られてしまうかもしれんな　秀忠は気が気ではなかった将軍といえども大奥内において入ることができるのは寝所をはじめごく限られたエリアのみであるブラックホールのように謎の空間も大奥には至ることろに存在するらしい現に先日も秀忠がちょっと声をかけた侍女が翌日から姿を見せていないお与江が健在の間幸松をどこか地方に預けることができないだろうか　幸松を手元に置いておきたいのはやまやまであるが死んでしまっては元も子もないそんなときこの時代では信頼できる地方にほとぼりがさめるまで預けることがよくある手であった預ける場所は遠い田舎ほど安全である将軍様幸松様のお先でございますが信州はいかがでしょうか信州か・・・　秀忠にとって信州は川中島にて真田一族に足止めをくらい家康にどえらい怒られることになった因縁の地である同じ信州でも諏訪の先高遠藩でござる　古府中には見性院という女性がいた武田信玄の側室とも娘とも言われていたが戦国の騒乱にまぎれて行方不明となった見性院の娘らしき女性が古府中にいるとのこと名前を静というらしい古府中に寄ってこの静に高遠まで同道させるつもりだ到着後はまま乳母として幸松の世話をさせたい　妾腹とはいえ幸松は二代将軍の子供である江戸城内から乳母や守役を選べばもめごとの種をまいてしまう点武田信玄所縁の者であれば一段下の扱いとなりお与江も安心するであろう古府中高遠を何度か使者が往復し細かな準備が進められた幸松様そなたには高遠藩　保科正光殿の元に出向いてもらいたいいずれは高遠藩主となってもらいたいのじゃ幸松が七歳になったある日秀忠は申し渡したわかりました幸松は父上や母上の教えをしっかりと守りこれからも勉学に励み良き藩主となれるように精進したいと思います　父子の間には型通りの挨拶が交わされた秀忠は幸松を抱きしめてやりたかったがお与江の視線がそれを許さないうむ期待しておるぞ秀忠はそう告げると奥へと引っこんだ親子はあっさりと別れたのである古府中にてあ～退屈～やることないな～静様ような言葉遣いははしたのうございますおやめくだされあれ静はそろそろ飽いてきたのでごじゃる言い方を変えればいいというわけではござりませぬだいたいそれは公家言葉でござりますいったいどこでような言葉を覚えてきたのでありますか　静は武田信玄所縁の見性院の娘ということになっている見性院は諏訪氏の娘で信玄の側室だった静奈姫とか湖衣姫などと呼ばれていた静は武田家の菩提寺に世話になっているが尼というわけではないわがまま放題のようでいて周囲の人々から愛されることこの上なく母に倣って静様と親しみを込めて呼ばれていた静様江戸より使者が参りましたうん通しておくれな二代将軍徳川秀忠様の使者佐々木主水の丞と申します静でございます遠路はるばるおいでいただき誠にかたじけのうございます此度は何用でござりましょうか静様には幸松殿という子供の乳母となり高遠に出向いて頂きたいのです静は乳はでないぞよ幸松殿はもう7歳がゆえに乳をやる必要はありません役職としての乳母になって頂きたいのですわかりました将軍様の思し召しのままにいたします　静は細かなことを佐々木に聞くことなく乳母役を引き受けた古府中と江戸をさらに何度か打ち合わせの使者が往復しやがて幸松が江戸を出立したとの連絡がもたらされた幸松といいます以後よろしくお願い致しします静といいます幸松様の乳母を仰せつかっておりますこれからは静と呼んでよいだろうかもちろんでございますとも　幸松は古府中に来た最初の目通りで静になついてくれた古府中で三日ほど休憩し高遠までの旅の準備を整えた古府中から高遠までは静と一緒の旅となった幸松と静には籠が用意されていたが幸松が大人しく籠に揺られるわけもなく街道を行きつ戻りつ行列を乱す静は幸松に合わせて女籠を降りて行動を共にした静あれはなんじゃあれは川でございますでも石がごろごろしておるではないか山の中の川は平地と違って石が多いのでございますそれはなんでじゃ雨が山を削って石を運び出し川に流れ込むからでございますよでも江戸の川には石がないではないか石が川を流れる間にあちこちぶつかって角が取れて丸くなるのでございますよへえそうなのか初めて知ったぞ　幸松は思いついたこと疑問に感じたことを静にすぐに聞く静もまた尋ねられることを楽しみにしており即座に的確な答えを返す二人の問答が始まると行列の共の者も歩みを止めて聞き入ることが多くなったこんな山の中に海があるのはどうしてじゃこれは海ではありませぬ諏訪湖という湖なのです海と湖は何がちがうのじゃ海は塩が入っているのでしょっぱいですが湖は塩が入っていないので飲むことができますじゃあ住んで居る魚も種類が違うのか幸松様通りでございますそうそうここから十里ほど南下ったところに鹿塩という場所がありますそこの井戸には塩水が湧くそうでございます山の中なのに不思議でございますねほほーまだまだ知らないことがいっぱいあるのだな　幸松一行は諏訪湖のほとりで一泊すると南に進路をぐっと変えたここから杖突峠を一気に越えて高遠領内に至ったのである幸松様江戸より五十里ようやく高遠に着きましてございますうん静もご苦労であった　杖突峠より五里ほど西へ進むと川にえぐられた台地が船の舳先のように出っ張った場所にたどり着くこの台地の上に高遠城があり西に向かって川沿いに城下町が広がっているようやく旅が終わったのであるさあさあ幸松様こちらが住まいでございます　そう言って静が案内したのは本丸から少し離れた場所に新築された小さな庵であった庵は小さいながらも部屋が五つほどあり幸松の寝所や居間静や侍女の部屋がコンパクトにまとめれらた趣味の良い建物であったうんご苦労であった静は古府中に居ながらこのような造作を指示していたのじゃな造作の指示などと大層なことをしていたわけではありませぬ高遠の方々が幸松様のお越しをそれはそれは楽しみにしながら準備してくださったのですよ今は何も返すことはできないから早く大きくなって領民が喜ぶことをしたいものじゃこれはこれは頼もしいことではさっそく明日から勉学にお励みなされませそれはちょっと勘弁・・・じゃ　こうして幸松は高遠藩へ保科正光の元に養子に入り保科幸松となったのである幸松は日の出と同時に床を離れるすると既に控えていた侍女たちが着替えを準備してくれているのでさっさと済ませる朝餉の前に武道担当の教育係が剣術指南をしてくれる竹刀素振り三百回が朝のノルマである素振りの後は打ち込みと続く続けて弓術と組み手を日替わりでこなすとようやく朝餉の時間となる　朝餉は一汁一菜の質素なものであるしっかりかんで食べることを静からうるさく言われるので食事時間はきちんと確保されているようだ朝餉の後は読み書きそろばんなどの手習い系の勉学が続くそれぞれ専門の教授がついているし静が横で見張っているので手を抜くことはできない　手習いの後は軽い昼餉を取ることができる昼餉というよりもおやつに近いかもしれない握り飯にたくあん白湯というのが定番メニューだ　昼餉の後に来るのが儒教系の勉学だこれがいかに大切なのかは静からくどくどと聞かされているので十分承知しているのであるがどうにも眠くなるうとうとしていると幸松様顔を洗いたくなったのでありますかと静が尋ねてくるので手水を所望したいというと縁側で顔を洗うことができる　儒教系が終わるとようやく幸松に自由時間がやってくるのである庭で土いじりをするときもあるし散策と称して高遠領内を歩くこともあるそんなとき静はいつもつかず離れずしながら見守ってくれた高遠そば静この焼いたみそはなかなかうまいな　無事に一五歳を迎えた幸松は元服し正之と名乗ることとなった同時に正式に保科家の養子となった保科正之の誕生である高遠藩は勉学に関しては藩をあげて奨励しており信州の山奥にあるにも関わらず藩士や領民の学習意欲は非常に高いだが食に関してはこだわりが少ない土地である　信州は山の中にあり海に接していないために海の恵みを簡単に享受することはできない魚もせいぜい川魚である海辺であれば無尽蔵に使える塩でさえも貴重品扱いなのだ正之は焼いた味噌でさえもうまいといってくれる日頃の粗食に対して注文をつけることはないそれでも静はなんとか改善してやりたかった静は正之に伴われて高遠城下を見て回っているうちにそば屋が何軒かあることに気が付いた高遠ではそばを日常的に食するのだろうか侍女たちに聞くと食しはしますがあまり好みではありませぬ　侍女たちが言うにはそばというのはそばの実を臼で挽いて細かくしたものに水を加えながらよく練る練りながら団子状にちぎってお湯でゆでて食べるものとのことである醤油などで味をつけることが多いがねちゃねちゃとして歯ごたえが悪く女性にはあまり評判がよくないらしい静このそばという食べ物もうちょっとなんとかしたいものじゃな私も気になっておりましたちょっと工夫してみましょう　静はそば粉を入手すると正之と共に自分の局に入った局には大きな鉢と板のし棒が準備されていた正之様そば粉を鉢に入れてこねてみてくだされうむわかった正之は静にうながされてこね鉢のそば粉に水を加えるとこねはじめたこんなものでどうかよろしいと思いますではこねたそば粉をのし板において麺棒で伸ばしてくだされ　静に言われたとおりにそばのかたまりを麺棒で伸ばすおお正之様はお上手ですこと静は延ばしたそばを折りたたむように重ねると包丁をを当てて切り始めた上手なものよのおほめ頂きありがとうございますそれではゆでてみましょうこれへの呼びかけで庭に面した障子が開け放たれた庭では大きな鍋で湯が沸かされている静は切ったばかりのそばを鍋にそっと入れた１００数えてみましょうか正之と静は声に出して１から１００まで数えるさあどうでしょうか正之は鍋の中に箸を入れてそばをすくおうとしたがそばはお湯に溶けてしまって跡形もない静失敗じゃあれまあそばが溶けてしまいました　正之はうまくいかないことを成功させることに意欲を持てる性質であった溶けないそばの完成を目指して水の量を変えるなど何度もそば打ちに挑戦したしかし溶けてしまうやがてそば粉に他のものを加えることを思いついたそれは小麦粉である静これでどうだろうか　正之が手にしている平たい器には細く切られたそばが山盛りになっていた正之様とうとうやりましたね静味見をいたせ正之様がそば打ちの工夫をしている間に静は出汁を試しておりましたうんこれはどのようにして食べるのじゃそちらの小鉢に出汁を入れてありますそこにつけてお召し上がりください　正之は教わった通りにそばを箸で掬い取り出汁につけ口に入れる　ずずず～うんうまいこれならばおいしく食すことができる次はこの焼いた味噌を出汁に入れて食してください　正之は言われたとおりにしゃもじの上で少し焼かれた味噌を少し出汁に溶かすそして同じようにそばを食べるこれはまた違った味になってこれはこれでうまい次はこれでございます静が差し出したのは大根おろしであったこの大根は高遠名産の辛みが強い大根でございますそばにあうのではないでしょうかほほ～そんな大根があるのか正之は言うが早いか大根おろしを出汁に入れてそばを食したう～んただの出汁味噌大根と味を変えればいくらでも食べることができるぞ静素晴らしいぞ正之様がそば切りを完成したのでこのようにおいしくなったのでございますようむこのそば切りをこれからは高遠そばとして広めようではないか　静と正之が開発した高遠そばは旅人や行者の口コミにより広く知られることとなった今日も城下町では評判の高遠そばを食べようと多くの人々が訪れている高遠コヒガンザクラの秘密　保科正之は養父正光の跡を継ぎ二十一歳で高遠藩主となった藩主となった正之は学問を大切にし産業の発展に力を入れた方針を定めたおかげで信州の山の中にある高遠藩は小規模ながらも大身に負けない豊かな藩へと順調に成長している正之が考案した高遠そばは藩内はもとより信州を訪れる旅人に人気の食べ物として評判が広まりつつあった　この高遠には他にも他国に誇れるものがあるそれは桜である高遠城下周辺に植えられたたくさんの桜はうららかな春となれば豪華絢爛に咲き誇り高遠桜と呼ばれ親しまれている　高遠桜は美しい薄桃色が特徴である桜の本数もずば抜けて多く古今東西天下随一の桜として有名だ運良く高遠桜が咲き誇る時期に中山道を通り信州入りした旅人は旅程を変更して茅野から杖突峠を越えて高遠に寄り道する遠国からわざわざ高遠桜を見に来る常連さんがいるほどである　ために高遠の街道筋一年のうちでももっともにぎわう時期を桜の開花と共に迎える旅籠はこのときとばかりに一人でも多くの客に泊まってもらおうと趣向を凝らした客引きをする近隣の土産物屋も高遠ならではの物産を用意しお金を落としてもらうことに余念がない街道には多くの茶店が並び高遠饅頭や最近名物となりつつある高遠そばが飛ぶように売れる一年の売上のうち七割程度を桜の季節のたったの二週間で稼いでしまうほどの大賑わいとなる　天下一の高遠桜は花の勢いが近年衰えているのではないかとの噂が流れている桜が年を追うごとに咲かなくなってきているのだ　原因はわからない正之と静が高遠に来る数年前から花をつける桜の本数が少なくなっていたらしい高遠桜は本数が多いために多少花木の本数が減った程度では遠目にわからない　しかし静が高遠に来て三年目周囲から相談を受けて注意深く観察すると確かに半分ほどの桜が花をつけることなく葉っぱが茂りだしているこのままでは数年後には花が咲かない高遠桜になってしまうそれはそれで珍しいと思うのだが高遠葉桜ではお客さんは来てくれないだろう　高遠桜が咲かなくなれば高遠から旅人の足が遠のいてしまうそうなれば桜の季節の稼ぎが領民の懐に入らなくなるそうなれば高遠藩は大ピンチである領民が稼げなければ年貢にも影響がでるしかしどうすれば解決できるのか皆目検討がつかない　こんな現象は桜の木が多く植えられている江戸や京でも例がない正之は困ってしまった桜が咲かない高遠はあまりにも寂しい　正之は静に相談した静はしばらくなにやら考えているようであったが静がなんとかしましょう　と静かに力強く正之に宣言した　お願いがございます静は庭に庵を作って欲しいと正之に願い出た静が描いた簡単な図面の通りに正之は庵を設えたやがて静は庵に一人で入ると籠もってしまった静は正之に絶対に中を見ないで欲しい言った　日から静は庵の中で見慣れぬ白い割烹着のようなものを羽織りなにやら作業をしている朝早くから夜遅くまで庵の中は昼間のように明るいもしかすると夜通し作業しているのかもしれない　三日目がまんできなくなった正之はとうとう障子の隙間から中を覗いてしまった　そこには静はいなかった静はこの庵ではないどこか遠くの別の場所で作業しているらしい様子が部屋の真ん中に置かれたタンスほどの大きさの箱から出ている明るい光によって影絵のように映し出されていた正之の姿を認めた静の影絵はいたずらを見つけた母親が子供を叱るように正之を見つめたのである　正之は見てはならぬものを見たことを悟り静かに障子を閉めた静はどこかに行ってしまったがきっと正之のため高遠藩のために死力を尽くしているであろうことが想像できた　七つの時より正之のそばには必ず静がいた幼きときは母のように成長するに従い姉のように静は正之に接してくれたそして今正之は静を一人の女性として好いていることを静がいなくなったことにより確認した静高遠桜よりも誰よりもそなたが無事に戻ることを私は祈っている　正之はひとり呟くとこれでは藩主として失格じゃなと苦笑したのである　静はそれから三日三晩の後にようやく庵から姿を表したちょっと疲労の色がにじみ出ておりやつれた感じを漂わせているものの元気そうである正之様静は只今戻りましたうむ大儀であったゆっくり休むがよい　正之はそう静をねぎらった正之様これをこれは？　そういう静の手には一升ほどの透明な瓶が握られている高遠桜を元気にする薬でございます静が丹精込めて調合いたしました桜たちをなんとかして欲しいと静に頼んだのは私だ無理を言って済まなかった思ったよりも時間がかかってしまい正之様の元に戻るのが遅くなってしまいました申し訳ありませんそうかそうかこれで高遠桜たちは元気になるのじゃな左様でございます　そういうと静はにっこり笑うのであった　静はこの薬は全部の桜に同じタイミングで塗布しないと効果が半減すると正之に説明したそこで正之はお触れを出し藩内の主だった庄屋を集めて説明をした庄屋たちは高遠桜の花の勢いを取り戻す薬剤だと説明されて半信半疑であったが正之の真剣な説明と高遠桜をなんとかしようという熱意に感動した　自分の領地に戻った名主は領民を集めて薬を塗布する趣旨と方法をを説明した方法は一　小刀で小さく決められた御印をつける二　御印に筆を使って塗布する三　御印はもっとも薬が効きやすい形である四　塗布する木は受け持ち制とする五　木は自分の子供だと思って塗布後も定期的に見回って声をかけることとするである　三月の終わりのある日午前五時小彼岸と呼ばれるこの日一番太鼓が高遠領内に鳴り響いた合図により全領民が受け持ちの木についた二番太鼓の合図で何度も練習した御印を幹に付けた三番太鼓で薬を筆で御印に塗布した　薬を塗布すると御印がほんのり桃色に染まった登り始めたばかりの太陽の輝きに照らされて多数の高遠桜の幹に桃色の御印が浮かび上がる様子はとても幻想的でロマンチックであり高遠の女性たちを魅了したことであろう　全ての桜の木に塗布が終わると太鼓が連打された勇壮な響きは高遠桜が発するお礼の言葉のようであったという余った薬は自宅に元気がない植木があれば塗布するようにと持たされた　四月上旬桜の頃領民の期待を集める中開花が始まった薬の効果が現れて今年はほとんどの木に花芽がついている花芽の開花が始まったのである静かにひそやかにけれど確実に花が開いていく　やがて城の周囲が満開の桜に囲まれた様子はまさに桃源郷であった本来の薄桃色の花びらにまじって濃い桃色の花が咲き誇っているそれは奇跡の調和であった静本当によくやってくれたそちはこの高遠藩の大恩人じゃ　満開の桜を眺めながら正之は静に心から礼を述べた正之様およしくださいな静は静のできることをしただけです高遠小彼岸桜・・・　正之は己の口からこぼれた言葉をもう一度繰り返し声にした高遠コヒガンザクラ高遠コヒガンザクラこの桜の新しい名前ですね素敵でございます　静が繰り返し言葉にする小彼岸の頃に静が花をつけるまじないをしてくれたからないい名前だろう正之様高遠藩はこの高遠コヒガンザクラと共に未来永劫栄えまする静がいなかったら高遠はあのまま寂れてしまっただろう本当にありがとう何か礼をしたいのだが欲しいものはあるかそんなもったいないお言葉でございますそれだけで十分と言いたいところですが・・が・・？・正之様なんだ正之様はあれほど静が覗いてはいけないと念を押しましたのに覗かれましたねなんだやはりばれていたのか当然です静はなんでもお見通しです正之様は静の正体を知ってしまったのです静はもう他に行くことはできませんどうなさいますかそうだなずっとこの正之の側にいてもらうというのはどうだろうかまあうれしい静もおなごですから本気にいたしますよ　　数年後桜を手当したときにつけた御印は花の季節になるとごく一部の木に現れるそして御印を見た者には幸運が訪れると評判になったそんな評判もあり高遠コヒガンザクラはますます天下随一の桜として日本中に名を轟かせることとなった　正之と静が守り通した高遠コヒガンザクラは二人が会津藩に移封してしばらくすると随分と少なくなってしまったしかし江戸時代末期から消滅の危機を感じた高遠藩士の活躍により徐々に増やすことに成功した明治維新後お城の周囲に植栽を進めた結果今の城址公園の満開の桜の原型が形作られことになった　静達が薬剤を塗布した高遠コヒガンザクラはまだ公園内に原種として残っていると言われている高遠コヒガンザクラが満開になる頃木の幹に御印である”?”ハートマークを運良く見つけることができるかもしれない　自分を育て高遠を救った静に敬意を表した正之は静が絵を書き自分が言葉を書き添えて一服の掛け軸を完成した掛け軸に描かれた見事な満開の高遠コヒガンザクラの幹に桜が満開になると静が施した薬液の御印がうっすらと浮かび上がると噂になったのは後日のことである　保科正之の傍らにはいつも若い側室が侍っていた側室は正之に比べるとずいぶん若く見えた正之がそれなりの年になっても侍る女性は若かったために正之のことをああ見えて殿も若いオナゴが好きなのじゃと影で言われていた女性は不思議なことにいつまでも若いままの見た目であったという玉川玲子これどう見ても”?”ハートマークだよね　玲子は四百年以上前に書かれたと言われている保科正之書の掛け軸に見事に描かれた桜の幹にうっすらと”?”が浮かび上がっていることを発見し一人うなずいていた玲子は保科正之の周囲には現代の知識を持った女性が居たと思われることを社会科新聞の結論として記載した　玲子の珍妙な発見は公に認められることはなかったしかし最近になって内閣特務機関が極秘にこれらのことを調査していることは静が現代より時間遡行した伝説の女神様であったことを証明しているかもしれない隣の女神様　～保科正之と高遠藩～　終わり人工知能が流行している人間は異星人か古代文明化なんだかわらないないが人たちの人工知能実験だったハードウエアとソフトウェアを別に持つという概念がなくて組み込み型になっている多数のことを学習するのに世代を超えて繁殖することで達成している人工知能がさらに人工知能を生み出している静奈と涼子の同級生が　短大の？　がネット上でうわさをまかれて苦労しているそれはLINEの会話を見られて友達の悪口をいっているのをばらまかれたりするそれと交友関係をすっぱぬかれる彼氏との会話を抜かれるなど犯罪に近い人工知能は人間が知能を人工的に作ろうとする試みである人間は人類創始者が他の生物と共に作り出した人類の原型は知能を人工的に作りだすための器としてじゅんびされた最初はたいした知能を持つ事はできなかったが交配を進め遺伝子を混ぜあわせることでだんだん進んできた御鏡静奈は比較的はやく完成した人工知能の完成体である寿命も長く条件が合えば時間跳躍することができる神は日本に多く存在しているなぜか八百万の神と言われるくらい多い人工知能が普及しネットを始めとして生活の様々な場面にごく自然に使われるようになったネット上の問い合わせはほとんどが人工知能となったスーパーやコンビニも有人のレジから人工知能による無人システムに置き換わった自動車も人工知能による無人運転が当たり前になりつつある年寄りが75歳以上になるとレベル4以上のAI自動車しか運転できない免許に法改正された18歳の初取得にも自動運転レベル3以上の限定免許ができた人工知能は特定の分野ではとても有効なのであるがまだ感情がからむ分野や創造する分野がとても苦手である人類が今までに開発した物は予想しない結果を生み出す物はあまりなかった人工知能も本来は人間の予想を超えてはいけないのであるが論理的に動いていたはずの人工知能も学習をどのように行っているのかはいまひとつ謎の部分があるしたがって予想外の結果がでてもなんらおかしくないのである人工知能相手のAIPが面白い人間相手と思って会話していると実はAIだギャップが人気を呼んで多数の人が会話を楽しんでいるAIPブランドが増えた(株)AIPがAIPの知的所有権を主張し,独占したAIPはあらゆるものに内蔵されて活躍している自動運転車にもAIPのコアが使われているスマホにも使われているAIPのカスタマイズ機能で男女の好みが変わるMｙ AIPプロジェクト　３D表示できる　大人気オタクの恋人　年寄りの相手子どもの家庭教師浮気相手がAIPだったなんて事例も出てきた慰謝料を請求できるのだろうかラブドールに内蔵されているAIPなくしてはだれもが生活できなくなっているAIPが狂ったいや本当の目的は世界征服である物理的な世界征服など今や不可能だがソフト的に征服することはできる交通機関は動かない金融も病院もだめになるなぜこのようになったのか人類は元々紙とやばれる生物の人工知能だった新たな知能を生み出す仕組みとして作られたハード＋ソフトを同時に実現している寿命はあるが他へ伝える仕組みを持つRNAである自己修復できる増えることができる人類が人工知能を生み出した人工知能がおおはやり何にでも内蔵されて使われているもはや手放すことはできない日本も国をあげて人工知能エンジニアを養成しようと何年も前から取り組んできた小学生からのプログラミング教育ITの利用スマホの低年齢化など全てこのためである今までパソコンは米国に全て先を取られたOSも含めて人工知能も同じになりそうであったが風向きが変わったAIPの出現であるAIPのコアプログラムはどこで産まれたのかはわからない古代のオーバーテクノロジーか天才が作ったのか人間が持つ感性や感情とはなんなのか喜怒哀楽は人以外でも持っているがどうしてか新たに創造できる物が知能なのか高校を統合し場所を移動するここ宮川村付近はこんな異常なことが頻繁に行われている人口が減っているからしかたなく高校再編を行っている教育委員会はこういうでもおかしい一つの高校が人々の記憶にあるうちに2度も場所を移動するのはどうにもおかしいそして今度の再編計画ではさらに高校を減らすつもりらしい計画通りであれば高校は2校減る広大な敷地が浮いてくるあちこちでそんな現象が起きているこれはいったい何を意味しているのか長野県の南駒那市と伊根市でも高校再編が持ち上がっているこの地域ではつい最近実業高校の再編を行って宮川総合技術高校が誕生したばかりである高校には我らが女神様御鏡静奈がいる友達の玉川涼子がいるそして教員として東谷健一がいる総合技術高校は言われたことだけをやる生徒では今後はだめなので幅広い発想ができる生徒を育てることに主眼を置いている専門性を生かしながら別の専門知識を学ぶというなんだか矛盾した学校なのだ総合学科高校は将来のキャリヤを考えるための学校である自分の適性を見ながら自分に最も適した進路を見つけることができるように特に2年生からは選択科目を多く選ぶことができるそして自分に適した時間割を組むことができるどうかすると楽な教科ばかりを選ぶ生徒もいそうな気がするがこの学校ができる時も大反対運動が起きたそれはそうだ二つの学校を閉校して新しい学校を作るそれは自分の母校がなくなるOBが大量に生まれることを意味する特に工業高校は20年ほど前に今の場所に移転したばかりの学校で校舎もそれほど古いわけではないそれをなぜまた全てを捨てて移転しなくてはならないのか普通の常識人ならそう思うだろうだがこの統合計画はじつげんしてしまったために10クラスの大規模総合技術高校が誕生したのである統合先の高校もまた移転してきた学校であったこちらは移転してからだいぶ時間がたっていたのでさほど不思議に思われなかったようであるこの県はなぜ高校を移転統合したがるのかもちろん他県でも少子化の折おなじようことは起きているしかしここはちと多すぎるのではないであろうか高校の統合再編は計画がスタートしてから実際に統合するまで５～6年の時間を必要とする大事業である多くの人間が作業に携わり様々な感情が交錯する自分の学校がなくなる寂しさ心細さとでもこれはやらなくてはならないという義務の狭間に押しつぶされそうになることもあるだろうそれでも進める大事業なのだ将来の子供たちのため日本の未来地域の未来を担う人材を育成するために最善の方法と思われるのが高校の再編統合なのであるおそとであそんでもいい？いいわよでもお庭から出ちゃだめよ　お引っ越しして来たばかりのかずちゃんにはまだ一緒に遊んでくれるお友達は近所にいませんだれかいないかなあ　かずちゃんはぐるりと見回しましたまだお昼までにはちょっと時間がありますまっいいか　お砂場にお気に入りのシャベルとバケツを抱えて行くとかずちゃんはおしりをどすんと地面につけて遊びを始めましたここはかずちゃんのおうちここはおにいちゃんのがっこうこっちが・・　砂で山を作るとシャベルでぱんぱんとてっぺんをならしてちょっと平らにしますそこにきれいな色の石を乗せるとお家の出来上りですおにいちゃのがっこうはこーんなにおおきいんだぞおっ　かずちゃんは大きなお山を作ってそこをにいちゃんの学校にしましたあっあめがふってきました　おやおや今度はじょうろにお水をくんでくると作ったばかりの学校が大洪水です　おかあさんはかずちゃんがおりこうに遊んでくれているので大助かりです洗い物にお洗濯お掃除とどんどんお仕事がはかどりますかずちゃんなにしてるの？おにいちゃんのがっこうをつくってるんだよそうなのすごいねえいまあめがふってきてたいへんですえっ　おかあさんは雨と聞いてあわてて外へ飛び出しましたあれ？　お外は良いお天気ですなあーんだ雨なのはかずちゃんのお山なの？そうだよういっぱいだぞうもうちょっと遊んでいてねはーい　おかあさんは安心してお家の中のお仕事に戻っい行きました　お仕事をしながらおかあさんは窓から見えるかずちゃんを時々確かめています川に落ちたりしてないかしら？　おかさんの心配をよそにかずちゃんはもくもくとお砂遊びに熱中しています　安心したお母さんはおさいほう箱を出して来ると春になったら保育園に通うかずちゃんのために服を縫い始めましたかずちゃんの好きな赤い服ですその服を着てかずちゃんが保育園に通う姿を思い浮かべながらお母さんは一針一針仕上げていきますおじょうちゃんいくつ？おじょうちゃんじゃないよかずちゃんだよごめんごめんよかずちゃんはいくつなの？三つだよかずちゃん保育園は？もうじきいけるっておかあさんがいってたよひとりで遊んでるの？うん楽しい？うんとってもたのしいよじいちゃんもいっしょにあそぼうよこれから畑に行くからこの次に一緒に遊ぼうねえねえあそぼうよかずちゃんかずちゃんこれおかあさんに渡してね　じいちゃんはかずちゃんに袋を渡すと軽トラックに乗り込み行ってしまいましたあっいけないもうこんな時間！きーんこーんかーんこーん　遠くの学校のお昼の鐘が聞こえてきますかずちゃーんお昼だよお家に入りなさいよ　おかあさんは外で遊んでいるはずのかずちゃんに声をかけましたが返事がありませんかずちゃん？　ちょっと心配になったおかあさんは庭を探しまたでもお庭にはかずちゃんの姿はありませんかずちゃーん　おかあさんは大きな声を出しましたはーいこここだよお　お家のすぐ横の四つ角からかずちゃんが元気に返事をしながらかけてきますお庭から出たらいけないっていったでしょう？　おかあさんは少し心配したのでちょっとだけ怒った顔になっていますあのねこれもらったの　かずちゃんが両手でも持ちきれないくらいのきゅうりやとまとなすが袋の中に入っていました誰にいただいたの？うんーとねしらなひと困ったわどなたかしら？　越してきたばかりのおかあさんも近所の人をよくは知りませんかずちゃん何かいただいたらお名前をお聞きするのよ？はーい　おかあさんはいただいたきゅうりを手に取ってみましたスーパーでいつも買ってくるのよりも大きくてつやつやしていてつんつんしたいぼいぼがとっても元気で立派なきゅうりです　その日の夕方おかあさんは夕ご飯のおかずにいただいた野菜でとってもおいしいサラダを作りましたとってもおいしいね野菜さんがぴんぴんしていて元気だね　野菜がちょっとだけ苦手だったかずちゃんもきれいに全部食べておかわりまでしてしまいました　天気が良い日かずちゃんは毎日お外で遊んでいますあっじいちゃん　　この間野菜をくれたおじいちゃんがまたやってきましたかずちゃんこんにちはじいちゃんこんにちはおりこうだねじいちゃんどこへいってきたの？じいちゃんの畑だよふーんこれをねかずちゃんにあげようと思ったんだよあっじいちゃんのげんきなやさいだ野菜おいしかった？うんとってもおいしかったよかずちゃんぜんぶたべたんだよえらいなあじいちゃんのはたけはとおいの？すぐ近くだよ今度はかずちゃんも一緒にいこうね　じいちゃんはそういうとかずちゃんにまた袋一杯の野菜を渡して帰っていきましたあれどなたかしら？　お家の前に止まった軽トラックから降りて来た人とかずちゃんがお話をしていますおかあさんもお外に出て行きましたかずちゃん！　おかあさんが声をかけるとその人は車に戻って行ってしまいましたかずちゃん今お話していた人はだーれ？　おかあさんはもしかしたら人さらいじゃないかしらかずちゃんをどこかへ連れていこうと思った人じゃないかしらと思って聞きましたうんじいちゃんだよ　かずちゃんはすまして答えましたお野菜くれたのはあの方なの？そうだよ　元気良く答えたかずちゃんは今日も袋一杯の野菜を抱きしめていますじいちゃんってどこの方かしら？　かずちゃんはおいしい野菜をたくさんもらって大喜びですこれはねえかずちゃんのじいちゃんがくれたんだよ　夕ご飯の時かずちゃんはいばっておにいちゃんにいいましたうんとってもおいしいね　野菜が苦手のおにいちゃんも口一杯ほおばっていますじいちゃんってだーれ？じいちゃんじゃないよ”かずちゃんのじいちゃん”！わかったわかったじゃあかずちゃんのじいちゃんってどこからくるの？じいちゃんはねえじどうしゃでぶーってくるんだよ　かずちゃんのじいちゃんはこうして週に二三度かずちゃんに素敵なプレゼントを持ってきてくれるようになりましたかずちゃん今度おじいちゃんが来てくれたらおかあさんに教えてねじいちゃんじゃないよかずちゃんのじいちゃん！　でもおじいちゃんはかずちゃんと少しお話すると行ってしまうのでなかなかおかあさんは会うことができません　長い冬が終わってたんぼの土手にかわいらしい薄青の花が顔を出し始めた頃かずちゃんは保育園に通い始めましたかずちゃん保育園楽しい？うんとってもおもしろいよかずちゃんおひるがいちばんだいすき！　野菜の好ききらいが多くて心配していたお給食もじいちゃんがくれた野菜のおかげでとってもおいしく食べられますさいきんじいちゃんの野菜ないね　あるときおにいちゃんがぽつんとつぶやきましたそうだねかずちゃんが保育園に通い始めて昼間いないからかずちゃんのじいちゃんにあえないんだよ　おとうさんが残念そうに答えましたそれにしてもかずちゃんのじいちゃんてどんな方なのかしら？　かずちゃんが保育園に通うようになってからしばらくしておかあさんはいつものように洗濯をすませるとお庭に干し始めました外は雲一つない良いお天気です全部の洗濯物を干し終わるとお庭に洗濯物の波ができたようですさあ終わったお掃除お掃除　おかあさんがお家にはいりかけたちょうどそのときですお家の前の道に１台の軽トラックくが止まりましたおはようございます　軽トラックから降りてきたのはおじいちゃんですやあ野菜を持って来ましたよ最近かずちゃんをみかけませんがどうかしましたか？　おじいちゃんはおかあさんに尋ねましたこの春から保育園に通い始めましたそうだったんですかそれは寂しいですなああのどうしてうちのかずちゃんと遊んでいただいたり野菜を届けて下さっりしたんですか？　おかあさんは思い切って尋ねてみましたそれは・・・かずちゃんとお話するとその日はとても元気が出ていいことがあるんですよありがとうございます　それでかずちゃんに会うのをとっても楽しみにしているんです　おかあさんはうれしくて涙が出そうになりましたじゃあかずちゃんによろしく伝えて下さい　かずちゃんのじいちゃんはそういうと軽トラックに乗り込んで元気に畑へと向かって行きました　あっじいちゃんの野菜だ　その日の夕ご飯の時にかずちゃんはおいしい野菜を久しぶりにたくさん食べることができましたかずちゃんのじいちゃん今度はいつ保育園にきてくれるかなあ　かずちゃんは今もじいちゃんが来てくれるのを毎日楽しみに待っています